第174話 性質
アルジたちは別れの言葉を交わす。
ゲンダ「それじゃあな」
アルジ「ゲンダさん。本当にありがとう」
キャモ「必ず取り返せよ。宝を」
アルジ「もちろんだ」
ゴタンジ「元気でな」
アルジ「ゴタンジさんも」
ルノ「無理するなよ」
アルジ「分かってる。大丈夫だ」
カナミ「エミカと仲良くね」
アルジ「あ…ああ」
コイナミがエミカの前に立つ。
コイナミ「エミカ」
エミカ「コイナミさん」
コイナミ「私はやっぱり魔術を諦めない」
エミカ「………」
コイナミ「もっともっと魔術を磨く。
やっぱり私も魔術師でありたい」
エミカ「いいと思う」
横で聞いていたゲンダは慌てる。
ゲンダ「猟師やめんのか?」
コイナミ「そういうことじゃありません。
魔雷矢で満足したくない。
もっと魔力を高めていきたい。
そう思っています」
ゲンダ「…そうか」
エミカ「もっと強い技が生まれるかも」
コイナミ「実はそれも狙ってる」
ゴタンジ「はっはっ、期待しとこう」
キャモ「どんな魔獣にも効くのを頼むよ」
コイナミ「もちろんです」
カナミ「習得しやすいのを頼むね」
コイナミ「任せてください」
ルノ「私も開発手伝おう」
コイナミ「お願いします」
ゲンダたちは去っていく。
アルジ&エミカ「さよなら」
ゲンダ「またいつかどこかで会おう。
今日はこれでさよならだ」
ゲンダたちは基地へ向かって歩き出す。
アルジとエミカは見送った。
エミカ「いい人たちだった」
アルジ「そうだな」
晴れ渡る空の下、街道の上を歩く。
爽やかな風が吹いている。
温かな日の光が降り注ぐ。
昼になっていた。
アルジは歩きながら勇気の剣に目をやる。
アルジ(これは気のせいじゃない。
変わった。この剣は生まれ変わった。
欠けてた部分がくっついた…。
それだけじゃない。
より重く、大きくなった感じがする。
これはどういうことだ…?
存在感…。存在感だ。存在感が増した。
流れてる。うねって、流れてる。
大きな力が…この剣の中に…。感じる!)
剣をちらちら見て歩く。
エミカ「どうした?」
アルジ「勇気の剣が欠けてたなんてな」
エミカ「ナキ村の資料に秘密があるみたいだな」
アルジ「そうみたいだな」
エミカ「読んだことは?」
アルジ「…ない。
そういう資料があることも知らなかった。
読んでみたくなってきた」
エミカ「異大陸の石碑も気になる」
アルジ「ああ…あれも不思議だ。
結局あれはなんなんだろう?」
エミカ「隠されてる…気がする」
アルジ「隠されてる…?」
エミカ「この大陸の成り立ちについて。
秘密が明らかになってない。
そんな気がする」
アルジ「秘密か。なんだか頭が忙しいぜ」
エミカ「私もあれこれ考えて疲れた。
とりあえずお昼にしよう」
アルジ「そうだな。ひとまず飯だ。
腹が減った。ナクサに行こう!」
エミカ「行こう!」
ナクサの町が見えてくる。
道行く人の姿はない。
勇気の剣がキラリと一瞬輝く。
エミカ「似合ってる」
アルジ「…?」
エミカ「勇気の剣…アルジによく似合ってる」
アルジ「そうか、ありがとな」
町に向かって歩き続ける。
アルジ「また少し強くなれた気がする。
この剣を持ってると力が湧いてくる。
前よりもずっと。そんな気がしてる。
もうどんな敵が出てきても負けない。
大前隊にも負けない。
あいつにも…エオクシにもな。
言い過ぎかもしれないけど」
エミカ「心強い」
アルジ「大陸首位猟師に無理って言われたけど」
エミカ「無理じゃない」
アルジ「そうかな…」
エミカ「うん」
アルジはエミカの方を見て言った。
アルジ「エミカも似合ってる」
エミカ「…?」
アルジ「杖も服もよく似合ってる」
エミカ「どっちもリネさんがくれたものだ。
少しはなじんできたかな」
アルジ「ああ。杖も服も最高だ」
エミカ「ありがとう」
アルジ「それにしても…」
エミカ「なんだ?」
アルジ「その服…
リネはどういうつもりだったんだろ。
ワノエでくれたらよかったのに」
エミカ「隠してたのかも。
ミリと私で取り合いになるから」
アルジ「ああ、あいつも欲しがりそうだな」
エミカ「あとは…」
アルジ「あとは?」
エミカ「もっと現実的な理由」
アルジ「なんだ?」
エミカ「杖も服もそうなんだけど、
