第164話 耐性
ゲンダが拳を振り上げる。
ゲンダ「よし!!完成だ!!」
氷雷陣が完成。
斬り手のゲンダとゴタンジが縦に並ぶ。
彼らの周りを撃ち手の4人が囲む。
互いに魔力を高め合う。
6人は強力な魔波に包まれる。
4人の撃ち手が弓を構える。
キャモ「どう?」
エミカ「すごい…」
アルジ「すげーぜ…!これは!!」
エミカ(魔雷矢も…魔氷矢も…格段に強い…!
基地で戦ったときの…倍ぐらい強そう!
こんなの当たったらどんな魔獣だって…!)
そのとき。
ケイニがアルジに向かって叫んだ。
ケイニ「林の中だ!!!」
アルジ「…え?」
林の中から黒い影が飛び出す。
その正体は1頭のカヤタマノネコ。
昨夜、ミノマノ村でヌキチを食べたジロスケ。
アルジの肩にかみついて押し倒す。
アルジ「クッ!!!」
激しく身をよじる。
だが、カヤタマノネコは離れない。
大きな牙がアルジの肩に食い込んでいた。
◇ アルジは1601のダメージ。(HP3233→1632)
カヤタマノネコの大双牙。
厚い金属板に穴を開けることもできる。
アルジ「クソォォオオオ!!!」
エミカ「アルジ!!」
エミカは雷砲を繰り出す。
◇ カヤタマノネコYに1423のダメージ。
カヤタマノネコは大きく震える。
地面の上を転げながら牙から逃れるアルジ。
肩の痛みに顔をゆがめる。
駆け寄るエミカ。
ケイニ「あいつは私たちでやるよ!!」
ヤキノ「了解!」
ケイニが素早く弓を構えて矢を放つ。
矢の先端に一瞬で冷気をまとわせて。
カヤタマノネコに命中。
◇ カヤタマノネコYに1108のダメージ。
冷気に包まれて動きが鈍くなる。
そこへヤキノが槍で攻める。
カヤタマノネコの頭を狙う。
勢いよく突き出されたその刃。
頭に深く刺さる。
◇ カヤタマノネコYに1228のダメージ。
カヤタマノネコY「ニャー!!!」
さらに突く。
同じ場所を。
より深く。
それは息の根を止める一撃。
◇ カヤタマノネコYに1940のダメージ。
◇ カヤタマノネコYを倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
アルジの元へ駆け寄るケイニとヤキノ。
ケイニ「大丈夫か?」
ヤキノ「かなり深かったぞ!」
アルジ「くっ…痛え…!!」
エミカ「アルジ、肩を出せ」
まばゆい光がアルジの肩の傷を治す。
ケイニ&ヤキノ「!!」
アルジ「…エミカ」
エミカ「油断したな」
アルジ「ああ。氷雷陣がすごかったからな…。
思わずじっと見ちまった。
林の敵に気づけなかった」
エミカ「もう少しで終わる」
再生魔術の光が消える。
◇ アルジはHPが全回復した。(HP 1632→3588)
アルジは肩をぐるぐる回してみせる。
ケイニ&ヤキノ「………」
アルジ「完璧だ!ありがとう!エミカ!」
エミカ「私も氷雷陣に気を取られてた。
いつもなら感知できる魔波だったのに」
アルジ「仕方ないぜ。
いきなりあんなのを見せられたら」
エミカ「魔力が高まってすごく気になった」
アルジ「困ったもんだぜ。氷雷陣は」
ゲンダ「おい、お前ら。
氷雷陣のせいにするんじゃねえよ」
キャモ「驚いてくれんのはいいんだけど」
弓を構えたままキャモとルノは笑う。
ケイニとヤキノはエミカを見ている。
ケイニ(一体…この人は何者?
魔術院の術師?いや、見たことがない。
知らない。魔術院に属していない…?
でも、あれだけの力…)
ヤキノ(5種類…魔術を5種類…使った。
しかも、そのどれもが…高威力で…。
一体何者…?)
アルジとエミカは礼を言う。
アルジ「ありがとう。ケイニさん、ヤキノさん」
エミカ「大変助かりました」
ケイニ「別にどうってことないさ」
ヤキノ「当然のことをしたまで」
ヤキノは槍を強く握りしめる。
ヤキノ(大前隊、上級魔術師。
それらと同等…か。
ゴタンジさんの言葉は嘘じゃない。
だけど…)
ケイニ(2人とも見事な戦いぶりだった。
だけど…)
彼女たち2人の目はごまかせない。
アルジとエミカの様子から察知する。
ヤキノ(2人ともかなり疲れてる)
ケイニ(24頭…。
それをたった2人で仕留めたんだ。
まともに動けなくなってもおかしくない)
そこへやってくる。
コノマノヤタラズマが。
岩陰の向こうからおぞましい姿を現した。
キャモ「来たよ!」
ルノ「随分とでかくなったな!」
カナミ「目に物見せてやろう!!」
ゲンダが指示を出す。
ゲンダ「アルジ、エミカ、ケイニ、ヤキノ。
後ろへ下がれ!」
ケイニ&ヤキノ「了解!!」
アルジ「おう…!」
エミカ(始まる…!)
