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アルジ往戦記  作者: roak
159/300

第159話 残像

ザンタクは動く。

検査官たちの危機を察知して。

何か手を打たなければ、全員殺される。

それが彼の直感。


ザンタク「なあ!あんた!ちょっと聞いてくれ!

 聞いてくれよ!!頼むから!!待ってくれ!」


ラグアの方へ歩いていく。

警備隊員たちの死体を踏み越えて。


ラグア「………」

ザンタク「あんた!勘違いしてねえか?」


彼はラグアの前に立つ。


ザンタク「オレたちはなんにもしちゃいねえ!

 警備隊を倒すのは分かる!

 あんたを殺そうとしたからな!

 だが、オレたちを狙うのは違うだろ!?

 オレたちはなんもあんたに悪さをしてねえ!」

ラグア「………」

ザンタク「なあ!そうだろう!?

 警備隊を倒すのは分かる!!

 お前さんをこんなところに連れ出して

 殺そうとしたんだ!

 そして、お前さんは身を守るため反撃した!!

 不当な処置にあんたは抵抗した!

 そうするしかなかった!!

 納得がいく!正当防衛だ!

 なぁんにも!!悪くねえよ!!

 確かにあんたの発言は問題だった!

 大君は無能だとか…

 あれはよくねえ!よくねえよ!!

 だがな!実例はない!

 そんな発言で逮捕されたなんて!

 そういう話は聞いたことがない!!だから…」

ヤシヤロ「ザンタク…!…お前…!何を…!」

ザンタク「警備隊は殺されて当然っちゃ当然だ!

 顧問のあいつも!ヤシヤロもだ!!

 殺されても仕方ねえ!

 あいつが今回の首謀者だからなぁ!!」

ヤシヤロ「な…!なんだと!!この野郎!!

 ふざけんな!!」


後ろで激昂するヤシヤロ。

ザンタクは彼に目もくれず続けた。


ザンタク「あんたの将来の夢を

 笑っちまったことは謝る!

 王様になるなんて、

 オレたちにはあまりにもデカ過ぎる話で、

 何かの冗談だと思っちまったんだ!!

 すまん!!本当にすまなかった!

 大志を抱くことは悪いことじゃねえ!

 むしろいいことだ!!そうだ!!

 どんな大物もそうだ!!

 最初に大志を抱いたから!!

 今があるんだと思う!!

 実現はかなり難しいとは思うが、

 頑張ってほしいと思う!!

 なあ、だから、どうだ?」

ラグア「………」

ザンタク「ここはどうだ。

 オレたちは帰らせてくれないか。

 警備隊と仕事をして、

 一緒に飯を食ってたもんだから、

 ここまで一緒に来ちまった。

 オレたちはそれだけなんだ」

ラグア「………」

ザンタク「なあ、いいだろ?行くぜ?オレたちは」

ラグア「………」

ザンタク「これは、念のためだ。

 念のため聞いてみた。

 さっきすげえ顔でこっち見てたからよ。

 剣を構えてたからよ。

 少し不安になっちまった」

ラグア「そうか」

ザンタク「ああ。それじゃ…」


ラグアは素早く剣を振り抜いた。


ザンタク「いっ…!」


ザンタクは口元を手で押さえる。

膝をつき、うずくまる。

目を大きく見開く。

額にじっとりと汗を浮かべる。

彼の口は大きく横に裂かれた。

ほとんどの歯がへし折られた。

古代王の剣は、白く光り続ける。


検査官A「ザンタクさん!!」

検査官B「貴様ぁ!!!よくも!許さん!!」


飛び出したのは、2人の検査官。

1人がザンタクに駆け寄り、介抱する。

もう1人がラグアに襲いかかる。


ラグア(行くぞ!)


剣が放つ光は強くなる。

白く光るその剣をラグアは横に大きく振った。


検査官B「あう!!」


その一撃は、隊員の腹を裂き、背骨を断った。

上半身と下半身。

斬り離される。

◇ 検査官Bに5642のダメージ。

◇ 検査官Bを倒した。

後ろで見ていたヤシヤロは目を疑う。


ヤシヤロ「…!なんだ…?あれは…」


それは、振り抜いた剣の軌跡に現れた。

白くて太い帯のような光。

その光は、空中にじっと停滞している。


ザンタク「んん、んんん〜!!」

検査官A「大丈夫ですか!さあ、立ちましょう」


なんとか立ち上がるザンタク。

ラグアをにらみつけて、彼は叫ぶ。

斬られた口元を手で押さえたまま。

その叫び声は、人の言葉にならない。


ザンタク「ん〜!!んあん〜!!

 んああ!んん〜!んんん!!」


何が言いたいのかは分からない。

だが、激しく怒っていることは分かる。


検査官A「さあ、行きましょう!!」


ラグアに背を向けて歩き出そうとする2人。

そこへ続々とほかの検査官たちが駆けつける。


検査官C「ザンタクさん!」

検査官D「大丈夫ですか!!」

検査官E「歩けますか?」

検査官F「肩を貸しましょう」

検査官G「傷の処置は…」

検査官H「薬がある!!」


ザンタクの人望は厚かった。

検査官たちに囲まれて、連れられて、歩く。

ラグアから、少しでも遠くへ。


ラグア「…………」


彼が放った斬撃の残像は消えない。

白く、薄気味悪く光を放つ。

宙に浮かび続ける。

検査官たちは、特にそれを気に留めない。

光術の類と思い込み、見過ごした。


ヤシヤロ(おい!!!おい!!おい!!

