第160話 無理
ラグアはヤシヤロに伝える。
ラグア「ホトラ町警備隊、顧問、ヤシヤロ。
お前は、とんでもない犯罪行為をしでかした。
僕を侮辱し、僕を殺そうとした。
しかも、集団で。
警備隊顧問という立場を悪用して、
隊員たちをけしかけた。
集団で、武器を使って、
たった1人の人を殺そうとした。
しかも、僕は一般人じゃないんだぞ。
王様になる男だ。王様になる男なんだぞ。
そういう人をお前は殺そうとした。
これはとんでもない犯罪だ。
許しがたい犯罪行為なんだ。
今から僕に心の底から謝ってもらう」
ヤシヤロ「はぁ!?なんだ!てめえ!!
審理官気取りか!?」
ラグアはヤシヤロの腹に剣を突き刺した。
ヤシヤロ「おわぁああ!!」
激痛に顔をゆがめ、叫ぶヤシヤロ。
剣を抜き、再生魔術で回復させた。
ヤシヤロ「何しやがるんだ!てめええ!」
再び刺す。
2度、3度と腹を刺す。
ヤシヤロは叫ぶ。
再生魔術で傷を癒す。
ヤシヤロ「フィー!フィー!なんだ!
なんなんだ!!てめえ…!!
こんなことをして、どういうつもりだ!?
金か!?金が欲しいなら、やるぞ!!なぁ…」
ラグア「謝れ」
ヤシヤロ「…ふざけんなよ…」
ラグア「………」
ヤシヤロはニタリと笑う。
ヤシヤロ「…お前…終わりだぞ?」
ラグア「………」
ヤシヤロ「終わりだぞ…?お前…」
ラグア「………」
ヤシヤロ「これだけの人間を殺したんだ!!
しかも!!殺したのは、
町の警備隊と政府の役人だ!!
お前は政府に逆らったんだ!!
反逆行為を行ったんだ!!
終わりだぞ!!お前!!終わりだぞ!!!」
ラグア「………」
ヤシヤロ「一隊が動くだろう!
お前の首を獲りに!!
あいつらが出てきたらおしまいだ!!
おしまいなんだよ!!
お前がどんなに強がろうと勝てやしねえ!!
必ず死ぬ!!お前は殺される!!
いい気になんのも今のうちだ!!」
ラグア「他人の力を僕に誇示するな」
今度は喉元に剣を突き立てる。
ヤシヤロ「…グッ…!グウッ…!!」
ラグアは笑みを浮かべてヤシヤロに告げる。
ラグア「僕には分かるんだぞ。
どういう傷なら再生可能か。
逆にどういう傷なら、
再生不能で死んでしまうか。
僕はよく知ってるんだぞ」
ヤシヤロ「…うぐぐっ…!」
ラグア「僕は光の術師。
再生魔術は何十回でも使えるんだ。
お前が本当に反省するまで
僕は何度でも刺せるんだ」
ヤシヤロ「…ひっ…ぎっ…!」
剣を引き抜き、傷を回復させる。
ラグア「さあ、謝れ」
ヤシヤロ「………」
刺す。
腹も、胸も、脚も、腕も。
ラグアは刺して、刺して、刺しまくった。
ついにヤシヤロはうめくように言う。
ヤシヤロ「…すいません…でした…」
ラグアは肩を落とし、大きく首を横に振る。
ラグア「反省してる気持ちが伝わってこないぞ。
ことの重大さを理解してないようだぞ」
ヤシヤロ「………」
ラグア「僕は王様になるんだぞ。
多くの民を救うんだぞ」
ヤシヤロ「………」
ラグア「お雨とは違うんだぞ!
僕は大陸を変えるんだぞ!
田舎の警備隊と戯れて!
一生を終えるお前とは違うんだぞ!
僕は新しい政府をつくるんだぞ!!
大君を倒すんだぞ!!王様になるんだぞ!
王様になって民を幸せにするんだぞ!
お前のようなやつが
逆らっていい人間じゃないんだぞ!!」
ヤシヤロ「……ぐあ…!」
腹を刺し、グリグリと刃先をひねって回した。
すっかりしゃがれた声でヤシヤロは叫ぶ。
傷を回復させ、再び謝るよう求めるラグア。
ヤシヤロは涙声で言った。
ヤシヤロ「…申し訳…ありません…でした…」
ラグア「どうもまだ本気じゃない感じがするんだ」
ヤシヤロ「…!!…どうか…どうかもう…
ご勘弁を…!」
ラグア「形だけ謝れば許してもらえるだろう。
そう思ってる感じが伝わってくるんだ」
ヤシヤロ「…反省してます…心から…!」
ラグア「適当に取り繕ってやり過ごそう。
そんな雰囲気なんだ」
ヤシヤロ「違う!断じて…違う!」
ラグア「分かるんだぞ。僕には分かるんだぞ。
顔を見れば、声を聞けば、全部分かるんだぞ。
人間が本当に反省しているか。
ちゃんと分かるんだぞ!
ごまかせないんだぞ!
王様になる男の目は騙せないんだぞ!」
ヤシヤロ「そんな…そんなぁ…!」
ラグア「本気で反省し、謝っている人は
もっと涙を流し、声を震わせるんだぞ!
人の心に訴えかけるものがあるんだぞ!!
そういう態度がお前には見られないんだぞ!」
それから、14回。
ラグアはヤシヤロを痛めつけては回復させた。
ヤシヤロは声を震わせ、汗を垂らし、涙を流す。
そして、謝った。
ヤシヤロ「…申し訳ございませんでした…!!」
ラグア「………」
ヤシヤロ「本当に申し訳…ございませんでした!!
