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アルジ往戦記  作者: roak
170/300

第170話 整合

石碑を見つけたあと何が起きたのか。

ヤマタンは話した。


ヤマタン「オレは言葉を失った。

 大君に防護服を着せることも忘れた。

 石碑に目を奪われていると大君はオレを見る。

 叱られるかと思ったが、そうじゃなかった。

 大君はオレに命令した。小さな声で」

アルジ&エミカ「………」

ヤマタン「このことは口外するなと。

 それから、大君は防護服を着て、

 石碑から離れ、従者に眼鏡をふいてもらい、

 調査団の全員に命じた。

 ここから出て行けと。外で待機していろと。

 3人の学者を除いて」

エミカ「3人の学者…ですか」

ヤマタン「3人とも学術院屈指の英才。

 大君は指名し、広間に残るよう命じた。

 そして、それ以外の者は外へ出た。

 オレも外に出た。

 大君が言うんだから出るしかねえ」

アルジ&エミカ「………」

ヤマタン「オレたちは外に出る。

 灰の山と青い空を眺めて、

 大君のお帰りをただ待った。

 そのとき、大君は何をしていたのか。

 大君と3人の学者は、広間で何をしていたのか。

 想像するのは簡単だ。石碑を読んでいたんだ。

 何が書かれているのか。

 全部の石碑を調べていたんだ。

 そして、大君と学者は出てくる。

 日は沈みかけていた。

 大君も3人の学者もさっぱりした顔だった。

 帰るぞと大君は言った。

 オレたちは船に戻る。

 もと来た道をたどって。

 こうして異大陸の調査は終わった。

 帰りの船中で大君はオレたちに命じた。

 殻の件も、広間の件も、石碑の件も

 決して誰にも話すなと。

 そして、この大陸に戻り、

 大君は旅の成果を発表された。

 『やはり異大陸には何もなかった。

 もう行くことはない。』

 民はそれを聞いて受け入れる。

 異大陸へ旅立つ者はさらに減った。

 それから10年ほど。

 大君はお亡くなりになった」

アルジ&エミカ「………」

ヤマタン「亡くなられてから間もなくのこと。

 1冊の書物が世に出る。

 題名は『異大陸と古代国家』。

 書いたのは3人の学者」

アルジ「その3人って…」

ヤマタン「待機を命じられた3人の学者だ。

 その書物に書いてある。星の秘宝のことが」

アルジ&エミカ「………」

ヤマタン「壮大な歴史物語…。ミオ民とノイ民。

 これらの民がかつて大陸で争い合っていた。

 今からもう2000年も前。古代国家の時代。

 その国家を治めていたのはノイ民。

 ミオ民はノイ民の古代国家に支配されていた。

 だが、ミオ民は数を増やして力をつけていく。

 そして、ノイ民に戦いを挑んだ。

 戦いの末、勝ったのはミオ民。

 彼らに勝利をもたらしたものは何か。

 それは、3つの星の秘宝と魔真体だった。

 結果、古代国家は滅び、暗黒時代が訪れた。

 ノイ民は大陸の北東部へと追いやられた」

アルジ(この話…北土の魔術研究所でも聞いた)

エミカ(ホジタが話してたのと同じ歴史書…?)