 あれは…ただの魔術じゃねえぞ……!!

 光術なんかじゃねえ…!!

 ただの魔術の光じゃねえ…!

 何かは分からねえが…!!

 もっとやばいもんだ!!

 殺意だ!!あの光には!!

 強い殺意を感じる!!)


極めて危険なものと気づいたのはヤシヤロ。

彼1人だけ。

剣を下ろしてラグアは眺めている。

ザンタクを中心に群がって歩く検査官たちを。

ラグアは思いを込めた。

白く光る斬撃の残像に。


ラグア(行け…!!)


光の帯が解き放たれる。

その光は鋭利で巨大な刃と化す。

そして、検査官たちに襲いかかった。


ザンタク「…え?」


一瞬で広がり、飛んでいき、斬り裂いていく。

隊員たちの胴体を。


検査官A「ぐはっ!」

検査官C「おえっ!!」

検査官D「がふっ!」

検査官E「ごはっ!!!」


そして。


ザンタク「…おぉー!!ぁあああー!!!」


驚き、叫び、彼らは1人残らず斬られた。

分断された上半身が宙を舞って、地に落ちる。

ぼとり、ぼとり、ぼとりと鈍い音を立てて。

◇ 検査官Aに10635のダメージ。

◇ 検査官Cに9727のダメージ。

◇ 検査官Dに8556のダメージ。

◇ 検査官Eに9015のダメージ。

◇ 検査官Fに8994のダメージ。

◇ 検査官Gに9021のダメージ。

◇ 検査官Hに9799のダメージ。

◇ 検査官Iに9804のダメージ。

◇ 検査官Jに8580のダメージ。

◇ 検査官Kに8756のダメージ。

◇ 検査官Lに9191のダメージ。

◇ 検査官Mに9227のダメージ。

◇ 検査官Nに9311のダメージ。

◇ 検査官Oに9545のダメージ。

◇ 検査官Pに9099のダメージ。

◇ ザンタクに9973のダメージ。

◇ 検査官A、C〜Pを倒した。

◇ ザンタクを倒した。

◇ ラグアは戦いに勝利した。

◇ ラグアはレベルが上がった。(レベル29→30)

◇ ラグアは放光剣を習得した。

白い残像はフッと消える。

ヤシヤロのすぐ目の前で。


ヤシヤロ「…あ…ああ…!!」


放光剣。

ラグアの究極奥義。

光術と剣術を組み合わせた技。

それに秘術の1つ、白術を組み合わせたもの。

斬撃の軌跡を白く光る刃に変える。

それを前方に高速で広げて飛ばす。

飛ばせる距離は剣の長さの4倍ほど。


ヤシヤロ(これは…!!勝てない!!)


小さな光玉を肩の上に浮かべて歩くラグア。

1歩、また1歩、ヤシヤロに近づいていく。


ヤシヤロ(無理だ!悔しいが!!

 非常に悔しいが!!

 ここは逃げるしかない!逃げて!逃げて!

 逃げまくろう!!

 そして!!そして!!応援を呼ぼう!!)


ヤシヤロは駆け出した。

ラグアに背を向け、夢中になって駆けた。


ヤシヤロ(一隊だ!!そうだ!!

 一隊に戦ってもらおう!!

 あいつらなら…!止められるはずだ!

 倒せるはずだ!!そんときゃ!

 あいつが怖気づいて命乞いする姿を…!!

 この目でちゃあんと見てやるぜえ…!!)


突然、ヤシヤロは後頭部に強い衝撃を受ける。

その場に倒れ込み、両手で頭を押さえる。


ヤシヤロ「…ってー…!」


ラグアの放った岩砲が命中したのだった。

◇ ヤシヤロに1263のダメージ。

ラグアが追いつく。

ヤシヤロはうめきながら地に伏せている。

ラグアは荷物入れから太い縄を取り出す。

それでヤシヤロの首を締める。

背後から強く締め上げる。


ヤシヤロ「か…はあっ!かっは…!!

 ……うっ……」


ヤシヤロは気絶する。

ラグアは近くに巨木を見つける。

彼をそこに縛りつけた。

そして、治療魔術で回復させる。

◇ ヤシヤロはHPが944回復した。

気がつくヤシヤロ。


ヤシヤロ「…おい…てめえ…

 これは…なんの…真似だ…?」


正面に立つラグア。

燃えるような目でヤシヤロをにらみつける。


ラグア「僕に謝れ」

ヤシヤロ「…何…?」



◇◇ ステータス ◇◇

◇ ラグア ◇

◇ レベル  30

◇ HP   3338/3916

◇ 攻撃

 39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 素早さ

 41★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★

◇ 魔力

 38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力  15★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  古代王の剣、破壊の矛、

     安定の玉、古代王の鎧

◇ 技   二連剣撃、三連剣撃、王攻剣、放光剣

◇ 魔術  火弾、火球、火砲、王火

      雷弾、雷球、雷砲

      岩弾、岩球、岩砲、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術

◇ 秘術  白剣


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ ヤシヤロ ◇

◇ レベル 29

◇ HP   1836

◇ 攻撃

 20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 15★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  2★★

◇ 装備  朱鋼剣、耐火防護衣

◇ 技   波頭斬り

◇ 魔術  火弾

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