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アルジ往戦記  作者: roak
105/300

第105話 秘術

マスタスは話を続けた。


マスタス「会場に集まったのは10人。

 そのうち例の怪しい連中は6人。

 ほかの4人は一般の参加者だった。

 まず、オレはその4人を逃した。

 今日は6人まで。悪いが帰ってくれと。

 怪しい連中と見分けるのは簡単。

 その頃には顔見知りだったから。

 4人は残念そうに帰る。6人だけが残る。

 すると、オレははっきり感じた。敵意を。

 隠していても分かる。伝わる。

 それほど強い敵意だった。

 そして、確信した。こいつらは偽っている。

 追従してると見せかけてオレを監視している。

 慕っていると見せかけてオレを調べている。

 オレたちが何をするつもりか見てきた。

 そして、オレは推測した。

 こいつらは政府の回し者じゃないのかと。

 6人との勝負が始まった。だまし合いだ。

 オレは気づいていない振りをした。

 あいつらが政府の回し者であることに。

 そして、6人に向かって言う。

 君たちには特別な力を感じると。

 君たちなら特別な魔術を習得できると。

 今日はそれを特別に伝授したいと。

 すると、どうだろうか。6人は喜んだ。

 いや、喜んだ振りをした。演技だった。

 あれは彼らなりの喜んでいる演技だった。

 下手くそで滑稽でみっともない芝居だった。

 オレは1人を前に呼ぶ。ここへ来いと。

 そいつは顔を引きつらせながらやってきた。

 オレのことを明らかに警戒していた。

 一体何をされるのかと冷や冷やしていた。

 喜んでいる演技のつもりだったのだろうが。

 オレはそいつの背中に手を当てる。

 ほかの5人は見ている。

 表面上は期待している顔だ。

 どんな魔術が披露されるのか。

 期待する演技をしていた。

 だが、警戒心はひしひしと感じる。

 何かあれば、駆け出そう。襲いかかろう。

 そういう気持ちが彼らの中で燃えている。

 オレには手にとるように分かった。

 そして、始めた。左手に魔力を集めた。

 さっきも言ったが、オレには自信があった。

 相手を倒して生き残る。

 会場にいる6人全員を敵に回したとしても。

 そういう自信がオレにはあった。

 そういう自信を持てるだけの魔術があった。

 左手から出た魔波が暗球の形をなす。

 それからは、一瞬のことだ。暗黒獄焼術あんこくごくしょうじゅつ

 完全に決まった。正確に。致命的に。

 火術と闇術を組み合わせた究極の破壊魔術。

 球状の漆黒の炎で肉を、骨を、臓物を焼く。

 その熱は、最強の火術、王火を超える。

 オレが呼び出した怪しい連中の1人。

 そいつは叫ぶ間もなく真っ黒焦げになった。

 見ていた5人はすぐに動き出す。

 4人が襲いかかる。1人は会場から出ていく。

 4人はいずれも武術の心得があるようだった。

 隠し持っていた武器を手にオレに襲いかかる。

 だが、オレの魔術が1枚、いや、3枚上手。

 1人、2人とその体を炭に変えてやった。

 気づけば4体の炭人形が床に転がっていた。

 逃げ出した1人は外へ出て、叫ぶ。

 さらに4人、会場に入ってきた。応援だった。

 そいつらは外から会場を見ていたのだった。

 オレを包囲する。魔術師が2人。剣士が2人。

 惨状を目の当たりにしても彼らは動じない。

 怒りの感情に任せて突っ込むこともしない。

 精神的な訓練を積んでいたのだろう。

 戦いが始まる。だが、あっけなく終わる。

 オレが暗球を放つ速さ。

 それは常人の感覚を遥かに超えていた。

 炭人形がさらに4体。床に転がった。

 残るは1人。そいつは大声でオレを罵倒する。

 だが、襲いかかってこようとはしない。

 戦士ではなかった。魔術師でもない。

 おそらくは審理院の調査員。

 オレは決めた。こいつから話を聞き出そうと。

 一体何者なのかと。どうして監視するのかと。

 制圧は簡単だった。近づいて、精神操作。

 自分たちについて、すべてを話せ。命じる。

 2人しかいない会場でオレは尋問を始めた。

 徹底的に問い詰めて、正体を暴こうと思った。

 隠された政府の思惑も。そいつは話し始めた。

 自分は政府の秘密部隊に属する者だと答えた。

 秘密部隊の名前は、裏行隊というらしい。

 反体制的な団体を監視するための組織らしい。

 やはり政府の回し者。推測は当たっていた。

 そして、オレはさらに聞き出そうとした。

 ほかの構成員はどこにいるのか。

 政府の誰の命令なのか。問いかける。

 そいつは口を開く。何かを言おうとする。

 だが、次の瞬間、予想外のことが起きた。

 それは、本当に予想外のことだった。

 受け入れがたい事態が発生した。

 そいつは突然死んだ。

