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前編

 私の名は間宮サク、普通の何処にでも居る高校生だった。

 だったと過去形なのは、今の私は異世界で。


「「「「「聖女様!!」」」」」


 五人の見目麗しい青年達に囲まれながら聖女として生活しているからだ。


 私が聖女になった経緯だけど。

 学校からの帰り道、いきなり目の前が光ったと思ったら見知らぬ場所、テレビの中でしか見た事がない宮殿のような場所に居た。

 呆けていると周りに五人のイケメンが集まって、私を聖女様と持て囃し、この世界を救うために喚ばれた存在だと教えられ、今に至る。


 最初のうちは大好きな乙女ゲームのような展開――タイプが違う五人のイケメンに毎日、甘い言葉を囁かされ持て囃される日々を楽しんでいたけど。


「聖女様、お一人へどちらに?」

「気分転換に庭に行こうと思って・・・・・・」

「それではお供します」

「仕事は大丈夫なの? 私より仕事を優先した方が」

「聖女様のお供が最優先です!」


 遠回しに一人にさせてと言っても彼らは私を絶対に一人にさせない。

 そんな彼らに窮屈を感じるようになったのは、此処に来て一週間が経ったころ。

 飽きたとかそういう意味の窮屈ではない、自由がない事に窮屈を感じるようになった。

 聖女のための勉強中も居るが、それはサボり対策のため。だけど、息抜きの散歩でさえ彼らは私の傍を離れようとしない。

 そんな彼らにストレスを感じるようになるのは当たり前だった。

 それに外は危険だからと屋敷内から外に出ることは禁じられている、一度だけお供を付けて外に出てもいい? と聞いたことあるけど。


「外は危険だと何度も言ってます!!!!!!」


 普段は優しいのに、その時は顔を怒りで歪ませながら怒鳴りつけられ、それ以来、外出に関しては一切聞かないことにした。


 彼らにとって私は世界を救う聖女、守るべき存在、だから護衛として傍に居るのは当然なのかもしれない。

 だけど常に傍にいる彼らが私が逃げないように監視しているみたいで嫌な気分になる。

 私が一言、嫌だと言えば良いのだけど。


「聖女様、可憐な顔が曇っていますよ。どうなされましたか? 太陽のような笑顔でいつも我々を照らしてくださる貴女らしくない」


 じっと私の目を見つめて甘い言葉を囁かれる度に頭がクラクラしてどうでもよくなってしまって、結局、言う事が出来ずに私は彼らが私の傍に居ることを許してしまう。


――これはきっと異常なのかもしれない。


 そう思うようになったある日の夜、眠ることが出来ず枕を抱えベッドの上に座っていた。

 じっと窓越しで星空を眺めていたら、黒い何かが落ちてくるのが見えた。

 そしてドチャッ! と潰れるような音が聞こえて、慌ててベランダに出て、下を覗き込むと。


「なにあれ・・・・・・?」


 ベランダの下、落ちてきたのは手が八本生えた人間のような化け物、蜘蛛のような異形の化け物がいた。


 ピクリと動かない様子から異形の化け物は死んでるとわかる。

 じっと見ていたら大量の血に思わず吐きそうになったけど、冷静にこれは人を呼ばないといけない。そう思って、戻ろうとしたとき。


「あら、こんな所に人?」


 フワリと私の目の前に女性、燃え盛る炎を連想させる鮮やかな赤色の長い髪の女性が現われた。

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