表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルジ往戦記  作者: roak
119/300

第119話 意地

歩いていくアルジ。

ギンタロウは不敵に笑う。

エミカはアルジの後ろを歩く。


ギンタロウ「おい、おめえよ」

アルジ「なんだ?」

ギンタロウ「来い。ここに座れよ」


バシバシと席を平手で叩く。

隣に座るよう促すギンタロウ。

仲間たちはそんな彼を見て笑っている。

座るアルジ。

ギンタロウたちに囲まれる。


ギンタロウ「さっき、

 狩りを手伝いたいって言ってただろ」

アルジ(!!…エミカと話してたの

 聞こえてたのか?)

ギンタロウ「聞こえてんだぜ?ちゃんとな!

 こいつは随分となめられたもんだ」

アルジ(こいつの耳…どうなってやがる…!)


アルジの隣でギンタロウは勢いよく話す。

叫ぶように、大声で。

仲間たちはアルジの顔を見て笑っている。

声を出さず、ニヤニヤと。


ギンタロウ「ふざけんなよ!ガキが!!

 狩りのイロハも分からんやつが!素人が!

 協力したいたあどういうことだ!え!?

 なめてんのか!てめえ!なめてんのか!」

アルジ「………」

エミカ(アルジ…)


エミカは近くで立って見守る。

ギンタロウの話す勢いは増していく。


ギンタロウ「全部聞こえてんだぞ!

 強い魔獣と出会えそうだと!?

 オレたちを利用する気か!?おい!!」

アルジ「………」

ギンタロウ「利用するつもりかって

 聞いてんだよ!!なんとか言いやがれ!」

アルジ「そんなつもりはない」

ギンタロウ「………」


ギンタロウの仲間が深いため息をついた。

彼は闇の策士イサグモ。

静まり返る店内。

声の大きさを落とし、ギンタロウは話す。


ギンタロウ「こちとら命張ってんだ」

アルジ「………」

ギンタロウ「遊びじゃねえ。

 これは遊びじゃねえんだよ。

 オレたちは、いつ死んでもおかしくねえ。

 やるか、やられるか。獣たちも必死だ。

 あいつらだって死にたくねえ。

 殺されたくねえ。

 だから本気で向かってくるわけだ。

 オレたちは、目の当たりにしてきた。

 本気でぶつかってくる獣たちを。

 何十、何百、何千も。

 そいつらを仕留めて、生活の糧にする。

 来る日も来る日も。5年!10年!!15年!!!

 そうやって、経験を積み上げてきた。

 死んだ仲間もいた。

 目の前で食われたやつだっていた。

 それでも乗り越えて、狩りを続けてる。

 オレだけじゃねえ。ここにいる仲間全員だ。

 だからこそ頭に来る。

 少しは考えてみやがれ!」

アルジ「………」

ギンタロウ「命張って仕事してるところに、

 右も左も分からんようなガキが現れて、

 協力したいなんて言われた日にゃ

 どう思う?どう思うんだ?」

アルジ「………」


5人の仲間たちの顔からは笑みが消えていた。

アルジに向けられるのは冷ややかな視線。


エミカ「アルジ…」


ギンタロウは卓を平手で強く叩く。

皿が揺れてガチャンと音を立てた。

ギンタロウはギロリとエミカをにらむ。


エミカ「………」


それからアルジの顔を見る。


ギンタロウ「違う!分かってねえ!!

 狩りってのはまるっきり違うんだ!