 口を開いたと思ったら、奇妙な声を発して、

 体を硬直させて、突然、死んだ。

 それを見て、オレはすぐに分かった。

 どんな力がどのように作用したのか。

 その力とは秘術だ。魔術とは異なる力。

 その力が働いて死んだんだ。すぐに分かった。

 だが、それを現実として受け入れるのは困難。

 秘術は古代王国で用いられていた太古の力。

 魔術と違い、今では使える者はごく少数。

 その仕組み、習得方法は秘められている。

 ごく一部の者からごく一部の者へ。

 密かに受け継がれていると聞く。

 そして、その力を扱えるのはノイ民だけ。

 古代王国を建てたノイ民だけなのだ。

 秘術を使って政府のために働いている。

 そういう者がいることにオレは困惑した。

 そして、オレは分からなくなった。

 大遊説とは何か。ノイ民の再興とは何か。

 みんなのため。ノイ民のため。

 そう思ってやってきたのに。

 なぜノイ民が政府に加担しているのか。

 なぜ秘術を使ってこんなことをするのか。

 とんでもない裏切り行為だ。

 決して許されないことだ。

 だが、同時にオレはこうも考えた。

 オレが知らないだけなのかもしれないと。

 ノイ民にも政府に仕えている人が大勢いて、

 それなりに幸せに暮らしてるんじゃないかと。

 オレたちは族長にけしかけられただけで、

 大遊説なんてしなくていいんじゃないかと。

 さらに、オレは考えた。

 どうしてここにいるんだろうと。

 オレは、本当は何がしたくて、

 今まで何をやってきたんだろうと。

 考えるうちに少しずつ力が抜けていった。

 心の中心を貫いていた1本の太い軸。

 それが腐って崩れていくような気がした。

 だが、打ちひしがれている暇などない。

 新たに2人、会場に入ってきた。

 男と女。剣士と魔術師。オレを見ている。

 その2人はラグアとロニの集会に出ていた。

 なんらかの方法で異常事態を知った。

 それで駆けつけたのだろう。

 オレはそいつらとも戦うことになった。

 そして、そのとき、決定的なことが起きた。

 オレの身に決定的なことが起きたんだ」



◇◇ ステータス ◇◇

◇ アルジ ◇

◇ レベル 23

◇ HP   2277/2277

◇ 攻撃

 34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 防御

 26★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★

◇ 素早さ

  28★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★

◇ 魔力  5★★★★★

◇ 装備  勇気の剣、雅繊維戦衣がせんいせんい

◇ 技   円月斬り、剛刃波状斬撃、朔月斬り


◇ エミカ ◇

◇ レベル 19

◇ HP   1452/1452

◇ 攻撃  9★★★★★★★★★

◇ 防御  12★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ

  18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  33★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔樹の杖、深紅の魔道衣

◇ 魔術  火球、火砲、火樹、火海、王火


◇ ミリ ◇

◇ レベル 16

◇ HP   1008/1008

◇ 攻撃  4★★★★

◇ 防御  7★★★★★★★

◇ 素早さ

  17★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

  34★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

  ★★★★★★★★★★★★★★

◇ 装備  魔石の杖、紺碧の魔道衣

◇ 魔術  氷弾、氷柱、氷乱、氷渦、王氷


◇ リネ ◇

◇ レベル 27

◇ HP   1011/1011

◇ 攻撃   7★★★★★★★

◇ 防御

 18★★★★★★★★★★★★★★★★★★

◇ 素早さ 14★★★★★★★★★★★★★★

◇ 魔力

 31★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

   ★★★★★★★★★★★

◇ 装備  天界石の杖、創造の杖、聖星清衣せいせいせいい

◇ 魔術  雷弾、雷砲、雷柱、王雷

      岩弾、岩砲、岩壁、王岩

      光玉、治療魔術、再生魔術、蘇生魔術


◇ 持ち物 ◇

◇ 治療魔術薬 10、魔力回復薬 20

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