ヤマタン「古代戦争説。昔から唱える者はいた。

 古代国家が滅んだのは戦争のせいだと。

 だが、根拠のない妄想とみなされてきた。

 古代戦争説が主流になったことはない。

 環境変動説。これが今も昔も主流の考え方。

 だがな、『異大陸と古代国家』は違った。

 従来の古代戦争説にない妙な説得力があった。

 なぜか。その歴史書には書かれていたからだ。

 灰の大陸の石碑に刻まれていた文章の内容が」

アルジ「3人の学者は漏らしたのか。秘密を」

ヤマタン「そうだ。

 だが、石碑の内容は書かれていても、

 異大陸で石碑を発見したことについては

 触れていない。3人は守ったんだ。

 大君との約束を。一応は」

エミカ「星の秘宝のことも魔真体のことも

 本当に石碑に書いてあったことなんですか?」

ヤマタン「ああ。オレには分かる。

 あいつらは書いた。

 強力な力が込められた3つの星の秘宝。

 国家崩壊、文明喪失、言語忘却、

 これらをもたらした魔術兵器、魔真体。

 古代国家を倒したミオ民。

 これらが果たして一体なんなのか。

 『異大陸と古代国家』には書かれている。

 石碑に刻まれていた文章の内容に基づいて。

 なぜそうだと言えるのか。

 オレは覚えているからだ。

 あの日、20年ほど前の調査、

 地下の広間で大君と石碑を見たとき、

 今でもはっきり覚えている。

 あの石碑に何が書いてあったのか」


ヤマタンは声を低くして話した。


ヤマタン「今、ここで言おう。

 お前たちに。特別に」


そして、ヤマタンは明かした。

彼が灰の大陸で見た石碑。

そこに何が書いてあったのかを。


ヤマタン「力を力で閉じ込めた3つの宝、

 海を越え、もう1つの大陸へ運ぶ」

アルジ&エミカ「………」

ヤマタン「それでオレは大前隊をやめた。

 猟師になった。いろいろ制約があるからな。

 大前隊にいると。

 それに比べて猟師は割と自由だ」

アルジ(3つの宝…それが星の秘宝…)

エミカ(力を力で閉じ込める…力って…?)

ヤマタン「………」

ヤマタン「まるで聞いちゃいねえな」

アルジ「はっ…」

エミカ「ごめんなさい」

ヤマタン「いいんだ。オレの身の上話なんざ」

アルジ「教えてほしい」

ヤマタン「あ?」

アルジ「どうして猟師になったんだ?

 自由になりたいから大前隊をやめた…

 それだけじゃないんだろ」

ヤマタン「ああ。もちろん。

 大前隊をやめて自由になってオレは調べた。

 異大陸で見つけた石碑はなんだったのか。

 そこに立派な動機や複雑な事情はない。

 ただ単に納得がいかなかった。

 真相が隠されて知らないままでいることに。

 旅を終えてからずっと心が晴れなかった。

 心の中に引っかかっていた。

 なんとかしたかった。だから、オレは決めた。

 オレはオレなりに調べると。

 文献を読み、現地へ行き、人々と話し、

 大昔、何があったのか。オレなりに調べた」

アルジ「何があったんだろう」

ヤマタン「何があったんだろうな」

アルジ&エミカ「………」


しばらく黙ってからヤマタンは話す。


ヤマタン「オレは1つの仮説に行き着いた」

アルジ「どんな仮説なんだ?」

ヤマタン「こんな仮説だ。

 かつて異大陸にも人が住んでいた。

 魔術で発展した国が存在していた。

 だが、戦争で滅んだ。魔術による戦争だ。

 大陸に積もった灰は、その名残。

 民も町も国も失われて灰になった。

 だが、全滅したわけではなかった。

 生き残った民が逃げてきた。この大陸に。

 当時、この大陸には古代国家が栄えていた。

 異大陸の民は古代国家と戦った。

 この大陸を自分たちのものにするために。

 戦いの結果、古代国家は滅びた。

 暗黒時代が訪れた。

 なぜ異大陸の民は勝てたのか。力のおかげだ。

 彼らは異大陸から3つの宝を持ってきた。

 それらには強い力が閉じ込められていた。

 その強い力で古代国家と戦って勝ったんだ。

 その力こそが魔真体。

 破壊のための究極の魔生体。

 3つの宝の力を解放して目覚めさせたのだ。

 その後、異大陸の民は魔真体を封じた。

 強い魔術とか、なんらかの方法で。

 3つの宝に再び力を閉じ込めた。

 そして、今の国家を建てたってわけだ」

アルジ「ってことは…」

ヤマタン「ミオ民は異大陸から来た」

エミカ「そうすると石碑の文字が読めたのも…」

ヤマタン「整合する」

アルジ&エミカ「………」



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 30

◇ HP   3603/3603

◇ 攻撃

 42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 防御

 33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  7★★★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 26

◇ HP   1883/2234

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15

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