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アルジ往戦記  作者: roak
141/300

第141話 適任

シノ姫は目を細めて話す。


シノ姫「昨晩から取り調べが続いています。

 北土の魔術研究所の所長ホジタ…。

 彼の取り調べです。精神操作によって

 洗いざらい話してもらっています」

隊員たち「………」

シノ姫「彼の口から新たな事実が次々と

 明らかになっています。

 そして…これは悪い知らせなのだけれど…

 大遊説の3人…彼らはおそらく…

 星の秘宝をすべて手に入れた」

隊員たち「……!」


ロクヤンは首を傾げる。


ロクヤン「イゴウセ博物館にある破壊の矛は?」

シノ姫「あれは偽物です」

ロクヤン&ヒデイシャ&オノク&ミチマサ

「!!!?」

シノ姫「本物はノイ民に奪われました。

 ノイ夏の乱の混乱に乗じて…

ロクヤン「そんな…」


ロクヤンは困惑してゆらゆらと体を揺らす。

それから、彼は周りの隊員を見て気づく。


ロクヤン「ユイ…!スゲチ…!

 お前らは…もう知ってたのか?」

スゲチ「ああ」

ユイ「魔術院のアヅミナさんが教えてくれた」

ロクヤン「そうだったのか!」

シンモク「昨日…ホジタを逮捕したときにな」

ロクヤン「お前もか!」

ヒデイシャ(まさか…あれが偽物とは…)

オノク(一体どうやって盗んだ?)

ミチマサ(…まずいぞ…これは…)


ユイ、スゲチ、シンモクにシノ姫は言う。


シノ姫「奪われた経緯は…

 あとで4人にも教えてあげて」

ユイ&スゲチ&シンモク「はい!」


シノ姫は秘力を高める。

彼女の体がぼんやりと光を発する。

隊員たちは息を飲みその様子を見る。


シノ姫「これから…

 2つのことを同時に進めようと思う。

 …聞いてくれる?」

隊員たち「………」

シノ姫「ねえ…隊長」

ミチマサ「は!」

シノ姫「まず…1つ目の任務です。

 ラグアとロニ…この2人を捕まえて」

ミチマサ「は!!」

シノ姫「生け捕りが難しければ、

 殺しても構わない」

ミチマサ「は!!」

シノ姫「そして、2つ目の任務です。

 あなた方に…行ってほしい場所があります」

ミチマサ「は!!」

シノ姫「………」


黙るシノ姫。

隊員たちの顔を、目を細めて観察する。


ミチマサ「行ってほしい場所というのは…

 どちらでしょうか?」

シノ姫「巨方庭きょほうてい…」

ミチマサ「巨方庭。巨方庭とは…

 あの…合戦の舞台になった遺跡ですか…?」

シノ姫「そうです…。

 昨夜、ホジタの口から明かされました。

 そこに…おそらく起動装置があるだろうと…」

ミチマサ「起動装置…ですか。

 魔真体の…起動装置…ですね?」

シノ姫「そうです…。

 ホジタは覚えていたようです。

 大遊説の3人がかなり前に話していたのを。

 巨方庭。そこに起動装置があるのだと。

 精神操作で引き出した答えですから、

 まず間違いありません。

 先回りして起動装置を探し、壊すのです。

 そうすれば…

 彼らも星の秘宝を捧げられなくなるでしょう。

 …魔真体が復活することもない」

エオクシ(虚構街のときも…

 あれもそういうことだったのか…?)


巨方庭。

都から南西に進んだところにそれはある。

正方形の広大な遺跡。

その遺跡では過去にさまざまな事件が起きた。

隊長ミチマサの顔は青ざめていく。


ミチマサ(…巨方庭だと!?

 そんな場所に行くのか!!?

 正気か!我々が!?

 本当に行かなければならないのか!!

 1度足を踏み入れたら戻れない、

 いわくつきの場所…!!)