申し訳ございませんでした!
申し訳ございませんでした!!
申し訳ございませんでした…
申し訳ございませんでした…!
申し訳ございませんでした…!!申し訳…!」
ラグア「…まぁ、いいだろう」
ヤシヤロ「…!!」
ヤシヤロの表情がわずかに緩んだ。
次の瞬間。
ラグアはヤシヤロの頭に王攻剣を叩き込んだ。
ヤシヤロ「あぶっ!!!!」
◇ ヤシヤロに19562のダメージ。
◇ ヤシヤロを倒した。
◇ ラグアは戦いに勝利した。
◇ ラグアはレベルが上がった。(レベル30 → 31)
ラグアは辺りを見回す。
光玉を放ち、周囲を照らす。
光を強め、遠くまで見る。
ラグア(3人…いる)
ラグアは感じ取っていた。
人の気配を。
だが、その姿は見えない。
ラグア(かなりの使い手だ。
どこにいるかつかませない。
さっきの連中とはまるで格が違う)
ラグアは静止し、神経を研ぎ澄ます。
ラグア(夜陰に乗じて僕を攻撃するつもりか…)
突然、背後から飛んでくる短剣。
ラグアはそれをひらりとかわす。
続けて2本目、3本目が飛んでくる。
体をひねり、かがませ、すべてをかわす。
ラグア(そこか)
短剣が飛んできた場所を突き止める。
真っ暗な林の中。
手に魔力を集中させ、王火で反撃を試みた。
そのとき。
ラグア「!!」
強烈な蹴りがラグアの顔面をとらえた。
勢いよく飛ばされ、地面を転がる。
◇ ラグアに2922のダメージ。(HP 3338→416)
ラグア「…ぐうっ…!!」
苛烈瞬風蹴り(かれつしゅんぷうげり)。
格闘家オノクの得意技。
全身の回転力を蹴りの力に変える。
大型の獣さえ仕留めてしまう大技。
オノク「…ほっ!!」
蹴り飛ばされたラグアはすぐに起き上がる。
それとほぼ同時にまばゆい光が彼の体を包んだ。
◇ ラグアはHPが全回復した。(HP416→4202)
ラグア(一隊か…)
手を叩くオノク。
オノク「はっはっは!!こいつは驚いたぜ!!
オレの蹴りを食らって
立ち上がるやつがいるとはなぁ!!」
さらにもう2人。
建物の陰から1人。
林の中からもう1人。
姿を現す。
ラグア(一隊が…3人…)
ユイとシンモクの2人。
魔力を高めて、じっとラグアを見据える。
ユイ(…なるほど。
向かい合うと余計に強さが分かる。
町の警備隊じゃまったく歯が立たないわけだ。
そして…なかなか手が出せなかったわけだ…。
エオクシも…アヅミナさんも…!)
シンモク(オノクの蹴りを浴びて、
一瞬で回復しただと…!?
蹴りは完全に入った!
普通なら死んで当然の一撃!
敵ながら…なんと見事な光術!
驚くべき…再生能力…!
こいつ…不死身か…!?)
オノクが大声で夜空に向かって言う。
オノク「こいつは無理だ!!」
ユイ&シンモク「………」
ラグア「……?」
オノクは笑いながら言った。
オノク「こいつ、なんだか気に食わねえ。
顔も!態度も!!
だから生け捕りは無理だ!
…ぶっ潰すぜ?ここで」
シンモク「それで問題ないだろう」
ユイ「連携して仕留めるよ」
ユイの煌石剣が熱を帯びる。
ラグアは剣を構えて、魔力を急激に高めた。
放たれる強烈な魔波。
思いがけない圧力。
3人は思わず身をこわばらせる。
ユイ&オノク&シンモク「!!」
ラグア「僕もこんなところで負けてられない。
相手が大前隊だろうと、一隊だろうと、
倒して進む。僕は王様になる男だからな」
オノクが前に出る。
オノク「ははっ。
ムカつくが、おもしれぇやつだなぁ。お前。
何秒持つのか試してやろうじゃねえか!!」
大前隊とラグアの戦いが始まった。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ ユイ ◇
◇ レベル 33
◇ HP 1711/1711
◇ 攻撃
31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★
◇ 防御
24★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 素早さ
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 魔力
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 煌石剣、連花戦闘衣
◇ 技 千刺連撃、炎舞剣
◇ 魔術 火弾、火砲、火柱
◇ オノク ◇
◇ レベル 36
◇ HP 2337/2337
◇ 攻撃
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 素早さ
27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 魔力 3★★★
◇ 装備 真鋭の爪、真衛の道着
◇ 技 勇壮連打、苛烈瞬風蹴り(かれつしゅんぷうげり)、
縦横無尽破壊拳
◇ 魔術 岩弾
◇ シンモク ◇
◇ レベル 34
◇ HP 1693/1693
◇ 攻撃
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 魔波集攻剣、魔布戦闘着
◇ 技 火炎剣、雷断剣、炎雷剣
◇ 魔術 火弾、火球
雷弾、雷砲、雷刃
光球、治療魔術
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ ラグア ◇
◇ レベル 31
◇ HP 4202/4202
◇ 攻撃
41★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★
◇ 防御
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 素早さ
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 魔力
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 秘力 15★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 古代王の剣、破壊の矛、
安定の玉、古代王の鎧
◇ 技 二連剣撃、三連剣撃、王攻剣、放光剣
◇ 魔術 火弾、火球、火砲、王火
雷弾、雷球、雷砲
岩弾、岩球、岩砲、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術
◇ 秘術 白剣