第148話 刺激
◆ 猟師の基地 ◆
狩りの準備を始める猟師たち。
辺りに響く低いうなり声。
魔獣は基地の近くまで来ていた。
ゲンダが声を張り、指示を出す。
ゲンダ「天乱陣だ!!」
キャモ&ルノ&カナミ&ゴタンジ&コイナミ
「了解!!」
アルジ&エミカ「………」
陣形を組む猟師たち。
ゲンダが右、ゴタンジが左。
両端に立つ。
その間にキャモ、ルノ、カナミ、コイナミが並ぶ。
後方へ膨らむような配置で。
天乱陣が完成した。
半開きの出入口の扉。
魔獣はもうすぐそこにいる。
撃ち手の4人が弓を構えた。
4人は一気に魔力を高める。
そして、その魔力を矢の先端に集めた。
ゲンダ「魔雷矢!用意!」
カナミ&コイナミ「完了!」
バチバチと音が鳴る。
矢の先端が雷光に包まれる。
ゲンダ「魔氷矢!用意!」
キャモ&ルノ「完了!」
ピキピキと音を立てる。
矢の先端が冷気に覆われる。
狩りの準備が整った。
立ち上がってからわずかな時間の出来事。
アルジ(速い…!)
エミカ(動きに乱れがまったくない!)
ずしっという音。
出入口の向こう側。
基地の外、暗闇の中。
太く毛深い脚が見える。
その魔獣は姿勢を低くする。
基地の中をのぞきこむ。
おぞましいうなり声を上げながら。
基地の天井近くを浮遊するエミカの光玉。
その光が、魔獣の鼻先を照らす。
ぎらりと輝く青色の目が闇の中に見える。
そして、それは基地に足を踏み入れた。
人の背丈を優に超える体高。
硬くとがった黄土色の体毛。
驚きを隠せない猟師たち。
ゲンダ「こいつは…まさか!」
ゴタンジ「カヤタマノネコ…だ!!」
キャモ「文句なしの恐獣級…!」
カナミ「こんなところにいるなんて…!」
魔獣カヤタマノネコ。
大きな体。
鋭い爪と牙。
硬い毛皮。
荒々しい魔力。
その危険度はヤサハカイヌとほぼ同等。
アルジ「よし…オレたちもやるか!」
天乱陣の後ろで剣を構えるアルジ。
エミカ「アルジ」
アルジ「なんだ?」
エミカ「余計な手出しはいらないみたいだよ。
…ここはお手並拝見といこう」
冷静に迎え撃つゲンダたち。
その姿を見てうなずくアルジ。
アルジ「そうだな!そうするか」
ゲンダの号令がかかる。
大陸猟進会精鋭部隊の狩りが始まった。
ゲンダ「発射!!」
一斉に矢が放たれる。
魔雷矢と魔氷矢が撃ち込まれる。
ドスッドスッと音を立てて命中。
カヤタマノネコは激しく体をくねらせる。
ブルブルと体毛を震わせながら。
◇ カヤタマノネコに1383のダメージ。
基地の中でたまらずうずくまる。
キャモ「抑止完了!」
ゲンダ「一気に決めるぜ!」
跳びかかるゲンダとゴタンジ。
ゲンダ「破獣撃!!!」
ゲンダは魔獣の首めがけて振り下ろす。
規格外の重さを誇る大剣、重練剣を。
◇ カヤタマノネコに2721のダメージ。
ゴタンジ「落陽!!」
さらに振り下ろされる重練剣。
ゴタンジの得意技、落陽が炸裂する。
その斬撃は、毛皮を裂き、頭骨を砕く。
圧倒的破壊力。
その代償は大きな隙。
技を繰り出す前後に生じる大きな隙。
人対人の戦いなら命取りになるほど。
だが、ゴタンジは気にしない。
獲物は動けないのだから。
仲間との連携、仲間への信頼が生む大技。
◇ カヤタマノネコに5056のダメージ。
◇ カヤタマノネコを倒した。
ゴタンジ「一丁上がりだ!」
ゲンダ「ちっ!相変わらずなんて力だ。
技の威力じゃお前にはかなわんな!」
ゴタンジ「はははっ!任せとけ!」
一仕事終え、緊張を解くゲンダたち。
アルジ「迫力あるな」
エミカ「感心してる場合じゃないようだ」
アルジ「?」
エミカ「裏口からも来てる」
アルジ「!」
エミカは基地の反対側の出入口を指差す。
アルジが目を向ける。
轟音が基地内に響き渡る。
裏口の扉が破られた。
カヤタマノネコが入ってくる。
列をなし、ぞろぞろと歩き、進む。
全部で4頭いた。
ゲンダ「…なんだと!!」
ルノ「これ多過ぎない!?」
ゴタンジ「こいつは骨が折れるぜ…!」
焦りを隠せないゲンダたち。
エミカ「私たちもあの戦い方にならってみよう」
アルジ「行けるか?」
エミカ「王氷を4回…。魔力は大丈夫」
アルジ「よし。斬るのは任せろ!」
立て続けに王氷を放つエミカ。
4つの冷気の塊は次々と魔獣に命中。
◇ カヤタマノネコAに2556のダメージ。
◇ カヤタマノネコBに1988のダメージ。
◇ カヤタマノネコCに2141のダメージ。
◇ カヤタマノネコDに2273のダメージ。
カヤタマノネコたちは凍えてうずくまる。
エミカ(離れた敵には術の威力がかなり落ちる。