ミチマサは、額に浮かんだ汗を袖でふく。


ミチマサ(今からおよそ500年前の大戦争。

 数万の軍勢同士がぶつかり合った…。

 その戦の舞台となったのが…巨方庭。

 両軍の力は拮抗し、戦は大いに長引いた。

 だが、あるとき、その戦は突如終わる。

 どちらかが勝って、どちらかが負けた。

 そういうことではない。

 あの戦には、勝者も敗者もない。

 両軍ともに壊滅し、戦いが終わったのだ。

 戦場となった巨方庭で…何かが起きた。

 魔獣が現れたのか、自然災害が起きたのか。

 分からない。記録がない。

 ただ分かっているのは…ある日、突然、

 戦場にいたほぼ全員が死んだということ。

 逃げ出し、生き延びた者は10人足らず。

 家族、医者、多くの者が彼らに問いかけた。

 生き延びた者に。

 巨方庭で一体何があったのかと。

 だが、彼らの返答はいずれも意味不明。

 合戦以来、すっかり正気を失っていた。

 私が知る歴史書によれば、そういうことだ。

 その後も巨方庭には、

 多くの者が足を踏み入れたと聞く。

 怪奇事件の真相を解き明かしたい調査団、

 古代遺跡の財宝を奪いとりたい盗賊団、

 強い野心に取り憑かれ、向かう者たち…。

 その誰もが行ったきりで帰ってこない…。

 そんな場所に…オレたちが行くのか!?)


エオクシが手を挙げた。


シノ姫「何…?」

エオクシ「巨方庭にはオレが行く」

シノ姫「そう…。私も…あなたが適任だと思う」


シノ姫はエオクシを見つめる。


シノ姫(エオクシ…あなたは…

 遺跡探検がしたいわけじゃないんでしょ?)

エオクシ「決まりだな!隊長!!なあ!!」

ミチマサ「…む…」

シノ姫(1つ目の任務。これは…逃げ道。

 エオクシ…あなたは気づいてくれた。

 あなたは戦いたいのでしょう…。

 心の底から…。大遊説の3人と…。

 彼らは間違いなく巨方庭へ行く。

 必ずその地に姿を現す。

 だから…あなたは…2つ目の任務を選んだ。

 そういうことでしょ…。

 どんな脅威が待ち受けているかも知らずに…)

エオクシ「シノ姫様…?」

シノ姫「ふふ…」

エオクシ「………」

シノ姫(エオクシ…あなたは分かっている。

 自分が大前隊の中で1番強いと。

 分かっているから…そうした…。

 ほかの者は、1つ目の任務を選べばいい。

 無理するなと。ラグアもロニも見つからない。

 探し出せなかった、そう言えばいいと。

 そう言って、任務を終わりにすればいい。

 危険だから。あなたは言葉に出さない。

 けど…そう思っているんでしょ。

 エオクシ…あなたの勇ましさと思いやりに…

 私は…応えることにしましょう…」


シノ姫は1回手を叩く。


シノ姫「あとの隊員は…

 1つ目の任務に当たってくれる?」

ミチマサ「!!」

ユイ「隊長…」

ミチマサ「ああ!」


ミチマサはシノ姫に提案する。


ミチマサ「シノ姫様、エオクシだけでは…」

シノ姫「もちろん1人では行かせませんよ。

 巨方庭に関しては、さまざまな噂を聞きます。

 恐ろしい魔獣が潜んでいるとか…。

 ですので、魔術院と掛け合います。

 魔力を持たないエオクシの…

 目となり、耳となり、支えとなる…

 そんな魔術師を集めましょう。

 あと…アヅミナにも行ってもらいましょう」

エオクシ「………」

ユイ「シノ姫様!」

シノ姫「…何?」


ユイは緊張した面持ちでシノ姫に聞く。


ユイ「手がかりはないのですか?」

シノ姫「…なんの?」

ユイ「ラグアとロニの居場所です」

シノ姫「ない…」

ユイ「…そう…ですか…」

シノ姫「ホジタもね…

 こればかりは分からないと言っていた。

 ただ…魔術師のマスタス。

 彼の居場所は知っていた。

 でも、どうやら彼…死んだみたい」

エオクシ「!!」

シノ姫「昨夜…

 ガシマとオンダクから連絡があってね。

 合離蝶で手紙をくれたの。それによれば…

 彼の遺体と思われるものを発見したらしい」

エオクシ(あいつが死んだ…?)

シノ姫「このあと魔術院に要請し、

 ガシマとオンダクを迎えに行かせます。

 カルスを使えば…

 今夜にでもこちらに着くでしょう。

 そのとき…

 改めて彼らからよく話を聞いておきます」

隊員たち「………」

シノ姫「エオクシ…」

エオクシ「は!!」

シノ姫「因縁の相手…

 マスタスを誰が倒したのか…

 気になるようですね…」

エオクシ「誰…でしょうか?」

シノ姫「近くに2人の死体があったそうです。

 ガシマたちによれば、どちらも女の魔術師。

 マスタスを倒したのは彼女たちではないか…

 とのことです。

 ほかにも詳しく調べれば、

 何か手がかりが得られるかもしれません。

 死体を運んでくるよう指示しておきました」

エオクシ(女の…魔術師…)


ロクヤンが手を挙げる。


シノ姫「何…?」

ロクヤン「班分けはどうしますか?

