第131話 悠々
アルジは駆ける。
ヤサハカイヌは吠えて威嚇する。
アルジは高く跳んで剣を振り抜く。
その刃先は弧を描き、肉を裂く。
円月斬りを見舞った。
深く斬られた魔獣の胴体。
与えた傷は致命傷。
巨体が崩れ落ちていく。
◇ ヤサハカイヌに4027のダメージ。
◇ ヤサハカイヌを倒した。
◇ アルジは戦いに勝利した。
アルジは10班の猟師たちを見る。
猟師たち「………」
アルジ「オレはタキマイのところに行く」
近くには倒れた猟師たちの姿。
かまれ、殴られ、蹴り飛ばされた４人。
いずれも息絶えていた。
アルジ「オオトノラコアを倒しにいく」
猟師たち「………」
アルジ「この先も強い魔獣が出てくるだろう。
オレはあんたたちを守ってばかりいられない。
猟師としての誇りとかタキマイ派の自信とか
あるんだろうけど、ここで引き返すことも
勇気の決断だと思う。恥じることじゃない。
戦う相手は普通の獣じゃないんだから。
自信がない人は…どうかここで帰ってくれ。
危険な目に遭う前に…」
１人の猟師が顔をしかめて言う。
10班の猟師A「素人が偉そうに！」
アルジ「分かってくれ。たった１撃だ。
食らえば、命を失うことになる。
それが古代獣の力だ！だから…
！！！」
アルジは魔波を感じ取り、振り向いた。
近くに３頭のヤサハカイヌが立っている。
その３頭は静かに近寄ってきていた。
背後からアルジに襲いかかろうとしていた。
３頭は体を震わせ、そろって吠える。
大きな牙と爪をむき出しにして。
アルジ（速い…！
だが、見えないほどじゃない！）
屈んで跳ねて攻撃をかわす。
そして、反撃。
勇気の剣を振り回す。
流れるような動きで斬っていく。
１撃１撃が、ヤサハカイヌの急所をとらえる。
剛刃波状斬撃が決まった。
◇ ヤサハカイヌAに4261のダメージ。
◇ ヤサハカイヌBに4453のダメージ。
◇ ヤサハカイヌCに4197のダメージ。
◇ ヤサハカイヌA〜Cを倒した。
◇ アルジは戦いに勝利した。
◇ アルジはレベルが上がった。（レベル23→24）
猟師たち「……！！」
アルジ「…まだここにいるのか？
これでも前に進むつもりか？」
アルジは切実に問いかける。
そのとき、遠くから声が聞こえてきた。
エミカ「アルジ！！」
エミカが走ってくる。
彼女の後ろには５人の猟師たち。
いずれも９班の班員。
アルジ「エミカ！！」
近づいて彼女は伝える。
エミカ「９班は撤退することにした！」
アルジ「そっか」
エミカ「ここにも出たのか」
倒されたヤサハカイヌを見るエミカ。
アルジ「そっちにもいたのか？」
エミカ「ああ、林の中から跳びかかってきて…
班員の１人が…食べられてしまった。
助けられなかった…」
アルジ「………」
９班の猟師A「…で、出た！！」
９班の猟師が大声を上げる。
林からのっそりと姿を現す２頭のヤサハカイヌ。
アルジは剣を構える。
エミカ「ここは私がやる！」
アルジ「……！」
高められた膨大な魔力。
エミカの体からあふれ出す。
天界石の杖をヤサハカイヌに向ける。
途端に強烈な炎が放たれた。
エミカの王火が敵を包む。
２頭の全身を激しく焼いて焦がした。
◇ ヤサハカイヌAに4119のダメージ。
◇ ヤサハカイヌBに4003のダメージ。
◇ ヤサハカイヌA 、Bを倒した。
◇ アルジたちは戦いに勝利した。
◇ エミカはレベルが上がった。（レベル19→20）
エミカ「よし、決まった！」
９班の猟師A「すごい！」
９班の猟師B「見事だ…！」
９班の猟師たちはエミカに拍手を送る。
10班の猟師たちは口を開けて眺めていた。
エミカ「基地の方からは魔波を感じない。
今、ここで引き返せば安全だ！
あんたたちも…
９班の猟師たちと戻った方がいい！」
10班の猟師たち「………」
エミカ「どうか、ここで帰ってほしい！
あなたたちも素人じゃないことは分かる。
でも、ここに出てくる魔獣は危険過ぎる！
この先も出てくるだろう！」
10班の猟師の１人が前に出る。
そして、アルジたちに問いかけた。
不快感をあらわにしながら。
10班の猟師A「お前らは…」
アルジ＆エミカ「………」
10班の猟師A「…お前ら一体何者だ？
なんでこんな後ろの方にいるんだ？
なぜもっと前の班で…
前の方で戦わないんだ？」
アルジ＆エミカ「………」
アルジは少し笑って答えた。
アルジ「オレたちも分からない。
受付係をやってたあんたの仲間に聞いてくれ」
10班の猟師A「………」
そのときだった。
アルジが斬り倒したヤサハカイヌ。
そのうちの１頭がゆっくりと口を開ける。
そして、喉の奥から低くかすれた声を出す。
２つの暗い色の目をアルジに向けながら。
ヤサハカイヌ「…ア…ル…ジ…」
アルジ「何…！！？」
エミカも、猟師たちも注目する。
突然、話し始めたヤサハカイヌに。
ヤサハカイヌ「アル…ジ…アルジ…アルジ…」
アルジ（こいつ…！死んだはずじゃ…！！
しかも…なぜオレの名前を…！？）
