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アルジ往戦記  作者: roak
135/300

第135話 訓練

イサグモとスミレノは歩く。

岩の上に座るタキマイの方へ。

彼女のそばにいたゼナクが立ち上がる。

2人の魔術師に鋭い視線を向けた。


ゼナク「なんだ?お前ら」

イサグモ「やあ、ゼナクさん」

ゼナク「何しにきた」

イサグモ「1つ気づいたことがあってな。

 あんたに伝えときたい」

ゼナク「なんだ?言え」

イサグモ「………」

ゼナク「さっさと言え!!」


響き渡る大声。

休んでいた猟師たちの視線を集める。

スミレノが声をひそめて言う。


スミレノ「ここでは言えない」

ゼナク「…いいから言え。言ってみろ。

 下らない用件だったらただじゃおかない。

 戯れに付き合っている暇などないのだ」


イサグモは真剣な顔で問いかける。


イサグモ「あんた…魔術を覚えたくないか?」

ゼナク「…!!」

イサグモ「魔術を習得すれば…

 あんたは格段に強くなる」

ゼナク「………」

イサグモ「武術を魔術と組み合わせれば、

 今より数段強くなることだろう。

 見ていると今のあんたは魔術を使えない。

 それどころか魔力に目覚めてさえいない。

 これは惜しいことだ。

 本当に…惜しいことだと思う」

スミレノ「あなたが魔術を使えるようになれば、

 これからの魔獣討伐もずっと有利になる」

ゼナク「………」

イサグモ「そうだ。どうだ、もし、よければ…

 オレたちが…基本的なことから教えよう」

ゼナク「………」

スミレノ「イサグモは教えるのうまいよ。

 もちろん私も協力する」

ゼナク(こいつら…

 どちらもかなりの魔術師だと聞いた…。

 サナヨも…こいつらには勝てないと…。

 それに、この女は…

 昨日、壇上で魔術を使ってみせた…。

 奥猟会のカイ…あいつの顔は…

 もう元に戻らないくらい

 グシャグシャにしたつもりだった。

 だが…この女が見事に回復させた…!)


ゼナクは腕を組む。

じっとイサグモとスミレノの顔を見る。


イサグモ「…どうする?」

ゼナク(そうだ…。魔術…そうだ…。

 今のオレに足りないものは…

 魔術なのかもしれないな…。

 大前隊第一隊の戦士たち…

 彼らもほぼ全員が魔術を使う。

 それぞれが…自分の得意な武器と合わせて、

 唯一無二の強烈な技を編み出している…!

 あれが実力を底上げしてると言っていい!

 魔術抜きの決闘なら…

 一隊の何人かには勝つ自信がある!

 だが!魔術だ!そうだ!魔術!!

 あれのせいで…!あれのせいでオレは…!

 劣ってしまっている!!

 サナヨもそうだ!!あいつの雷が出す技…!

 あれを使われると…オレは対抗できない…!

 そうだ…!やはり魔術…!魔術は必要だ…!

 前に…魔術院の初心者講座に通ってみたが…

 ムカつく教官を蹴り飛ばして除籍になったな。

 こいつらは…実力がある…。

 仲間ともうまくやっている…。

 もしかすると、こいつらは…

 あのときのあの教官よりも…

 信用できるかもしれない…。…だが!!)


ゼナクはイサグモの顔を見て問う。


ゼナク「…何が狙いだ?」

イサグモ「…狙い?」

ゼナク「金か?魔術を教えて、恩を売って、

 金でももらおうって魂胆か?

 それとも大前隊の…」

イサグモ「…何もない」

ゼナク「なんだと…?」

イサグモ「単純に…

 あんたほどの戦士がこのままなのは惜しい。

 そう思っただけだ」


ゼナクはため息をつく。

首を横に振り、今度はスミレノの方を見る。


ゼナク「そんなことを言ってもな…」

スミレノ「あなたが魔術を覚えて強くなれば、

 討伐もうまくいく。

 それは、私たち全体の利益になる。

 そして、誰より最も恩恵を受けるのは…」

ゼナク「………」

スミレノ「…ね…?」


ゼナクはしばらく考えて答える。


ゼナク「…いいだろう。教えろ」

イサグモ「分かった。なら、あっちに行こう」

ゼナク「今からか!」

イサグモ「そうだ」

ゼナク「休憩中だぞ!

