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アルジ往戦記  作者: roak
136/300

第136話 成果

スギヤはじっと見ていた。

並んで座るギンタロウとタキマイを。


スギヤ「うまくやってるみたいだな」

ムエナ「魔術の特訓も順調みたいね」

ワカオ「ああ。

 順調に引き伸ばしてるようだ」


ほかの猟師たちは気にしていない。

休憩時間が長引いていることに。

場の緊張は解けていく。

和やかな雰囲気になっていく。

あちらこちらで談笑する声が聞こえ始めた。


ムエナ「それにしても

 大前隊って魔術使うんだね」

ワカオ「ああ、意外に思うだろ。

 実は一隊の戦士たちはほぼ全員使える。

 あのゼナクという男も多分…

 使えるようになりたがっている。

 オレの読みはどうやら正しかった」

ムエナ「魔術が普及してきてんのは

 狩猟界だけじゃないわけか」

スギヤ「だが、ほぼ全員ってことは、

 使えないやつもいるんだろ?大前隊にも」

ワカオ「ああ。だが、一部だ」

スギヤ「どんなやつだ?」

ムエナ「逆に気になるね。

 魔術が使えないのに一隊にいられるなんて」

ワカオ「………」


ワカオはムエナとスギヤに教えた。

魔術を使えない一隊員について。


ワカオ「1人は隊長のミチマサ。

 あの男はもともと文官だ」

スギヤ「規則であてがわれてる人だろ」

ムエナ「それなら…おかしくないか。

 魔術を使えなくても」

ワカオ「魔術を使えないのはあと2人。

 1人は魔力が身についてはいるようだ。

 ロクヤンという男。

 圧倒的な攻撃力と守備力を兼ね備える。

 奇行が見られるせいで一般受けしないが…

 いつ三頭になってもおかしくない実力者だ」

ムエナ「魔力があるだけで違うよね。

 魔術が使えなくても」

スギヤ「魔波を感じ取れるかどうか。

 それだけで戦いは有利になるからな!

 で、あと1人は?」

ワカオ「もう1人は魔力がない。

 魔術の素質がないのか、魔術が嫌いなのか、

 よく分からないが」

ムエナ「任務できるの?その人は。

 周りが魔術を使えるのに」

ワカオ「できる。

 というか、そいつが1番できる」

スギヤ「大前隊の最強の戦士…あいつか」

ムエナ「誰?」

ワカオ「エオクシという剣士だ」

ムエナ「あ、聞いたことあるわ。その名前」

ワカオ「あの男の強さは、

 もはや人間の域を超えている。

 オレは1度だけ観にいったことがある。

 アマシロの国の武術大会を。

 会場で彼の技を目の当たりにして圧倒された。

 そして、オレは納得した。

 いらないわけだと。

 あれだけ強ければ魔術も必要ないわけだと」

スギヤ「大前隊の歴史上最強…

 なんて言われてるよな」

ワカオ「間違いなく史上最強だ。

 13から18の歳まで武術大会を連覇してる。

 あの大会は田舎のケンカ祭りじゃない。

 大陸中から金と名誉を求めて

 猛者が集まる武術大会だ。

 一隊に上がったのは2年ほど前のこと。

 彼の実力なら、この先20年は一隊…

 いや、三頭として活躍し続けるだろう」

ムエナ「とんでもない人がいるわけね」

ワカオ「ゼナクも相当強いんだろうが、

 エオクシには到底及ばないだろうな」

スギヤ「ここにそいつが来たらよかったのにな」

ワカオ「まったくだ」

ムエナ「でも、そしたら懸賞金持ってかれちゃう」

ワカオ「そこをなんとかするのがギンタロウだろ」

ムエナ「絶大な信頼…」

スギヤ「呆れるぜ。

 ギンタロウの批判が一番多い癖に」

ワカオ「ん?そうか…?」

ムエナ「そうだろ!」

ワカオ「ま…そうかもな!」

ワカオ&ムエナ&スギヤ「あははははは!」


ワカオ、ムエナ、スギヤを見るギンタロウ。


ギンタロウ(あいつら…

 好きなこと言いやがって…)

タキマイ「…頼りにされているんだな」


静かに笑うギンタロウ。


ギンタロウ「助けられてばかりさ」


猟師たちが続々とやってくる。

2班、3班、4班。

そして、とうとう7班まで集まった。

辺りは賑やかになる。

だが、8班、9班、10班は現れない。


ギンタロウ(もう来てもおかしくねえ時間だ。

 どうなってやがる…!)

