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後輩に告白されたと思ったら、幼馴染に監禁されて「結婚しよ?」って言われた。  作者: W.N.
後輩に告白されたと思ったら、幼馴染に監禁されて「結婚しよ?」って言われた。
8/11

(´-`).。oO

良いタイトルが思い浮かばない……


「……」


「……」


長い沈黙。

あれからどのくらいの時間が経ったのだろうか。

ちらりと時計を見てみるが、針は7と4の数字を指していた。

つまり、現在の時刻は7時20分。

柚がやって来たのがだいたい7時15分くらいだから──5分少々の時間が経過したのか……。

長く感じたけど、実際は数分しか経っていないのか。


「……」


「……」


沈黙は続く。

このまま10分、15分と続いていくかと思ったが、そうはならなかった。

「ねえ……」と柚が破ったのだ。


「……何?」


「……返事は?」


「……」


辞めてくれ。

忘れようとしていたのに……。

思い出したくない記憶。

それはつい5分前の彼女の発言だった。


『私と結婚を前提としてお付き合いをして欲しい』


ストレートな求婚。

告白したその先にあるもの。

プロポーズってやつだ。

僕だって男だ。

柚のような美少女から告白されるのは嬉しい。

しかも、昔からの幼馴染。

性格や価値観の違いで別れる事はない。

だけど──。


「ちょっと、早すぎるんじゃ無いか?」


僕たちはまだ学生だ。

それも高校2年生。

1年後には受験が控えている身である。

それに、せっかくの学生時代なのだ。

今は彼女とイチャイチャするよりも、家の中でグータラしてゲームをやりたい。

だから、今ではなく、もっと後──それこそ大学生くらいからでも良いだろう。

そう言ってみるが、彼女は首を横に振った。


「このまま大学卒業まで待ったとしよう。 その間に他の女の子に告白されるには耐えられないからね」


現に有希から告白されたでしょう?

柚は今、ここで、僕の答えが欲しいらしい。


「少し考えてたいんだけど……」


「それは構わないが、昨日もそう言ってたよね?」


「……」


何故、知っているの?

いや、この際、何で知っているかはどうでも良い。

目の前にある現状の問題を何とかしなければ……。

……どうしよう。


「もしかしてだけど、逃げようとは思っていないよね?」


「何でそうなる……」


見透かされている?

まさか、考えている事が全て漏れてるの?


「もし本当なら、いくらの私も傷つくよ?」


泣く真似をする幼馴染。

僕は「いや、咄嗟の事で驚いただけだよ……」と誤魔化してみるが、彼女の方が1枚上手だった。


「もう告白してから5分は経ってるよ?」


「……消化するのにそのくらいの時間が掛かったのさ」


「まあ良いけど……それで、返事は?」


「……」


しかし、これは大変なことになった。

昨日は後輩から。

そして今は幼馴染から。

2日続けての告白だ。

ラノベの主人公でもこんな状況になるのは珍しいのではいのか?

いや、彼の方が相当マシであろう。

もし告白されてもやろうと思えば、その後のイベント次第では有耶無耶にする事も可能だからだ。

しかし、僕の場合は違う。

有希の告白は「考えておく」と言う理由で利用して、何とかなったが、今回──柚の場合はそうにはいかない。

思い出したくないが、僕は幼馴染に監禁されている。

有耶無耶にする事も出来なければ、延期にする事もできない。

つまり、これからの僕の言動次第で今後の人生に大きく影響するのだ。


「どうしたんだい?」


「いや、これからの事を考えていた」


嘘は言っていない。

だが、幼馴染には効果が無かった。


「そうかい。 でも、それが私と一緒に暮らす10年後の事なら嬉しいんだけどね」


「……」


1枚上手だな。

流石、天使様だ。


「でも、驚いたよ」


「何が?」


「柚が僕の事を好きだって思っていた事」


「何を言っているんだい? 昔からずっとケンくんのことが好きに決まっているだろう?」


君は何を言っているんだと言わんばかりの表情。

まるで、僕が何かを間違っているような雰囲気だ。


「でも、そう言う素振りとか全く無かったじゃん」


「君が望まなかったからだよ。 だから、私もいつも通りの私で居たんだ。 まさか、君に告白する娘が居るとは思わなかったけど」


「……」


ちょっぴりとだが、口調が強くなる。

おそらく、有希の事だろう。

普段は、姉妹のように仲が良いんだけどな……。


「さて、これで私がケンくん好きだと言う事がわかっただろう? それで、そろそろ返事が欲しいんだが?」


ぐいぐいと顔を近づける幼馴染。

いつもよりもいい匂いがする。

だが、もう時間はない。

幼馴染のプロポーズに答えなくてはいけない。


「えっと……その?」


「うんうん」


「僕は……」


柚のプロポーズに──。

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