第126話 一幕
ギンタロウは彼の仲間たちに言った。
ギンタロウ「よし!!
オレたちも壇に上がるぜ!!」
ゼナク「!!?」
嫌そうな顔をする仲間たち。
ワカオ(行くのか?本当に行くんだな…)
ムエナ(あーあ…こうなったらもうとまらないよ)
スミレノ(行くしかないんだよね…)
イサグモ(…また始まっちまったか)
スギヤ(目立ちたがり屋め…。
でも…これはこれで楽しいかもな!)
演壇へ向かう6人。
ギンタロウを先頭に5人の仲間が後ろに続く。
唖然とする周囲の猟師たち。
ゼナクは呆然と眺めていた。
彼らが近づき、登壇してくるのを。
ギンタロウ「よお!!ゼナクさん!!」
ゼナク「…なんだ…お前ら…!」
壇上で言葉を交わすギンタロウとゼナク。
仲間の5人は居心地が悪そうに立っている。
ギンタロウ「オレはさっきちゃんと聞いてたぜ」
ゼナク「だから、なんだ!!早く言え!!
質問はなんだ!!」
ギンタロウ「あんた、さっきこう言ったよな?
無理矢理にでも立ち入って
獲物を仕留めてみろ…と!!」
ゼナク「………」
ギンタロウ「なあ!!」
ゼナク「ああ…言った。だから…どうした?
それがどうした!!」
ギンタロウ「ならいいんだ!!
オレの空耳じゃなけりゃそれでいい!!
オレの質問は以上だ!!
答えてくれてありがとよ!!!」
ゼナク「…何?」
ギンタロウはぐるりと体の向きを変える。
猟師たちの方を向く。
そして、大声で高らかに言った。
ギンタロウ「オレの名前はギンタロウ!!
大陸最南端の国!!レンカマクから来た!!
南国首位猟師とは、オレのことだっ!!!」
猟師たち「……!」
ギンタロウ「12の頃に親に売り飛ばされて、
オレは猟師の家で暮らすことになった!」
猟師たち「………」
ギンタロウ「それからは、狩り一色の人生だ。
政治だとか派閥だとか難しいことは知らねえ。
知ろうとも思わねえし知りてえとも思わねえ。
あれやこれや言われても、頭が受けつけねえ。
だがな、最低限の道理ってもんは
わきまえてるつもりだ!!」
アルジ&エミカ「………」
ギンタロウは大きく息を吸う。
そして、勢いよく言い放った。
ギンタロウ「地図を見ろ!!
ここで渡された地図を見ろ!!
何が書いてある!!立ち入りを禁ずる!!
そう書いてあるな!!!
タキマイ狩猟会じゃないやつは
入ってくるな!!そういうことだな!!!
だが、オレは行く!オレたちは行くぞ!!
この地図の赤いところに!!
オレたちは行く!!!
入って!!進んで!!
好きなだけ獲物を狩ってやる!!!
そして!!中心部まで足を踏み入れて!!!
オオトノラコアを倒してやる!!
オレだ!!このオレだ!!オレたちだ!!!
タキマイ派なんかじゃねえ!!!
懸賞金をせしめるのはこのオレたちだ!!
なあ!!お前らはどうするよ!!?」
ゼナク「…ヤロォ…!!」
心が動く。
猟師たちの冷えた心が。
その心の動きは変換される。
地鳴りのように響く、いくつもの声の重なりに。
猟師たち「おおおおおおおおお…!!!」
その反応を見てニヤリと笑うギンタロウ。
彼の5人の仲間たちも笑っていた。
ギンタロウ「おう!!!そうかい!!
よく分かったぜ!!!ともに行こう!!
オレたちは仲間だ!!全員が仲間だ!!!
派閥がどうとか、関係ねえ!!
全員で乗り込もうじゃねえか!!!
全員で挑もうじゃねえか!!!
獲物を仕留めに行こうじゃねえか!!
こんなクソみてえな地図は…こうだ!!!」
ビリビリに引き裂き、宙に放る。
ひらりひらりと舞って、落ちていく。
基地内の興奮は頂点に達する。
大きな歓声が上がり、いくつも指笛が鳴った。
ゼナク「キサマァ…!!」
ギンタロウ「…イサグモ!」
イサグモ「ああ…」
ギンタロウとゼナクの間に割り込むイサグモ。
ゼナク「なんだ!てめえは!」
イサグモ「オレの名前はイサグモ。
闇の魔術師だ。精神操作の魔術が得意でな。
オレの手にかかれば、
どんな力自慢もあっという間に木偶の坊だ」
ゼナク「なんだ!?貴様!オレを脅してるのか?」
イサグモはフッと笑い、切り返す。
イサグモ「ただの自己紹介だ」
ゼナク「貴様…!!」
ギンタロウはスミレノに聞く。
ギンタロウ「あいつを治せるか?」
倒れたカイを指差す。
スミレノ「大丈夫だと思うけど…」
ギンタロウ「なら、頼む」
ムエナ「狙いは?
