第144話 殻化
◆ 猟師の基地 ◆
アルジとエミカは目を合わせてうなずき合う。
ゲンダ「どうするんだ?」
アルジ「………」
ゲンダ「入るのか?入らないのか?」
アルジ「大陸猟進会に…入る」
ゲンダ「そうか…!」
ゲンダは仲間たちに声を張る。
ゲンダ「だそうだ、みんな」
仲間たちは考える。
キャモ(悪いやつらじゃなさそうだしね)
ルノ(腕は立つんだろう)
カナミ(入りたいなら拒まない)
ゴタンジ(覇獣級を倒したその力、
見せてもらうとするか)
コイナミ(まさか本当に合流するなんて)
そして、訪れる静寂。
加入に異論はない。
そういうことだった。
ゲンダ「1つ聞かせてくれ」
アルジ「なんだ?」
ゲンダ「なぜ入ることにした?」
ゲンダの目つきは鋭い。
アルジ「オオトノラコアと戦って分かった」
ゲンダ「何が分かった?」
アルジ「覇獣級は強い」
ゲンダ「当たり前だ」
アルジ「………」
キャモがクスリと笑う。
アルジ「オレたちには作戦なんてなかった。
今日の戦いは本当に力と力の勝負だった。
それでも行けると思ってた。だけど、
オレは殴られた。ぶっ飛ばされそうになった。
少し間違えたらやられてたと思う。
戦ってて心の底から負けるかもって思った。
だけど、2人だったから…
エミカの魔術があったからオレたちは勝てた。
オオトノラコアになんとか勝てた」
エミカ「………」
ゲンダ「いい勉強になったんじゃないか」
アルジ「ああ」
ゴタンジ(覇獣級に力と力の勝負だと?
それがそもそも大間違いなんだがな…!)
ルノ(そりゃ誰だって死にかける。
いや、普通は死ぬ!)
アルジ「オレは…」
アルジは猟師たちの顔を見る。
1人1人と目が合う。
アルジ「あんたたちの話を聞いて思った。
一緒に戦えば確実に古代獣を倒せるって。
魔雷矢、魔氷矢、ゲンダさんのその剣も。
見てて思った。だから、入りたい。
大陸猟進会に。倒したい。古代獣を」
ゲンダはじっとアルジの顔を見る。
ゲンダ「いいだろう。入れてやる」
アルジ&エミカ「………」
ゲンダ「改めて名乗れよ」
アルジ「オレはナキ村のアルジ。
剣士だ。よろしく」
ゲンダ「よろしく」
次にゲンダはエミカを見る。
彼女に視線が集まる。
エミカ「私はクユの国、ワノエ町のエミカ。
魔術師。火術が得意だ。よろしく」
ゲンダ「よろしく。光術は得意じゃないのか?
こんなに使えるのに」
エミカ「まだまだ練習中だ」
ゲンダ「そうか。さらなる上達に期待しよう」
キャモ(まだ成長するつもりか)
猟師たちが立ち上がる。
1人、また1人と。
自らの名前と役割を明かす。
キャモ「私はキャモ。魔氷矢使い。撃ち手だ。
光術も使える。
私の魔術、光帯は森で見たよな」
アルジ「ああ。あのときはありがとう」
キャモ「また夜の森を歩くことがあれば使おう。
当面はごめんだが。よろしく」
ゴタンジ「オレはゴタンジという。斬り手だ。
魔術はからっきしだが、力押しなら任せろ。
よろしく」
カナミ「カナミだ。撃ち手だ。
魔雷矢が使える。よろしく」
ルノ「私はルノ。撃ち手。魔氷矢が得意。
火術も少しだが使える。よろしく」
コイナミ「私はコイナミ。
さっき見せたとおり魔雷矢の撃ち手。
ゲンダ先生の弟子だ。よろしく」
自己紹介を終えて8人に結束感が生まれる。
◇ ゲンダが仲間になった。
◇ キャモが仲間になった。
◇ ルノが仲間になった。
◇ カナミが仲間になった。
◇ ゴタンジが仲間になった。
◇ コイナミが仲間になった。
ゲンダは手を叩く。
ゲンダ「さて、作戦会議と行こうじゃないか」
全員が輪になって床に座り込む。
ゲンダ「今後の予定について話そう。
コノマノヤタラズマは現在活動休止中だ」
アルジ「…え?」
エミカ「活動休止中って…?」
ゲンダ「当会の獣判別士の話によれば、
翌朝までは動かないだろうって話だ。
オオトノラコアを狩るため来たが、
新入りの2人が倒してくれていた。
おかげでかなりの余裕ができた。
礼を言う。ありがとう。アルジ、エミカ」
アルジ「別にオレたちは…」
エミカ「賞金のためだったしな」
ゲンダ「それでもいいんだ。感謝する。
政府からの手紙に書いてあった。
タキマイ派も奥猟会も
まったく力が及ばなかったと。
オオトノラコアはかなり手強い魔獣だと。
ここへ来るまで正直言って憂鬱だった。
そしたらどうだ。お前たちが現れて…
こんなことになってると思わなかった。
感謝する。入会してくれたことにもな」
アルジ「別にいいぜ」
キャモ「大したものさ」
アルジ「いや…まあ、そうかな」
カナミ「やってくれるじゃない」
アルジ「おう、次も任せろ」
ルノ「あんまり調子に乗るなよ」
アルジ「………」
ルノの顔は笑っていた。
ゲンダ「これからオレたちは休息する。
次の狩りに備えて力を蓄えるとしよう。
そして、夜が明けないうちにここを出る。
その後、現地にて本隊と合流する。
コノマノヤタラズマの討伐だ。いいな!」
キャモ&ルノ&カナミ&ゴタンジ&コイナミ
「了解!!」
アルジ&エミカ「………」
アルジに目を向けるゲンダ。
ゲンダ「アルジ、質問があれば言ってくれ」
アルジ「さっきコノマノヤタラズマは
活動休止中って言ったよな。どういうことだ?
