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アルジ往戦記  作者: roak
173/300

第173話 覚醒

魔雷矢、魔氷矢が2本ずつ。

ほぼ同時に放たれた。

4本の矢は、天に向かって飛んでいく。

キラリキラリと輝いて、彼方に消えた。


アルジ&エミカ「………」

ゲンダ「まじないだ」

アルジ「まじない…」

ゲンダ「武運に恵まれるように。

 オレたちから景気づけだ」

アルジ&エミカ「………」


ゲンダは静かに笑う。


ゲンダ「さっきオレたちは見てきた。

 コノマノヤタラズマの死体を。

 死体を見ただけで伝わってきた。

 アルジとエミカのすごさが」

ゲンダ「オレたちは誇りに思う。

 お前たちと一緒に戦えたことを」

アルジ「照れるぜ」

ゲンダ「アルジ、往戦おうせんだ」

アルジ「…?」

ゲンダ「知らないか」


ゲンダはアルジに説明した。

往戦。

その言葉について。


ゲンダ「もう使われなくなった古い言葉だ。

 ナキ村や近くの村や町で使われていた。

 今じゃ使う人がいなくなった。

 古文書を読むときぐらいしか目にしない。

 オレはこの言葉を気に入っている」

アルジ「………」

ゲンダ「往戦するんだ」

アルジ「………」

ゲンダ「とどまるな。敵を待つな。

 敵地に行って戦え。自分から。

 踏み出せ。進み続けろ。そして、戦え。

 …この言葉はそういう意味だ」

アルジ「………」

ゲンダ「お前たちならオレが言わなくても

 やってくれるんだろうが。はははは…」

アルジ「往戦か。やってみる。ゲンダさん」

ゲンダ「ああ。期待してる」


ゲンダは続けてアルジたちに伝える。


ゲンダ「オレたちも戦い続ける」

アルジ&エミカ「………」

ゲンダ「オレたちも戦い続けることにした。

 狩りはやめない。

 氷雷陣。絶対の自信を持っていた。

 だが、今回は通用しなかった。

 それだけに本当に落ち込んだ。

 猟師をやめたくなるほど。

 だが、やっぱり続けることにした。

 オレたちは根っからの猟師。

 やっぱり狩りを続けていくしかない。

 そう思ったからだ。

 6人で真剣に話し合った結果だ。

 これからも魔雷矢と魔氷矢で戦い続ける。

 これは完全な戦術ではない。

 そのことは今回よく分かった。

 だけど、続けていく。なぜか。

 オレたちだけじゃないからだ。

 オレたちだけじゃない。ほかにもいる。

 魔獣と戦っている者はほかにも。

 オレたちの魔雷矢、魔氷矢、そして、

 天乱陣と氷雷陣が通用しなかったら…

 そのときはほかの誰かに任せたらいい。

 お前たちのような強い者たちに…。

 …なあ、アルジ。それでもいいだろ」

アルジ「いいと思うぜ」

ゲンダ「そうか!」

アルジ「ゲンダさんたちはこれからどうする?

 大陸首位猟師とコズマ国へ行くのか?」

ゲンダ「しばらくはここにとどまる。

 獣の処理、ミノマノ村の調査、基地の撤去。

 やることはそれなりにある。

 ナクサの警備隊も協力的で助かっている」

アルジ「そっか」


ゲンダはコイナミの顔を見る。

彼女は小さくうなずき、前に出てくる。

ゲンダからアルジに伝える。


ゲンダ「アルジ、お前に渡したい物がある」

アルジ「なんだ?」

ゲンダ「10年ほど前、

 オレはナキ村を飛び出した」

アルジ「ああ」

ゲンダ「自分を試してみたい。

 そんな思いで村を出た。

 小さな村を出て、村の外で。

 一体オレに何ができるのか。

 どんな力があるのか。知りたかった。

 試してみたかった。

 そして、こうして猟師になることができた」

アルジ「そっか」

ゲンダ「そんなオレを…

 ずっと守ってくれていた物がある。

 持ち歩いて、ともに時間を過ごしてきた」

アルジ「なんだ?」

ゲンダ「当時、ナキ村の村長がオレにくれた。

 旅のお守りとして。オレが旅立つ日に。

 そして、そいつは今…

 オレの弟子に引き継がれている」


コイナミが懐から何かを取り出す。

出てきたのは、茶色の小さな袋。

中に何かが入っている。

彼女は中の物を慎重に取り出した。

それは太陽の光を受けてキラリと輝く。

彼女の片手に収まるくらいの大きさ。


アルジ「…?」

エミカ(金属の…かけら…?)