コノマノヤタラズマは動き出す。
6本の脚を動かして街道の上を進む。
大して速くない。
しかし、着実に近づいてくる。
ゲンダたちは引きつける。
魔雷矢と魔氷矢の射程距離に入るまで。
そして、ついにその時が来た。
ゲンダ「撃て!!!!」
ゲンダの合図で放たれる。
氷雷陣で極限まで威力を高めた4本の矢が。
ゴタンジ「よし!!」
ゲンダ「行ったぁ!!」
命中する。
4本すべてがコノマノヤタラズマに。
矢の先端から冷気と電撃が注がれる。
辺りには強い閃光と冷気の渦。
コノマノヤタラズマの動きが止まる。
ゲンダ「行くぜ!!」
ゴタンジ「おう!!」
斬り手の2人が駆け出す。
だが。
ゲンダ「!!!?」
キャモ&ルノ&カナミ&コイナミ「…え…」
ゴタンジ「どういう…ことだ…?」
コノマノヤタラズマは動き出す。
何事もなかったかのように。
平然と。
◇ コノマノヤタラズマに11のダメージ。
アルジ「な…なんだ!?どうした!!!」
エミカ「効いてない…?
あれだけの攻撃でも…!!」
ゲンダとゴタンジは立ち止まる。
肩に担いだ重練剣を力なく下ろす。
完全に戦意喪失。
キャモは気の抜けた声で言う。
キャモ「手応えが…まるでない…」
キャモたちを見るゲンダとゴタンジ。
彼らの目に映る。
抜け殻のようになった彼女たちの姿が。
ルノ「信じられないが…」
カナミ「…耐性だ」
ゴタンジ「…なんだと?」
コイナミ「耐性がある…。
コノマノヤタラズマは…。
雷術と…氷術…両方に…」
ゲンダ「はっはっは…なんだ?そりゃ…。
なんだ?どっちにも耐性があるだって!?
雷術にも氷術にも?聞いたことがねえぞ?
おい!!聞いたことがねえぞ!!
そんな話は!!どうなってやがる!!
おい!!どうなってやがる!!!」
キャモ「落ち着け!
ここでキレても仕方ないだろうが!!」
ケイニ「現代の魔獣の常識が通用しない…。
それが古代獣…」
ヤキノ「わずかながら可能性としてはあった。
実際にそうだったんだから、
今は受け入れるしか…」
ゴタンジ「なら、どうする!!?
なあ!!どうすんだ!!?」
ルノ「た…退避だ!!!」
ゲンダ「そうだ!!退避!!退避だ!!
全員退避!!」
コノマノヤタラズマは街道の上を進み続ける。
木々の間を通り抜けて近くまで来ている。
ゲンダたちは駆け出した。
しかし。
ゲンダ「おい…」
ゲンダは後ろを振り返る。
ゲンダ「おい!!!何してる!?退避だっ!!」
アルジとエミカはその場から離れようとしない。
ゲンダ「おい!!聞いてなかったのか!!
退避だ!!」
アルジ&エミカ「………」
ゲンダ「退避だと言ってるだろうが!!
あいつは無理だ!!」
アルジ「ゲンダさん、オレたちは…」
ゲンダ以外の7人は去っていく。
とても悔しそうな顔で。
◇ キャモは仲間から外れた。
◇ ルノは仲間から外れた。
◇ カナミは仲間から外れた。
◇ コイナミは仲間から外れた。
◇ ゴタンジは仲間から外れた。
ゲンダはアルジを説得する。
ゲンダ「おい、アルジ。言うことを聞け。
オレたちは猟師だ!」
アルジ「………」
ゲンダ「オレたちは専門家なんだ。
オレたちには知識がある。
獣について、お前らより何倍も…
いや、何十倍も知識がある!
その専門家が無理だと言ってるんだ!
退避だ!!!」
アルジ「………」
ゲンダ「ここは退避するしかねえんだ!!
言うことを聞け!!」
エミカ「アルジ、来るぞ!」
アルジは剣を構える。
ゲンダ「チィッ!!勝手にしろ!!!」
ゲンダはその場から走り去る。
◇ ゲンダは仲間から外れた。
アルジ「…どうする?」
エミカ「氷術も雷術も効かない。
それにあの堅そうな体…。
岩術で潰すこともできないと思う」
アルジ「なら、どうする?」
エミカ「…焼き尽くす!!」
アルジ「分かった。頼むぜ!
斬るのはオレに任せろ!!」
コノマノヤタラズマとの戦いが始まった。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 29
◇ HP 3233/3588
◇ 攻撃
41★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★
◇ 防御
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
37★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 6★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 25
◇ HP 1883/2011
◇ 攻撃 10★★★★★★★★★★
◇ 防御
30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 魔力
45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15◇
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ コノマノヤタラズマ(覚醒状態) ◇
◇ レベル 45
◇ HP 76545
◇ 攻撃
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
56★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 魔力
45★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★
◇ 魔術 氷皮、氷殻、王氷
雷膜、雷毛、雷角、雷河