タキマイ「何やら騒がしい。

 後方で…何かあったみたいだな」

ギンタロウ「…チッ!」


ギンタロウは立ち上がる。

猟師たちをかき分けて進む。

7班のリンスケの姿を見つけた。


ギンタロウ「よお、リンスケ」

リンスケ「ギンタロウさん」

ギンタロウ「8班の連中が来ねえが…

 何か知ってるか?」

リンスケ「ああ…それが…」


表情を曇らせるリンスケ。

彼はギンタロウに伝えた。

後ろで悲鳴がいくつも聞こえたこと。

白い霧がもくもくと立ち上ったこと。

そして、霧から逃げてここまで来たこと。


ギンタロウ「…そいつはもしや…!」

リンスケ「ああ…多分…ナカモク煙霧だ!!」

ギンタロウ「あいつら…!」

リンスケ「そうだ!

 あいつら…使いやがったんだ!」


山の斜面に向かって目を凝らすギンタロウ。

その目はとらえる。

遠くに漂う霧の一部を。


ギンタロウ「…クソッ!!…」


ゼナクが戻ってくる。

タキマイと合流する。

イサグモとスミレノも戻ってくる。

魔術の訓練は終わった。

なんの成果も得られないまま。

ギンタロウは仲間たちの元へ駆け寄る。


ギンタロウ「どうやら…ここまでだ。

 みんな…悪かった」

ワカオ&ムエナ&イサグモ&スミレノ&スギヤ

「………」


そして、猟師たちは戦地へ赴く。

タキマイを先頭に。

オオトノラコアを仕留めるために。



◆◆ 現在 ◆◆

◆ タキマイ狩猟会の狩場 ◆

アルジとエミカは歩く。

オオトノラコアが潜む森に向かって。

雨がしとしとと降っている。


アルジ「エミカ」

エミカ「なんだ?」


並んで歩く。


アルジ「こうして来たけど、

 今回はさすがに危ないかもしれないぜ」

エミカ「………」


歩き続ける。


アルジ「ギンタロウたちがやられた。

 あんなに強そうだったタキマイとゼナクも…

 大ケガして逃げ帰ってきた」

エミカ「それがどうした?」

アルジ「今回はさすがにやばいかもしれない」

エミカ「だからどうした?」

アルジ「エミカは無理するな。

 やばいと思ったら、すぐに逃げろ。

 あとはオレが…」

エミカ「バカなこと言うな!!」

アルジ「…!?」


立ち止まるエミカ。

アルジも立ち止まる。

エミカと向き合う。

彼女の目には涙。


エミカ「バカなことを言うな!私も戦う!!

 一緒に行く!!」

アルジ「エミカ、なんで…」

エミカ「だって!仲間じゃないか!!」

アルジ「仲間」

エミカ「私は仲間だ!!アルジの仲間だ!!

 いつだって、戦うときは一緒だ!だから!

 そんなバカなことは言うな!もう2度と!!」

アルジ「ああ…分かったよ。…ごめん。

 そうだ…仲間だ。オレたちは仲間だ!

 あんなことはもう2度と言わないぜ」

エミカ「…うん」


さらに進むアルジとエミカ。

森の中へ足を踏み入れる。

不吉な鳴き声が響く。

やけに甲高く、幼子の泣く声にも似ている。


鳴き声「マァァァアアアアアアア………」


アルジとエミカは森の中へ進む。

気がつけば、そこは赤い領域の中心部。

力尽きた猟師たちの体がいくつも横たわる。

真っ黒に焦がされているものもあった。


鳴き声「マァァァアアアアアアア………」

アルジ&エミカ「………」

鳴き声「マァァァアアアアアアア………」


突如、樹上から大きな塊が落ちてくる。

ドサリ、と目の前で大きな音がする。

むくりと起き上がる、その獣。

灰色の体毛。

釣り上がった小さな目。

ピンと横に突き出た大きな丸い耳。

異様に長い腕と脚。

顔面の中央を占める、黒く大きく平らな鼻。

オオトノラコアがその姿を現した。


オオトノラコア「マァァァアアアアアアア………」



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 25

◇ HP   2277/2732

◇ 攻撃

 36★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 素早さ

 30★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★

◇ 魔力  5★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 21

◇ HP   1452/1611

◇ 攻撃  10★★★★★★★★★★

◇ 防御

  27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★

◇ 素早さ

 20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  41★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 20


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ オオトノラコア ◇

◇ レベル 43

◇ HP   82226

◇ 攻撃

 58★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  55★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 24★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 魔術  火弾、火衣

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