第157話 王様
警備隊員が叫ぶ。
警備隊員A「おい!女!!お前も立て!!」
ロニ「………」
ゆらりと立ち上がるロニ。
彼女の体から発せられる強烈な魔波。
警備隊員たちはたじろぐ。
警備隊員A「お前…一体…なんだ…?」
ロニ「何をそんなにおびえている。臆病者が」
警備隊員A「貴様…!我々を侮辱するな…!」
遠目から彼女の姿を見つめるのはザンタク。
ザンタク(あの女、魔術師か。
見たところ…かなりやる。
だが、この感じは…なんだ?
かなり不気味な感じだが…
闇の魔術師ともまた違う…一体…何者だ?)
ラグアとロニは、店の外に出る。
ヤシヤロに連れられて。
警備隊も正査院の検査官たちも外に出る。
店の裏の空き地で彼らは対峙する。
辺りは灯火の1つもない。
深い夜の闇に包まれていた。
ヤシヤロ「お前たちを逮捕する」
ラグア&ロニ「………」
ヤシヤロ「いや…」
剣を抜き、構えるヤシヤロ。
ヤシヤロ「ここでお前たちを処分する」
ザンタク(おうおう、
やっぱりそう来なくっちゃな!)
警備隊員たちも武器を構える。
ラグアとロニは棒立ち。
検査官たちはその様子を眺めていた。
ヤシヤロ「お前は…公然と大君を侮辱した。
これは断じて許されない。
大罪だ。極刑に値する」
ラグア「………」
ヤシヤロ「大前隊の隊員であるこのオレが…
責任を持って貴様らを処分する」
ラグア「………」
ヤシヤロ「火を灯せ!」
4人の警備隊員が懐から棒を取り出す。
その先端に火を灯し、ヤシヤロの視界を確保。
ロニはくすりと笑う。
両腕を変形させて翼の形に変えた。
ヤシヤロ「!!?」
彼女は羽ばたき、飛び上がる。
空高くへ。
どよめき、見上げる警備隊員たち。
ヤシヤロ「なん…だ…!?」
ロニ「ラグア、私は先に行くぞ!」
ラグアはロニに問いかける。
ヤシヤロたちに目を向けたまま。
ラグア「どこに行く?」
ロニ「面白いものを見てくる。
大騒ぎの大宴会だ。
そろそろいい頃合いなのだ!」
ラグア「…そうか」
ロニは遠くへ飛び去った。
ラグアは小さな声で言う。
ラグア「…あまり自分の力に溺れるなよ…」
その言葉はロニの耳に届かない。
ヤシヤロは歯を食いしばり悔しがる。
ヤシヤロ「…クソゥ!!」
ザンタク「まあ、いいさ!いい!気にするな!
あの女は別に何もしてねえからな!!
無罪だ!無罪無罪!」
ラグアの顔を見てザンタクは言う。
ザンタク「だが、こいつだけは…逃すなよ!
お前ら!!」
ヤシヤロ「…分かってますよ!!」
ラグアはヤシヤロたちに告げる。
怒りに満ちた顔で。
ラグア「無礼だぞ」
ヤシヤロ「…は?」
警備隊員たち&検査官たち「………」
ラグア「無礼だぞ。お前たち。
僕は王様になるんだぞ」
耳を疑うヤシヤロ。
ヤシヤロ「…は?」
警備隊員たち&検査官たち「………」
ザンタク「…王…様…?」
ラグアは大声で言う。
ラグア「お前ら!!僕に謝れ!!
こんな場所に連れ出して!!
無礼だぞ!極めて無礼だぞ!
僕は王様になる男なんだぞ!!」
ヤシヤロ「………」
困惑するヤシヤロたち。
ヤシヤロ「は…はは…こいつは…
こいつはぁ…傑作だぁ!」
ラグアは大声で言う。
ラグア「僕は一般人じゃないんだぞ!
普通の人じゃないんだぞ!!
王様になる人なんだぞ!!