やっぱり火術とは使い勝手が違うみたいだ。
早く…早く正しい感覚を身につけたい。
氷術も…雷術も…岩術も…光術も…!)
駆け出すアルジ。
アルジ「行くぜ!!」
激しく剣を振る。
剛刃波状斬撃で1頭、また1頭と斬っていく。
速く、深く、狙った急所を的確に。
◇ カヤタマノネコAに7092のダメージ。
◇ カヤタマノネコBに6541のダメージ。
◇ カヤタマノネコCに6291のダメージ
◇ カヤタマノネコDに6674のダメージ。
◇ カヤタマノネコA〜Dを倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
◇ アルジはレベルが上がった。(レベル26→27)
◇ エミカはレベルが上がった。(レベル22→23)
転がる4頭の死体。
静かにその場に立ち、眺めるアルジ。
アルジ「…こんなもんか」
ゲンダ「………」
アルジはエミカの方を向く。
アルジ「まだ来そうか?」
エミカ「とりあえず大丈夫。近くに魔波はない」
アルジ「そっか」
キャモ&ルノ&カナミ「………」
アルジはエミカに近寄る。
エミカ「なんだ?」
アルジ「ゲンダたちに言っておこうと思う。
あいつのことを…」
エミカ「あいつのこと…」
アルジ「…ロニのことだ」
エミカ「うん…それがいいな」
ゴタンジ&コイナミ「………」
アルジは猟師たちの方を向く。
高く手を上げて言った。
アルジ「1つ…いいか?」
ゲンダ「…どうした?」
アルジ「オレたちからもゲンダさんたちに
伝えておきたいことがあるんだ」
ゲンダ「なんだ?」
アルジ「ロニという魔術師について」
キャモ&ルノ&カナミ「………」
ゲンダ「…聞かせてもらおう」
8人は再び輪になって床に座る。
アルジは伝えた。
オオトノラコアを倒すときロニが現れたことを。
彼女が王獣という恐ろしい魔術を使ったことを。
エミカとともに戦ったが、倒し損なったことを。
そして、彼女が再び現れるかもしれないことを。
ゲンダたちは、アルジの話を黙って聞いた。
アルジ「オレたちはあいつを必ず倒す。
今度目の前に現れたら。そのつもりだ」
ゲンダ「獣魔術師ロニか」
エミカ「そうだ。獣魔術。
獣を操り、獣を生み出す。
そういう特殊な魔術をロニは使う」
キャモ「私たちもその情報は聞いてた」
ルノ「今回の魔獣騒動の黒幕なんだろ?」
アルジ「そうだ」
ゴタンジ「アルジたちだけの敵じゃねえ。
オレたちの敵でもあるわけだ」
ゲンダ「そいつが現れたらともに戦おう」
アルジ「それは助かる。ありがとう」
ゴタンジ「それにしても…だ」
アルジ「…なんだ?」
ゴタンジ「お前らなんであんなに強い?」
アルジ&エミカ「………」
ゴタンジ「あんな戦い見せられて正直参ったぜ」
ゲンダ「そうだな…。お株を奪われた気分だ。
あの強さならオオトノラコアも倒せるわけだ」
キャモ「どこでどうやって修行したんだい?」
アルジ「………」
ルノ「もったいぶらずに言うんだ」
アルジ「ああ」
カナミ「いい師匠がいるんなら紹介してよ」
アルジ「いや…」
アルジは少し考えてから話した。
アルジ「強くなりたいと思ったからだ」
ゲンダ「…それだけか?」
アルジ「ああ。強くなりたい。そう思ったから」
キャモ「本当にそれだけで強くなれるのか?」
アルジ「なった」
キャモ「………」
ルノ「それで強くなれるなら誰でも強くなれるわ」
カナミ「ほら、ゴタンジも」
ゴタンジ「…は?」
カナミ「もっと強くなりたいって思いな」
ゴタンジ「あのなぁ…」
アルジは静かに笑ってから話す。
アルジ「きっかけは村の宝が奪われたことだ」
ゲンダ「………」
アルジ「3年前、安定の玉が奪われて、
取り返したいと思って、
だけど…あのときのオレは…まだ弱くて…
戦っても全然勝てるわけがなくて…
だから…強くなりたいと思ったんだ」
悔しさがよみがえる。
思わず歯を食いしばる。
キャモ&ルノ&カナミ&ゴタンジ「………」
ゲンダ「…そうか」
コイナミ「………」
エミカが気づく。
勇気の剣が微かに光っていることに。
エミカ「アルジ」
アルジ「…?」
エミカ「剣が…」
アルジ「ああ」
剣を持ち上げ、ゲンダたちに見せる。
ゲンダ「!!」
キャモ&ルノ&カナミ&ゴタンジ「……!」
コイナミ(…すごい…本当に…この人は…)
アルジ「あとは、この…勇気の剣のおかげだ。
こいつがオレに…力を与えてくれてる」
ゲンダ&コイナミ「………」
アルジ「だからオレは強くなれたんだと思う。
それで、これからもっと強くなりたいと思う。
村の宝を取り返すために。
魔真体を食い止めるために」