もちろんタダじゃないんでしょ?」
ギンタロウ「恩を売って金づるにしてやる!!」
ワカオ「おい、今は壇上だ。
言葉遣いには気をつけろ」
ギンタロウ「………」
スギヤ「奥猟会と金銭的協力関係を構築する。
…この方が聞こえはいいだろう」
ギンタロウ「うるせえ!!」
スギヤ(なんでこうなる…)
収まらない興奮。
歓声はいつまでも続く。
そんな中、ゼナクは気づいた。
ゼナク「何を笑っている…?サナヨ…」
3代目タキマイ、本名サナヨ。
壇上の奥。
ギンタロウたちの姿を見ていた。
彼女は静かに笑っていた。
タキマイ「ゼナク。
どうやら私は仲間に恵まれたようだよ」
ゼナク「サナヨ…」
歩き出すタキマイ。
手を伸ばす。
その手はそっとギンタロウの肩に触れる。
驚いて振り向くギンタロウ。
ギンタロウ「!!!?」
タキマイ「オオトノラコアを…
どちらが狩るか勝負だな。南国首位猟師」
その言葉にギンタロウは心を躍らせる。
ギンタロウ「おう!!望むところだ!!
タキマイさんよ!!」
タキマイ「ただし…」
ギンタロウ「?」
タキマイ「もしものときは助けてくれ」
ギンタロウ「…!!?」
タキマイ「私も…もしものときはお前の力になろう」
ギンタロウ「ああ…!いいぜ!!」
アルジとエミカはただ眺めていた。
壇上の一幕を。
タキマイはギンタロウから離れる。
そして、ゼナクのそばに立つ。
ゼナク「…どういうつもりだ!」
タキマイ「…笑っていた」
ゼナク「…あ?」
タキマイ「私がオオトノラコアの名を
出したとき…あいつだけは笑っていたんだ」
ゼナク「………」
タキマイ「楽しそうに…嬉しそうに…。
新たな玩具を与えられた子のように…。
壇上から…よく見えた。ほかの者たちが…
困惑したり不安に打ちひしがれたりする中、
あいつだけは…あいつだけは笑っていたんだ」
ゼナク「………」
タキマイ「…思い出すよ」
ゼナク「…何をだ?」
タキマイ「あいつを見ていると…
若かった頃の自分を思い出すよ」
ゼナク「………」
タキマイ「…私はもっと楽しんでいた。
若い頃は狩りの面白みを全身で享受していた。
あいつを見ていると取り戻せる気がしてくる。
あの頃の…自分の気持ちを…。
だから、私は…あいつを嫌いにはなれない。
…なれないんだ」
ゼナク「………」
剛腕剣士ワカオが言う。
小声でギンタロウに。
ワカオ「さっき…気づかなかっただろ…」
ギンタロウ「ああ…」
ワカオ「手が…お前の肩に触れるまで…」
ギンタロウ「おう…初めてだ…。
あんなのは…初めてだ!
やはりあいつは…化け物だ…!
このオレに…!気づかせなかった…!
触れるまで…!
…勝負のしがいがあるってもんだな!!」
ワカオ(…超一流同士の競演…か。
オレはこの剣で支えるとしよう…!)
タキマイが壇上の中央に立つ。
明日の計画について猟師たちに連絡した。
タキマイ「明日は日の出とともにここを発つ!
各班で役割分担などの話し合いをしたら、
この基地で安静にしてもらいたい!!
寝具は用意してある!受付で受け取ってくれ!!
あまり上等なものとは言えないが、
タキマイ狩猟会で人数分用意した!
食料もある!!
寝具と一緒に受け取るように!!
そして、最後に1つ変更事項がある!」
猟師たち「………」
タキマイ「赤い領域には自由に入ってよい!」
猟師たち「…!!!」
タキマイ「ただし…
タキマイ狩猟会に属する者が先に出発する。
高額な会費を払ったにもかかわらず、
なんの益も得られないというのは、
あまりにも不公平だからだ。だから…
当初の予定どおり1班から
順番に狩場へ出発する!
それでは今日はこれにて散会とする!!」
散っていく猟師たち。
あちらこちらで声が上がる。
猟師の声「5班はここに集合!」
猟師の声「8班の人!集まってください!!」
各班の話し合いが始まる。
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 23
◇ HP 2277/2277
◇ 攻撃
34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★
◇ 防御
26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 素早さ
28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★
◇ 魔力 5★★★★★
◇ 装備 勇気の剣、雅繊維戦衣
◇ 技 円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り
◇ 魔術 雷動
◇ エミカ ◇
◇ レベル 19
◇ HP 1452/1452
◇ 攻撃 9★★★★★★★★★
◇ 防御
26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★
◇ 素早さ
18★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 魔力
39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 装備 天界石の杖、濃色魔術衣
◇ 魔術 火球、火砲、火樹、火海、王火
氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷
雷弾、雷砲、雷柱、王雷
岩弾、岩砲、岩壁、王岩
光玉、治療魔術、再生魔術
◇ リンスケ ◇
◇ レベル 14
◇ HP 441/441
◇ 攻撃 9★★★★★★★★★★
◇ 防御 7★★★★★★★
◇ 素早さ 9★★★★★★★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 木の長槍、軽量弓、革の猟師服
◇ 技 草木払い、離れ撃ち
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 20