強い魔術道具を使いこなすには、
装備する人に高い魔力が求められる」
アルジ「そうなのか」
エミカ「服も杖も魔力は込められていない」
アルジ「………」
エミカ「装備した人が魔力を注いで、
魔力で満たして、初めて魔術道具は生きる。
例えるなら器。杖も服も器みたいなもの。
魔力を注ぐための器だ。
それで、いい装備品ほどその器は大きい。
強い魔力で満たさないと効果は得られない」
アルジ「ってことは…?」
エミカ「装備する人の魔力が少ないと、
装備品を魔力で満たすことができない。
そうすると、杖も服も使いこなせなくて、
魔力を吸い取られるだけになる」
アルジ「そっか。それでリネは…」
エミカ「待ってたんじゃないかな。
ミリと私の魔力が成長するのを」
アルジ「でも、その杖は違うだろ」
エミカ「杖…」
アルジ「天界石の杖…。
それには魔力が込められてるんだろ。
ミリとリネの魔力が」
エミカ「うん。これは特別だ。
天界石には特別な性質があるから。
魔力をとっておくことができる」
アルジ「………」
エミカ「長い時間が経っても保っていられる」
アルジ「特別な力が宿ってるのかもな」
エミカ「力…」
アルジ「力を閉じ込める力。そういうの」
エミカ「異大陸の石碑に書いてあった…」
アルジ「ああ。この剣だって多分そうだ。
何か特別な力が込められてる気がする」
エミカ「星の秘宝もアルジの剣も私の杖も…
鍵を握るのは…2つの力…」
アルジ「そう思う」
◆ ナクサ ◆
アルジとエミカは飲食店を探す。
通りをしばらく歩いて立ち止まる。
2人の目の前には異国情緒漂う外観の建物。
それは南方諸国の伝統的な建築様式。
その店で魔獣討伐の話を聞いた。
リンスケとギンタロウに出会った。
アルジとエミカはその店を再び訪れる。
店内に入ると奥から店員が現れる。
店員「いらっしゃい!…って、あんたたちは!」
アルジ「また来たぜ」
席に案内されて座る。
適当にいくつも料理を注文する。
とにかく空腹だった。
アルジもエミカも料理が出てくるのを待つ。
エミカは言った。
エミカ「楽しみだ」
アルジ「結局ここになったな」
エミカ「ここでいいよ」
アルジ「オレたちも常連か」
エミカ「たった2回で常連はないだろ」
冷たい茶と前菜が出される。
茶を飲む。
食べ始める。
皿はすぐに空になった。
次の料理を待つ。
空腹は少し落ち着いた。
真剣な顔でエミカは話す。
エミカ「アルジに話しておきたいことがある」
アルジ「なんだ?」
エミカ「リネさんがくれたものについて」
アルジ「ああ、杖と服のことか?」
エミカ「それだけじゃない。
実はもう1つ…
リネさんがくれたものがある。
でも、それは手の届かない場所にあって」
アルジ「手の届かない場所?なんだ?
どういうことだ?」
エミカ「どうしたらいいか分からない」
アルジ「力になるぜ」
エミカ「嬉しい。
でも、今すぐ解決しなくていい」
アルジ「いいのか?」
エミカ「私の話を聞いてくれたらそれでいい。
ああしたらいいとか、こうしたらいいとか、
別に今すぐ答えがほしいわけじゃないから。
アルジには知っておいてほしいと思うから。
話しておきたい」
アルジ「ああ。一体なんだ?」
エミカは話し始めた。
リネが彼女に託したもう1つの贈り物について。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 30
◇ HP 3603/3603
◇ 攻撃
47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 防御
38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★
◇ 魔力 13★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 1883/2234
◇ 攻撃 10★★★★★★★★★★
◇ 防御
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 魔力
46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15