第12話 怪物
地面を強く蹴る音。
1頭の獣が宙を舞う。
次の瞬間。
鋭い爪がノゴウの背中を襲った。
ノゴウ「うあー!!!」
ノゴウは地面に倒れ込む。
鎧に守られ、かろうじて死を回避。
◇ ノゴウに18のダメージ。(HP21→3)
肩を貸していたオオデンも一緒に倒れ込む。
◇ オオデンに8のダメージ。(HP336→328)
ノゴウに襲いかかったのはオオツメネコ。
もともとは人家で飼われていた小型の獣。
繁殖力が非常に強い。
大量に子が生まれ、飼育できなくなる者が続出。
その結果、野山に大量に放たれた。
そして、野生化し、凶暴化、大型化。
駆除すべき害獣と化してしまった。
現れたオオツメネコは3頭の子を連れている。
子といっても成獣とほとんど同じ大きさ。
アルジ「今行くぜ!!」
アルジは走り出す。
だが、すぐに立ち止まる。
アルジは感じた。
背後により大きな魔力を。
アルジ「エミカ、オオデンとノゴウは任せた」
エミカ「あれを1人でやるつもりか…?」
アルジは振り向く。
近くの岩の壁をにらみつける。
その壁は強い魔力を放っていた。
壁から徐々に浮き上がる姿。
ぱらぱらと音を立て、それは立ち上がる。
エミカ「あれは今までの魔獣たちとは格が違う!
魔生体だ!魔力で作られた怪物だ!」
アルジ「魔生体…。そんなのがあるのか。
大丈夫だ。倒してみせる!!」
アルジの目が輝く。
勇気の剣が光り出す。
エミカ「!!」
その怪物は岩石魔人。
岩や泥に魔力を込めて生み出された。
生み出すには強い魔力が必要。
その背丈は、アルジの倍以上。
灰色のごつごつした体表は非常に硬い。
圧倒的な存在感で迫ってくる。
アルジは臆することなく剣を構える。
アルジ「向こうが終わったら手伝ってくれ!」
エミカ「分かった!それまでやられるなよ!!」
杖の先に火球を生み出してエミカは走り出す。
オオデンとノゴウのところへ。
アルジ「いつでも来い!」
岩石魔人が動き出す。
光る2つの丸い目でアルジを見下ろす。
大きく腕を振った。
パラパラと何かが降り出す。
アルジ「!!?」
最初は砂粒ほどの大きさだったその物体。
徐々に大きくなっていく。
やがてアルジの手のひらほどの大きさに。
ドッ、ドッ、ドッと地面にぶつかる音がする。
アルジの近くにいくつも落ちる。
それらは、石の粒。
落下の速度が増していく。
1個1個の粒が大きな破壊力を持つ。
降ってきたいくつかの石をアルジはかわす。
アルジ(これも魔術なのか!?)
勇気の剣を振って対抗。
いくつかの石を砕き、跳ね返す。
さらに、いくつかの石は左右に跳んで避けた。
やむことがない岩石魔人の攻撃。
アルジ(このままじゃ…やられるだけ…!)
走り出して回り込む。
岩石魔人の背後へ。
体の大きな岩石魔人。
その動きは鈍かった。
アルジ(もらった!)
横腹を大きく斬りつける。
刃と体表が激しく擦れ合う。
表面にごく浅い傷がついただけ。
◇ 岩石魔人に1のダメージ。
再び大量の石がアルジを襲う。
アルジ「くっ!」
後ろに跳ねてかわそうとする。
だが、1個が右の肩に当たる。
激痛に思わず身をかがめる。
肩を手で押さえて苦しむ。
◇ アルジに47のダメージ。(HP145→98)
アルジ「クソッ!!」
落ち続ける石の粒。
後方へ跳ねて距離をとる。
石が降る範囲は限られていた。
遠ざかると近くに降ってこない。
2つの丸い目でアルジを見る岩石魔人。
石を降らせるのをやめて近づいてくる。
アルジ(近づけば、また石の雨…。
その前に見つけるんだ。あいつの弱点を!)
アルジはよく観察した。
歩いてくる岩石魔人の姿を。
そして、気づく。
アルジ(…小さくなってる?)