 これから討伐に行くだろうが!

 今から修行なんぞやってられるか!!」


スミレノはほほえむ。


スミレノ「大丈夫。素質のある人なら、

 ほんの数分で魔力に目覚めることもある…」

ゼナク「…数分!?」

スミレノ「そういう訓練があるから」

ゼナク「…!!!」

イサグモ(あるわけねーだろ…)

ゼナク「少しだ…!

 少しの間…付き合ってやろう…。

 …貴様らの…戯れにな…!」


イサグモとスミレノは連れていく。

ゼナクを離れたところへ。


ギンタロウ(よし…)


ギンタロウはタキマイの方へ歩いていく。

彼女の側近が近寄るのを止めようとする。

だが、タキマイがそれを拒んだ。


タキマイ「…よせ」


ギンタロウから離れるタキマイの側近。

タキマイは座ったままギンタロウを見上げる。


タキマイ「…何を企んでいる?」

ギンタロウ「話がある!」


ギンタロウはどっかりとタキマイの隣に座る。


ギンタロウ「タキマイさんよ。

 あんたには…どう見えている?」

タキマイ「何がだ?」

ギンタロウ「この戦局だ」

タキマイ「………」


小さくうなずくタキマイ。


ギンタロウ「…厳しいだろうなぁ。

 おそらく…負ける!

 このままだと…オレたちは…!」

タキマイ「縁起でもないことを言うな」

ギンタロウ「羽虫の群れじゃ1頭の獣も倒せない」

タキマイ「………」

ギンタロウ「100の群れでも、200の群れでも。

 数頭でいい…。必要なのは真に強い猛獣だ…。

 あんたも経験的に分かるだろうよ。。

 あんたは強い。ゼナクの旦那も強い。

 だが、ほかはどうだ?素人ではない!

 1班も2班も3班も4班!見事な鍛えぶりだ!

 だが、足りねえ!オオトノラコアを倒すには!

 圧倒的な戦力不足と言わざるを得ねえ!」

タキマイ「…だから、なんだ?」


空を見上げるギンタロウ。

薄い雲を黙ってしばらく眺める。


ギンタロウ「強いやつらがいる」

タキマイ「………」

ギンタロウ「後ろの方に。9班と10班に。

 1人ずつ。剣士の男と魔術師の女だ」

タキマイ「誰だ…?」

ギンタロウ「悪いが、それは明かせねえ。

 ちょいと込み入った事情があるもんでな…!」

タキマイ「………」

ギンタロウ「そいつらが来れば戦局は一変する!

 間違いねえ!その2人はオレより強い…!

 もしかすると…いや、ひょっとすると…!

 あんたや…!ゼナクの旦那よりも…!」

タキマイ「…いくら強かろうが、

 名も明かせないやつなど信用できんな」

ギンタロウ「ナキ村のアルジだ」

タキマイ「…!!」

ギンタロウ「剣士の名前はアルジ。

 魔術師の名前はエミカ。

 ゼナクの旦那には言わないでくれ!

 このとおりだ!!」

タキマイ「………」

ギンタロウ「あいつは恐れている。

 大前隊に捕まっちまうことを」

タキマイ「その心配なら必要ない」

ギンタロウ「…は?」

タキマイ「状況が変わったようだから」

ギンタロウ「…そうなのか?」

タキマイ「お前の話は分かった。

 検討しよう。明日の討伐は…

 その2人に前衛で戦ってもらおう」

ギンタロウ「ちょっと待ってくれ!」

タキマイ「なんだ?」

ギンタロウ「そうしてもらえるなら…

 ありがてえが…

 …これからオオトノラコアと戦うだろ」

タキマイ「ああ。まさか…」

ギンタロウ「そうだ、あいつらの力が必要だ!!