エミカ「死んでるのに喋った…！
これは一体…！」
猟師たち「……！！」
プルプルと体を震わせて死体は話し出す。
ヤサハカイヌ「カンシャ…アルジニカンシャ…
ナキムラノ…アルジニ…カンシャ…」
アルジ「なんだ…！！なんなんだ！！」
猟師たち「ナキ村の…アルジ…！」
アルジに疑いの目を向ける猟師たち。
アルジは猟師たちの方を向く。
アルジ「待ってくれ！！オレは…！！」
ヤサハカイヌ「ソウゾウノツエ…ロニサマ…
テニイレタ…オレタチ…ツヨクナレタ…
アルジニ…カンシャ…アルジニ…カンシャ…」
数人の猟師たちが怒りをあらわにし始めた。
10班の猟師A「それって…昨日…
ゼナクが言ってたことか！」
９班の猟師B「お前がアルジ…！
ナキ村のアルジか！！」
アルジ「待ってくれ！！やってない！！
オレはやってないんだ！！取引なんて！！
取引なんて…していない！信じてくれ！！」
10班の猟師B「信じられるかっ！！！」
９班の猟師C「魔獣自ら言ってんだ！！
もう…ごまかしようがねえぜ！観念しろや！」
９班の猟師D「そうだ！自首だ！！自首しろ！！」
アルジ「…待って…くれ…！！」
エミカ「…アルジ…！」
さらにヤサハカイヌが何か言おうとした瞬間。
エミカ「黙ってろ！！」
エミカは王火を放つ。
燃え上がり、瞬く間に焦げていく死骸。
猟師たち「…！！」
エミカ「もういいだろう！行ってくれ！
基地の方へ戻ってくれ！新たな魔獣が来る前に！」
猟師たち「………」
エミカ「ここから…！早く…！！」
アルジが倒した３頭のヤサハカイヌ。
それらも喋り出す。
ヤサハカイヌA「アルジ…アルジ…」
ヤサハカイヌB「ソウゾウノツエ…」
ヤサハカイヌC「カンシャ…カンシャ…」
アルジ「くそっ！！」
剛刃波状斬撃で３頭の喉元を斬り裂く。
辺りは静かになる。
重苦しい空気が漂う。
アルジ＆エミカ「………」
10班の猟師が前に出て言った。
10班の猟師A「通報してやる…！」
アルジ「……！」
10班の猟師A「町に帰ったら
お前のことを通報してやる！
警備隊にも！大前隊にも！！
そうなれば…お前はもう…
日の下をまともに歩けなくなるなぁ！！
行くぜ！！撤退だ！撤退！！！」
背を向ける猟師たち。
ぞろぞろと基地の方へ向かって歩き出す。
エミカ「アルジ…」
アルジ「なんだったんだ…あれは…」
エミカ「おそらく魔術だ…。…！！」
エミカは上空に魔波を感じる。
邪悪で強力な魔波を。
空を見上げる。
大きな鳥のような影を見つける。
翼を広げて旋回している。
エミカ「アルジ！上だ！！」
アルジ「！！」
それは降りてくる。
地上に。
恐ろしい速さで。
アルジたちの近くに着地する。
砂煙が舞う。
アルジは目を凝らす。
その煙の中に影を見つける。
両腕を翼のように変化させたロニだった。
アルジ「お前は！！ロニ！！！」
ロニ「くくく…ヤシズ湖以来だな…」
悠々と歩いてやってくる。
彼女の腕は人の腕の形に戻っていく。
アルジとエミカは身構える。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 24
◇ HP 2277/2457
◇ 攻撃
35★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
27★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★
◇ 素早さ
29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★
◇ 魔力 ５★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 20
◇ HP 1452/1611
◇ 攻撃 10★★★★★★★★★★
◇ 防御
26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 素早さ
19★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
40★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 20
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ ロニ ◇
◇ レベル 36
◇ HP 3825
◇ 攻撃 12★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ
38★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
44★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★
◇ 装備 創造の杖、超獣長重杖、
八多等守護衣
◇ 魔術 操獣、創獣、人体獣化術、王獣