岩石魔人の体は縮んでいた。
現れたときはアルジの倍以上の大きさ。
今もアルジより大きい。
だが、その背丈は倍まではない。
アルジ(石の雨を…
自分の体を削って降らせていた…?
もっと降らせてやるか!?
あいつの体がなくなるまで…!)
大きな歩幅で迫ってくる岩石魔人。
その速度は思いのほか速い。
アルジは後退し続ける。
安全な距離を保つために。
アルジ「…!!」
宙に浮かぶ。
地面に降ったいくつもの石の粒が。
浮かんだそれらは吸い寄せられる。
岩石魔人の体に。
くっつき、体の一部となっていく。
アルジ(…雨はいくらでも降らせられるわけか。
降らせる作戦はやめだ!
だが…それなら一体どうしたら…)
距離を取り続けるアルジ。
岩石魔人は攻め方を変える。
力強く地面を蹴って突進してきた。
アルジに体当たりを仕掛ける。
アルジ(遅いぜ!!)
横に跳んでひらりとかわす。
体当たりは失敗に終わる。
アルジは素早く振り向く。
岩石魔人を見る。
岩石魔人は背を向けていた。
アルジ「…!」
次の瞬間、首がぐるりと反転。
岩石魔人は目を光らせてアルジを見る。
アルジ「そうか…!」
再び距離を詰めてくる。
アルジは一直線に駆けた。
思いついた攻め方を試すため。
肩の痛みに耐えながら力強く剣を振った。
アルジ(そこだ!)
狙ったのは膝の部分。
右脚の膝から下が斬り離される。
関節部分は軟らかくできていた。
岩石魔人を滑らかに動かすため。
アルジはそこを狙って斬ったのだった。
◇ 岩石魔人に135のダメージ。
体勢を崩し、地面に倒れ込む岩石魔人。
左膝も斬る。
◇ 岩石魔人に148のダメージ。
次に、右の肩を斬り離す。
◇ 岩石魔人に154のダメージ。
その次は、左の肩。
◇ 岩石魔人に173のダメージ。
一気に攻め倒した。
アルジ「うおおおお!!」
最後は円月斬りで首を断つ。
◇ 岩石魔人に191のダメージ。
岩石魔人の目から光が失われていく。
◇ 岩石魔人を倒した。
◇ アルジは戦いに勝利した。
◇ アルジはレベルが上がった。(レベル5→6)
アルジの元へ駆けてくるエミカ。
エミカ「もう終わったのか!?」
アルジ「ああ、そっちも済んだか?」
エミカ「全部倒した」
アルジ「さすがだな」
エミカ「だけど…」
アルジ「どうした?」
◇◇ ステータス ◇◇
◇ アルジ ◇
◇ レベル 6
◇ HP 98/223
◇ 攻撃 10★★★★★★★★★★
◇ 防御 5★★★★★
◇ 素早さ 6★★★★★★
◇ 魔力 1★
◇ 装備 勇気の剣、革の鎧
◇ 技 円月斬り
◇ エミカ ◇
◇ レベル 5
◇ HP 127/141
◇ 攻撃 2★★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ 6★★★★★★
◇ 魔力 8★★★★★★★★
◇ 装備 術師の杖、術師の服
◇ 魔術 火球
◇ オオデン ◇
◇ レベル 10
◇ HP 328/336
◇ 攻撃 4★★★★
◇ 防御 4★★★★
◇ 素早さ 3★★★
◇ 魔力 2★★
◇ 装備 鉄の短剣、錆びた鎧
◇ ノゴウ ◇
◇ レベル 6
◇ HP 3/63
◇ 攻撃 3★★★
◇ 防御 2★★
◇ 素早さ 4★★★★
◇ 魔力
◇ 装備 鉄の剣、鉄の鎧
◇ 持ち物 ◇
◇ 治療薬 8
◇◇ 敵ステータス ◇◇
◇ 岩石魔人 ◇
◇ レベル 15
◇ HP 706
◇ 攻撃 9★★★★★★★★★
◇ 防御 16★★★★★★★★★★★★★★★★
◇ 素早さ 3★★★
◇ 魔力 11★★★★★★★★★★★
◇ 魔術 石の雨