 女と行楽地へ行って遊ぶのとはな!!」

アルジ「…てめえ!!」


アルジはギンタロウをにらんだ。


ギンタロウ「なんだ!おめえ!その目!」


一瞬ひるむギンタロウ。

剛腕剣士ワカオが自身の剣に素早く手を伸ばす。

それとほぼ同時にアルジは言う。

暗く沈んだ声で。


アルジ「昨日まで4人で旅していた」

ギンタロウ「………」

アルジ「仲間の2人が戦って死んだ」

ギンタロウ「………」

アルジ「あんたが言ってる命を張るってこと。

 どういうことか分からないわけじゃない」


アルジは立ち上がる。


アルジ「だけど、悪かった。

 オレは猟師の人たちの力になれると思った。

 何かやれることがあるんじゃないかと思った。

 それで、強い魔獣と戦えたらいいって思った。

 軽はずみなことを言って悪かった。

 もう手伝いたいとか言わないぜ」

ギンタロウ「………」


そして、アルジは卓上の杯を手にとる。

杯には液体がなみなみと入っている。

それを一気に飲んだ。

飲んだのはマシナシコの絞り汁。


アルジ「これが現地の味か…」

ギンタロウ「………」


空になった杯をそっと卓に置く。

アルジはエミカの方を向いて歩いていく。


アルジ「行こう」

エミカ「ああ」


店員に声をかけて支払いを済ませる。

店から出ていこうとするとき。

後ろから声をかけられる。


ギンタロウ「…どうする気だ?」


振り返るアルジとエミカ。


アルジ「猟師の基地へ行ってみる」

ギンタロウ「行ってどうする?」

アルジ「狩りに参加する。

 オレたちで魔獣を仕留める」

ギンタロウ「狙うのか?懸賞金を」

アルジ「もちろん」

ギンタロウ「無駄なことはやめとけ。

 基地には入れてくれるかもしれねえが、

 どうあがいても獲物にゃありつけねえ」

アルジ「…どういうことだ?」

ギンタロウ「行ってみりゃ分かるさ」

アルジ「………」

ギンタロウ「場所は知ってんのか?」

アルジ「さっきここで聞いた」

ギンタロウ「リンスケってやつが言ってたな」


店員はハッと気がつく。


店員「あ!あの人金を払わずに出ていった!」

アルジ「………」


店員はアルジを見る。


アルジ「……?」

店員「…………」


じっとアルジを見続ける店員。


アルジ「……は?」

店員「……………」

エミカ「アルジ…」

アルジ「ここは…オレが立て替えてやるぜ」

店員「それはありがたい!

 明日また来てくれたら、

 そうだな…果物を無料にするよ!」

アルジ「マシナシコ以外にしてくれ」

店員「ははは。分かった!」


アルジとエミカは店を出た。

店内は静かになる。

口を開いたのは、剛腕剣士ワカオ。


ワカオ「…あれでよかったのか?」

ギンタロウ「………」

ムエナ「仲間に入れてあげても

 よかったんじゃない?

 2人ともすごく強そうだったし」

スミレノ「意地張っちゃったね」

ギンタロウ「……。確かにあいつは強い。

 おそらく…」


ギンタロウは腕を組む。


ギンタロウ「単純な斬り合いじゃ勝てねえ」

ワカオ「オレも自信はない」

スミレノ「随分弱気」

ワカオ「分かるものだ」

ギンタロウ「剣の間合いに入れば分かる」

スミレノ「感覚ねえ」

ワカオ「例えるなら腕相撲。

 相手の手をつかんだらなんとなく分かる。

 相手が自分より上か、下か」

ギンタロウ「そういう感覚だ」

スミレノ「分からない」

ムエナ「腕相撲しないしね」

スミレノ「私はそれよりも…」

イサグモ「…後ろにいた魔術師の女だろ」

スミレノ「うん。すごい魔力だった」

イサグモ「あいつ…一体何者だろうな…」

ギンタロウ「…イサグモ」

イサグモ「ああ…」

ギンタロウ「基地へ戻れば、

 あいつらにまた会えるだろう。

 いざというときは…頼むぜ」

イサグモ「ああ。

 あいつらがオレらの手駒になれば…。

 オレらの思いどおりに動く…

 シモベになれば…」

ギンタロウ「…そうだ。そういうことだ。

 タキマイ一派の牙城を崩せる…かもしれねえ」

スミレノ「そしたら一気に近づくね。

 大陸首位猟師に」

ギンタロウ「ああ。そういうこった!

 イサグモ、お前の得意の精神操作で…

 頼むぜ!!」

イサグモ「ああ。任せろや…」


卓の上。

空になった杯。

それを見つめるスギヤ。


スギヤ(あいつ…

 なんでオレが注文したマシナシコを飲んだ?)