コノマノヤタラズマは休んでるのか?」
ゲンダ「ああ、休んでるようなものだ。
だが、正確には休んでるわけではない。
殻化といってな…」
アルジ「殻化?」
ゴタンジ「硬い殻に覆われている」
キャモ「虫のサナギみたいなものさ」
アルジ「サナギ…あの硬くなるやつか」
カナミ「そうだよ」
ルノ「殻を破ったとき、さらに強くなる。
蓄えた栄養を使って生まれ変わるのさ」
カナミ「カロの町でたくさんの人を食べて、
たっぷり栄養とっただろうからな。
出てくれば、かなりヤバイことになる」
アルジ「そんな魔獣もいるのか」
ゲンダ「ああ、いる。ごく一部だが」
エミカが問いかける。
エミカ「今のうちに攻撃できないのか?」
ゲンダ「できる。だが、今はできない」
エミカ「どういうことだ?」
ゲンダ「いろいろと問題があるんだ。
コノマノヤタラズマはカロの町を滅ぼして、
まっすぐナクサに来ると思われていた。
だが、予想は外れた。急に進路を変えたんだ」
アルジ「どこに行ったんだ?」
ゲンダ「ミノマノ村。小さな村だ」
エミカ「そこで殻に入ったのか?」
ゲンダ「そうだ」
アルジ「その村に行って攻撃するのは?」
ゲンダ「それができない」
アルジ「なんでだ?」
ゴタンジがため息をつく。
ゴタンジ「踊ってるのさ」
アルジ「踊ってる…?」
ゴタンジ「村の連中が集まって
殻の周りで踊ってる。おかげで手が出せない」
エミカ「そんなことしてどうする?」
キャモ「魔獣の怒りを鎮めようという考えさ」
アルジ「そんなのが効くのか?」
キャモ「さあ。知らない。
でも、多分効かないだろ」
エミカ「やめさせなくていいのか?
魔獣が目覚めたら…
大変なことになるんじゃないか?」
ゲンダ「ああ、大惨事になるだろうな。
だがな、それがなかなかうまくいかないのさ」
キャモは弓の弦を指先で弾く。
キャモ「現地は村の有力者が仕切っている」
アルジ「有力者…」
キャモ「村人の誰もがそいつに逆らえない」
アルジ「だからって、
放っておくわけにはいかないだろ。
強引に倒しに行くのはどうなんだ?」
キャモ「あいつらも本気さ。
うちらが無理に動けば、戦いは避けられない。
槍や矢が飛んでくる。
怪我人、いや、最悪死人が出る」
エミカ「そんな…」
アルジ「なんで踊りで魔獣を鎮めようとする?」
ゲンダ「不思議に思うだろう。
だが、彼らは真剣だ。
彼らには彼らの考えがある」
ゲンダは自分の荷物入れを漁る。
取り出したのは傷んだ1冊の本。
アルジ&エミカ「……?」
ゲンダ「『魔波と魔獣』。
それがこの本の題名だ。
そして、ミノマノ村の有力者は
この本を真実だと思っている」
アルジ「どんな本なんだ?」
ゲンダ「このたった1冊の本が妨げている。
オレたちの狩りを妨げているのさ」
エミカ「何が書いてあるんだ?」
ゴタンジが首を横に振る。
ゴタンジ「本当に厄介なのは魔獣じゃない。
その本と、それを信じるやつらってことだ」
アルジ&エミカ「………」
ゲンダ「大まかに教えよう。
これに何が書かれているのか」
ゲンダは明かす。
「魔波と魔獣」の内容について。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 2277/3005
◇ 攻撃
38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 素早さ
32★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 6★★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 21
◇ HP 1452/1783
◇ 攻撃 10★★★★★★★★★★
◇ 防御
27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 素早さ
22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★
◇ 魔力
43★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ ゲンダ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 2147/2147
◇ 攻撃
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 防御
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 8★★★★★★★★
◇ 装備 剛鉄剣、猟進弓、強化革の防護衣
◇ 技 破獣撃、魔氷矢
◇ 魔術 氷弾
◇ キャモ ◇
◇ レベル 25
◇ HP 1162/1162
◇ 攻撃
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 魔力
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 猟進弓、剛鉄戦斧、強化革の防護衣
◇ 技 魔氷矢
◇ 魔術 氷弾、氷球
光玉、光帯、治療魔術
◇ ルノ ◇
◇ レベル 24
◇ HP 966/966
◇ 攻撃 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 16★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 魔力
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 猟進弓、青銀の短剣、強化革の防護衣
◇ 技 魔氷矢
◇ 魔術 火弾、火球
氷弾、氷球
◇ カナミ ◇
◇ レベル 24
◇ HP 1047/1047
◇ 攻撃
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★
◇ 魔力
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 猟進弓、強猟槍、強化革の防護衣
◇ 技 魔雷矢
◇ 魔術 雷弾、雷砲
◇ ゴタンジ ◇
◇ レベル 26
◇ HP 2555/2555
◇ 攻撃
35★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御 12★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 11★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 重練剣、強化革の防護衣
◇ 技 斬破、落陽
◇ 魔術
◇ コイナミ ◇
◇ レベル 17
◇ HP 731/731
◇ 攻撃 11★★★★★★★★★★★
◇ 防御
17★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力 13★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 猟進弓、猟師の手斧、強化革の防護衣
◇ 技 魔雷矢
◇ 魔術 雷弾
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 15