キャモ&ルノ&カナミ&ゴタンジ「………」
ゲンダ「…そうか。分かった」
アルジ「………」
ゲンダ「その心意気…
負けてはいられないと思った」
ゴタンジ「そうだな。いい刺激になった」
アルジ「えっと、オレは別に…」
ルノ「照れるなよ」
アルジ「………」
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 27
◇ HP 2277/3233
◇ 攻撃
39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 素早さ
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 6★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 23
◇ HP 1452/1883
◇ 攻撃 10★★★★★★★★★★
◇ 防御
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 素早さ
23★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★
◇ 魔力
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ ゲンダ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 2147/2147
◇ 攻撃
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 防御
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 8★★★★★★★★
◇ 装備 剛鉄剣、猟進弓、強化革の防護衣
◇ 技 破獣撃、魔氷矢
◇ 魔術 氷弾
◇ キャモ ◇
◇ レベル 25
◇ HP 1162/1162
◇ 攻撃
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 魔力
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 猟進弓、剛鉄戦斧、強化革の防護衣
◇ 技 魔氷矢
◇ 魔術 氷弾、氷球
光玉、光帯、治療魔術
◇ ルノ ◇
◇ レベル 24
◇ HP 966/966
◇ 攻撃 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 16★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 魔力
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 猟進弓、青銀の短剣、強化革の防護衣
◇ 技 魔氷矢
◇ 魔術 火弾、火球
氷弾、氷球
◇ カナミ ◇
◇ レベル 24
◇ HP 1047/1047
◇ 攻撃
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★
◇ 魔力
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 猟進弓、強猟槍、強化革の防護衣
◇ 技 魔雷矢
◇ 魔術 雷弾、雷砲
◇ ゴタンジ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 2555/2555
◇ 攻撃
35★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 12★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 重練剣、強化革の防護衣
◇ 技 斬破、落陽
◇ 魔術
◇ コイナミ ◇
◇ レベル 17
◇ HP 731/731
◇ 攻撃 11★★★★★★★★★★★
◇ 防御
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 13★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 猟進弓、猟師の手斧、強化革の防護衣
◇ 技 魔雷矢
◇ 魔術 雷弾
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15