王様になる僕を逮捕するだとか!!
処分するだとか!!
失礼極まりないんだぞ!!謝れっ!!!!」
ついには、ヤシヤロたちは爆笑した。
ヤシヤロ「わは!わははははははっ!!!」
警備隊員たち&検査官たち「だははははは!」
ザンタク「かははは!!かははははは!!!」
腹を抱え、涙を浮かべてヤシヤロは言う。
ヤシヤロ「かぁああ!!最高だ!!傑作だ!!
今日1番笑ったぜ!!王様!!
王様だってよぉお!!」
警備隊員たち&検査官たち「ははは!!
あははは!!!」
ザンタク「わははははは!!こりゃひでえや!」
ラグア「………」
ヤシヤロ「はははは!!……はあ!」
ヤシヤロは笑うのをやめて警備隊員たちに命じる。
ヤシヤロ「殺せ」
警備隊員たちの顔が一斉に引き締まる。
ヤシヤロ「今日は俺が隊長代行だ。
あの愚か者を殺せ。
取り囲んで、徹底的に潰せ。
思い知らせてから、殺せ。
大君を、そして、俺たちを侮辱すると、
どうなるか。
王様だとか、ふざけたことを抜かしていると、
どうなるか。
あの愚か者に、十分に分からせてから、殺せ」
警備隊員たち「…はっ!!!」
武器を手にラグアを囲む警備隊員たち。
ラグアはその1人1人の姿を見る。
戦力を推し量る。
ラグア(警備隊が19人。その顧問が1人。
正査院が17人。
みんなそれなりに鍛えられているな。
だが、強くはない。
魔術を使う者は3人か。火術と氷術。
だが、強くはない)
警備隊員A「ラァァァアア!!逃がさん!!」
ラグア(感覚を取り戻すには、
ちょうどいいかもしれないな)
ラグアは剣を構える。
その剣は長く、太く、まっすぐで、美しい。
古代王の剣。
大切に受け継がれてきた古の武器。
その剣はノイ民を救い、導く者の剣。
ラグアは認められた。
その剣を扱う者として。
ノイ民の総意によって。
ラグア「行くぞ」
突き出す。
剣を、素早く。
刺す。
急所を、深く。
警備隊員A「…あたっ!」
◇ 警備隊員Aに1626のダメージ。
◇ 警備隊員Aを倒した。
背中から突き出た刃。
ラグアは軽やかに引き抜く。
刺された警備隊員は地面に倒れ込む。
警備隊員B「ああああああ!!!!」
彼は叫んだ。
恐れを紛らわすために。
勢いよく剣を振り上げる。
そのとき。
古代王の剣が貫く。
彼の胴体を。
刃は、彼の心臓を破る。
◇ 警備隊員Bに1891のダメージ。
◇ 警備隊員Bを倒した。
さらに別の警備隊員が襲いかかる。
警備隊員C「たあっ!!」
ラグアはひらりと避けて反撃する。
素早く剣を振る。
2度の斬撃を彼の体に叩き込む。
二連剣撃。
ラグアの得意技。
頭部と胸部。
正確に相手の急所を斬り裂いた。
◇ 警備隊員Cに2381のダメージ。
◇ 警備隊員Cを倒した。
◇ ラグアは戦いに勝利した。
◇ ラグアはレベルが上がった。(レベル24 → 25)
驚き、その場にとどまる警備隊員たち。
ラグア(まだかなり体が鈍っているぞ…)
警備隊員たちの武器の先端が震え出す。
ヤシヤロは腕を組み、戦いを静かに見守る。
ヤシヤロ(思ったよりもやるな…。こいつ…)
今度は警備隊員が2人同時に襲いかかる。
ラグア(試してみよう)
ラグアは魔力を高め、腕を振った。
彼の手から放たれたもの。
それは、一瞬で肉を焦がす猛烈な炎。
警備隊員D&E「ぎゃああああ!!!」
◇ 警備隊員Dに3016のダメージ。
◇ 警備隊員Eに2893のダメージ。
◇ 警備隊員D、Eを倒した。
◇ ラグアは戦いに勝利した。
◇ ラグアはレベルが上がった。(レベル25→26)
◇ ラグアは王火を習得した。
ラグア(よし、これだ。思い出したぞ!)