 だから、ここで待とう!あいつらが来るまで」

タキマイ「…もう休憩を終える時間だ。

 そんなに待つことなどできない」

ギンタロウ「へへっ…!!」

タキマイ「なんだ?」

ギンタロウ「あんたの大事なお仲間は…

 魔術の修行で今頃一生懸命だろうよ…」

タキマイ「………」

ギンタロウ「無理にでもやめさせて出発するか?

 あんたがそうすると言うのなら、

 別にオレはとめねえがな…!へへ…!」

タキマイ(…こいつ…!!)

ギンタロウ「どうだい?もう少し!

 もう少し待ってみねえか?」


タキマイは笑い、小さくうなずく。

そして、空を見上げる。

一方、イサグモたちは魔術の訓練を続けていた。


スミレノ「あ、今!一瞬、魔波を感じた…!」

ゼナク「な…!何!?そうか…!

 だが…オレには分からなかったぞ!」

スミレノ「さっき広げた手から…ふわって」

ゼナク「そ…そうか!出たのか!」

スミレノ「出た!」

イサグモ(出てねえよ…そんなもん…)


イサグモの足を踏むスミレノ。


イサグモ「…って!!!」

スミレノ「あ、ごめんなさい」

イサグモ「…くっ!!」

スミレノ「もう少しでできそう!

 できそうだよね?」

イサグモ「ああ…いい感じだ…」

ゼナク「そうか!もっとだ!!もっと教えろ!!

 やり方とか!コツとか!もっとだ!!」

イサグモ「………」


訓練はまだ終わらない。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ ギンタロウ(南国首位猟師) ◇

◇ レベル 26

◇ HP   1600

◇ 攻撃  

 20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 素早さ 

  20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 11★★★★★★★★★★★

◇ 装備

 草緑槍、青天弓、狩猟王の短剣、南国式手斧、

  硬毛武術衣

◇ 技

  猛襲連撃、潜行探知、竜頭槍撃、蛇尾斧撃

◇ 魔術  岩弾、岩砲


◇ ワカオ(剛腕剣士) ◇

◇ レベル 23

◇ HP   1338

◇ 攻撃

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 防御  11★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  4★★★★

◇ 装備  長刃猟剣、獣甲戦闘着

◇ 技   巨獣両断撃、甲殻破壊剣、狼牙連撃剣、返身天心斬

◇ 魔術  火弾


◇ ムエナ(罠の達人) ◇

◇ レベル 25

◇ HP   625

◇ 攻撃  7★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 

 29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 魔力  9★★★★★★★★★

◇ 装備  精巧弓、裏装小刃、暗空猟衣

◇ 技   隠し刃のにわか雨

◇ 魔術  氷弾


◇ スミレノ(光の援護者) ◇

◇ レベル 23

◇ HP   544

◇ 攻撃  3★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 

 17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  

 23★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★

◇ 装備  古世木の杖、心躍魔術衣

◇ 魔術  氷弾、氷刃、氷壁

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ イサグモ(闇の策士) ◇

◇ レベル 28

◇ HP   883

◇ 攻撃  7★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 装備  黒水晶の杖、影想魔術衣

◇ 魔術  暗球、精神操作、五感鈍化、猛威減衰術


◇ スギヤ(歩く獣図鑑) ◇

◇ レベル 21

◇ HP   390

◇ 攻撃  8★★★★★★★★

◇ 防御  11★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  10★★★★★★★★★★

◇ 装備  怪牙の小剣、硬鱗狩猟衣

◇ 魔術  岩弾、岩砲


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ サナヨ(3代目タキマイ) ◇

◇ レベル 31

◇ HP   1073

◇ 攻撃  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 23★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★

◇ 素早さ

 33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  特級獣獲槍、蒼堅猟衣

◇ 技   巨観点撃、挺身突貫、風雷回転槍術

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷刃、雷舞


◇ ゼナク ◇

◇ レベル 36

◇ HP   2550

◇ 攻撃

 24★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★

◇ 防御

  25★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★

◇ 素早さ

 33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  

◇ 装備  貫鉄の槍、断岩の剣、青鋼戦衣

◇ 技   大槍撃、連進撃、瞬裂撃


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