ギンタロウ「おい、どうした?歩く獣図鑑」

スギヤ「いや、なんでもない」

ギンタロウ「…そうか」

スギヤ(その称号、早く変えてくれ)


通りを歩くアルジとエミカ。

リンスケの姿を見つける。


アルジ「よう」

リンスケ「あんたら、さっき店にいた…」

アルジ「金払わなかっただろ」

リンスケ「ああ、さっき思い出した。

 ちょうどこれから店へ戻るところだった」

アルジ「払っといたぜ」

リンスケ「!…そうなのか。

 そいつはすまなかった」


アルジがいくら立て替えたのか教える。

リンスケは決まりが悪そうにアルジに金を渡す。


エミカ「猟師の基地まで案内してくれないか?」

リンスケ「基地…。お前たちも…」

エミカ「ああ、魔獣討伐に参加したい」

リンスケ「そうか、分かった。案内しよう。

 2人とも名前は?」

アルジ「クユの国、ナキ村のアルジだ」

エミカ「同じくクユの国、ワノエ町のエミカ」

リンスケ「オレはリンスケ。よろしく。

 ウテナムの国、ワマの町から来た」


歩き出すリンスケ。


リンスケ「さあ、基地に案内しよう。

 ついて来てくれ」

アルジ「頼む」


◇ リンスケが仲間になった。



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 23

◇ HP   2277/2277

◇ 攻撃

 34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 素早さ

 28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力  5★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り

◇ 魔術  雷動


◇ エミカ ◇

◇ レベル 19

◇ HP   1452/1452

◇ 攻撃  9★★★★★★★★★

◇ 防御

  26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 素早さ

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  39★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、濃色魔術衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火

      氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷

      雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ リンスケ ◇

◇ レベル 14

◇ HP   441/441

◇ 攻撃  9★★★★★★★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ 9★★★★★★★★★★

◇ 魔力 

◇ 装備  木の長槍、軽量弓、革の猟師服

◇ 技   草木払い、離れ撃ち


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 20


◇◇ 敵ステータス ◇◇

◇ ギンタロウ(南国首位猟師) ◇

◇ レベル 26

◇ HP   1600

◇ 攻撃  

 20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 22★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★

◇ 素早さ 

  20★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 11★★★★★★★★★★★

◇ 装備

 草緑槍、青天弓、狩猟王の短剣、南国式手斧、

  硬毛武術衣

◇ 技

  猛襲連撃、潜行探知、竜頭槍撃、蛇尾斧撃

◇ 魔術  岩弾、岩砲


◇ ワカオ(剛腕剣士) ◇

◇ レベル 23

◇ HP   1338

◇ 攻撃

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 防御  11★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  4★★★★

◇ 装備  長刃猟剣、獣甲戦闘着

◇ 技   巨獣両断撃、甲殻破壊剣、狼牙連撃剣、返身天心斬

◇ 魔術  火弾


◇ ムエナ(罠の達人) ◇

◇ レベル 25

◇ HP   625

◇ 攻撃  7★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 

 29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 魔力  9★★★★★★★★★

◇ 装備  精巧弓、裏装小刃、暗空猟衣

◇ 技   隠し刃のにわか雨

◇ 魔術  氷弾


◇ スミレノ(光の援護者) ◇

◇ レベル 23

◇ HP   544

◇ 攻撃  3★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 

 17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  

 23★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★

◇ 装備  古世木の杖、心躍魔術衣

◇ 魔術  氷弾、氷刃、氷壁

      光玉、治療魔術、再生魔術


◇ イサグモ(闇の策士) ◇

◇ レベル 28

◇ HP   883

◇ 攻撃  7★★★★★★★

◇ 防御  14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 29★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★

◇ 装備  黒水晶の杖、影想魔術衣

◇ 魔術  暗球、精神操作、五感鈍化、猛威減衰術


◇ スギヤ(歩く獣図鑑) ◇

◇ レベル 21

◇ HP   390

◇ 攻撃  8★★★★★★★★

◇ 防御  11★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力  10★★★★★★★★★★

◇ 装備  怪牙の小剣、硬鱗狩猟衣

◇ 魔術  岩弾、岩砲

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