警備隊員たち「…!!」
ヤシヤロ(こいつ…魔術も使えるのか…)
ザンタク「おいおい…こいつは…どういうことだ…?」
警備隊員たちは腰が引けていた。
ラグアは悠然と歩き、間合いをつめていく。
そして、1人、また1人と斬り伏せていく。
警備隊員F「あう!」
警備隊員G「くう!」
◇ 警備隊員Fに2111のダメージ。
◇ 警備隊員Gに2003のダメージ。
◇ 警備隊員F、Gを倒した。
ラグア(久しぶりにやってみよう)
1人の警備隊員に狙いを定める。
警備隊員H「…え?」
全身を躍動させ、3回の斬撃を敵に叩き込む。
三連剣撃。
二連剣撃を発展させた大技。
見事に決まる。
標的となった警備隊員は崩れ落ちた。
ボロ切れのような姿で。
◇ 警備隊員Hに5394のダメージ。
◇ 警備隊員Hを倒した。
◇ ラグアは戦いに勝利した。
◇ ラグアはレベルが上がった。(レベル26 → 27)
◇ ラグアは三連剣撃を習得した。
ラグア「よし、調子が出てきたぞ」
焦りの色を隠せないザンタク。
ヤシヤロの背中を叩く。
ザンタク「…おい!…どうする…!
いいのか…これで…!」
ヤシヤロ「…う…うるせえ…!」
ヤシヤロは額に汗を浮かべてラグアを見る。
ヤシヤロ(なんだ!なんなんだ…!
こいつは…!一体!!
さっきの魔術といい…剣術といい…
どうやらこいつは…
ただのごろつきじゃねえようだ…!)
警備隊員たちは戦意を失いつつあった。
しかし、彼らは決して逃げ出さない。
震える手で武器を持つ。
目の前の敵に敢然と立ち向かう。
そんな彼らにラグアはさらに襲いかかる。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ ラグア ◇
◇ レベル 27
◇ HP 2113/3186
◇ 攻撃
32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★
◇ 秘力 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 古代王の剣、破壊の矛、安定の玉、古代王の鎧
◇ 技 二連剣撃、三連剣撃
◇ 魔術 火弾、火球、火砲、王火
雷弾、雷球、雷砲
岩弾、岩球、岩砲
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ 秘術 白剣
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ ホトラ町警備隊員 ◇
◇ レベル 10
◇ HP 353
◇ 攻撃 6★★★★★★
◇ 防御 8★★★★★★★★
◇ 素早さ 4★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 鋼の短剣、革の防護衣
◇ 技
◇ ヤシヤロ ◇
◇ レベル 29
◇ HP 1836
◇ 攻撃
20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 15★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 2★★
◇ 装備 朱鋼剣、耐火防護衣
◇ 技 波頭斬り
◇ 魔術 火弾
◇ 正査院検査官(南西地方担当部) ◇
◇ レベル 8
◇ HP 292
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 6★★★★★★
◇ 素早さ 5★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 小型護身剣、軽量護身衣
◇ 技
◇ ザンタク ◇
◇ レベル 24
◇ HP 1299
◇ 攻撃 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 16★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 10★★★★★★★★★★
◇ 魔力 3★★★
◇ 装備 衛明剣、強化防護衣
◇ 技 大進剣
◇ 魔術 氷弾
◇ ヨシナガ(ホトラ町警備隊副隊長) ◇
◇ レベル 17
◇ HP 844
◇ 攻撃
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 11★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 13★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 1★
◇ 装備 細長曲剣、軽量護身衣
◇ 技 夢者苦捨斬り
◇ 魔術 火弾