 ロニとラグアを探すの…手分けした方が…」

シノ姫「好きにして…」

ロクヤン「は!!」


ニヤリと笑ったのは格闘家オノク。

彼は右の手のひらを広げ、指を伸ばす。

装備した鋭い爪がぎらりと光る。


オノク「…あとで作戦会議するぜ。

 すぐに見つけてとっちめてやらあ!」

ミチマサ「とはいえ…敵はどこにいるか」

ヒデイシャ「地方の連中にでも聞いてみるか。

 ノイ府防衛隊にも便利な子分が何人かいるぜ」

シンモク「警備隊からも情報を集めよう。

 有力な情報には褒美を出すといいだろう」

スゲチ「ああ、それだったら…」

シノ姫「………」


シノ姫の間で早速話し合う隊員たち。

活発に意見が交わされる。


シノ姫(誰も…逃げるつもりはないみたい…。

 姿も…力も…未知の敵。なのに…恐れない。

 さすがは選ばれた戦士たち…

 第一隊といったところか…)

エオクシ「………」



◆◆ 現在 ◆◆

◆ 魔術院 特別来賓室 ◆

シノ姫は任務について告げる。


シノ姫「あなたたちには…

 巨方庭という古代遺跡に向かってもらいます」

光術三姉妹「はい」

エオクシ&アヅミナ&カタムラ「………」


シノ姫はカタムラを見る。


シノ姫「あとはあなたが説明してあげて」

カタムラ「は!」


カタムラは話し始める。

巨方庭について。

そして、そこで起きた怪事件について。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ シノミワ(シノ姫) ◇

◇ レベル 41

◇ HP   822/822

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力

40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備

 秘術道具(幻印、例札、思針、心糸)、高護貴帯

◇ 魔術  火弾、火砲、火刃

◇ 秘術  赤画、赤封、赤除、赤洪、赤滅

      青画、青封、青跡、青結、青葬

      白紋、白掃、白限、白威、白廃

      黒紋、黒弦、黒貫、黒壊、黒破


◇ エオクシ ◇

◇ レベル 37

◇ HP   3487/3692

◇ 攻撃

 49★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 防御

 44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 素早さ

  46★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 魔力

◇ 装備  壮刃剣、戦究防護衣

◇ 技   天裂剣、地破剣


◇ アヅミナ ◇

◇ レベル 35

◇ HP   404/404

◇ 攻撃   1★

◇ 防御   2★★

◇ 素早さ

 40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 47★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 装備  大法力の魔杖、漆黒の術衣

◇ 魔術

  火弾、火矢、火球、火砲、火羅、火嵐、王火

  氷弾、氷矢、氷球、氷刃、氷柱、氷舞、王氷

  暗球、精神操作、五感鈍化、魔病感染、

  酷死魔術


◇ マユノ ◇

◇ レベル 35

◇ HP   1176/1176

◇ 攻撃   4★★★★

◇ 防御

18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  蒼天想の魔杖、来陽の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷裂、氷波、王氷

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ カエノ ◇

◇ レベル 34

◇ HP   1084/1084

◇ 攻撃   3★★★

◇ 防御

20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力

 42★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 装備  超放気の魔杖、連星の魔道衣

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷破、雷花、王雷

      氷弾、氷矢

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ サヤノ ◇

◇ レベル 34

◇ HP   953/953

◇ 攻撃   1★

◇ 防御  11★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 37★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  清化印の魔杖、光心の魔道衣

◇ 魔術  岩弾、岩砲

      雷弾、雷槍

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ カタムラ ◇

◇ レベル 16

◇ HP   766/766

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御   9★★★★★★★★★

◇ 素早さ

 17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 秘力   3★★★

◇ 装備  魔鉱石の短剣、秘術道具(空球)、

     探検用強化研究衣

◇ 魔術  光玉、治療魔術

◇ 秘術  青珠


◇ ミナヨニ ◇

◇ レベル 42

◇ HP   1179/1179

◇ 攻撃  3★★★

◇ 防御

  19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 装備  九輪三節魔業杖、無二天衣

◇ 魔術

 氷弾、氷息、氷甲、氷身、氷宴、氷堕、王氷

  岩弾、岩砲、岩柱、岩壁、岩流、岩棺、王岩

  光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


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