ゲンダは当時の自分を思い出す。

そして、笑いながら話した。


ゲンダ「何度も頼んだんだ。村長に。

 勇気の剣をくれと。

 オレは村を出て偉業を成し遂げる。

 だから、その剣をくれと。

 だが、村長は拒んだ。

 その代わり、オレにくれた。そのお守りを。

 剣ではないがとても大事なものだと言って。

 本当に偉業を成し遂げて帰ってきたのなら、

 剣をくれてやることを考えてもいいと言って。

 大陸首位猟師。

 オレがそれになったら、取りにいこう。

 決めていた。だが、それはどうやら難しい。

 そう思い始めていた。

 そうしたら、お前が現れた。

 勇気の剣を持って」

アルジ「………」

ゲンダ「最初は悔しかった。

 だが、それでいいと思った。

 いや、それがいいと思った。

 お前こそ剣にふさわしい人間だ」

アルジ「ゲンダさん」

ゲンダ「剛刃波状斬撃。勇気の剣の奥義。

 剣に選ばれた者だけが使える技だ。

 ナキ村で…古い書物で読んだことがある。

 アルジ。オレは震え上がる思いがした。

 お前の剛刃波状斬撃を見せられたとき。

 見事な技だ。見事な戦いぶりだ。アルジ」

アルジ「…ありがとう」

ゲンダ「そんなお前の技を…戦いを…

 もっと完全なものにしてほしい。

 オレは切に願う」

アルジ「ああ、もっと鍛えて強くなる」

ゲンダ「そういうことじゃないんだ」

アルジ「…?」

ゲンダ「お前が手にしている勇気の剣…

 実は不完全だ」

アルジ「…なんだって?」

ゲンダ「よく見てみろ」


アルジは剣を見つめる。


ゲンダ「先端をよく見ろ」

アルジ「…?」

エミカ「少し…欠けてる…?」

アルジ「あ!言われてみると…」

ゲンダ(気づいてなかったのか…)


コイナミがアルジにお守りを差し出す。

差し出された金属のかけら。

それは、欠けてしまった勇気の剣の先端。


ゲンダ「今こそお前に返すとき。そう思う」

アルジ「………」

ゲンダ「だから、受け取ってくれ」

アルジ「分かった…」


アルジは剣の先端部分を手にとった。

すると、それは強い光を放つ。

剣の方も強い光を放ち始める。


アルジ「うお…!うおおおおお…!」

エミカ「勇気の剣と…欠けた部分が…

 共鳴してる…!?」


その場にいた誰もが息を飲む。

アルジは剣の欠けたところを合わせた。

次の瞬間。

まばゆい光が周囲に広がる。


アルジ「うっ…まぶしっ…!!」

エミカ「うわ…!!」


そして、勇気の剣は生まれ変わる。

完全な剣として。


アルジ「これは…!!」


アルジは剣の形を確かめる。

剣はより勇壮な形に変わっていた。


アルジ「すげえ…!これは…!!」

エミカ「欠けたところが…くっついた?

 …近づけただけで…?」

ゲンダ「はははははっ!!」


ゲンダは興奮して笑う。


ゲンダ「アルジ!!その剣は覚醒した!

 覚醒して完全な形になったんだ!!」

アルジ「完全な形…!」

ゲンダ「それが勇気の剣の本当の力!!

 本当の姿だ!!」

アルジ「ゲンダさん…本当にありがとう」


◇ 勇気の剣は覚醒した。

◇ アルジの攻撃力が上昇した。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 30

◇ HP   3603/3603

◇ 攻撃

 47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 防御

 38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 魔力  13★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 26

◇ HP   1883/2234

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15

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