98.弟子の成長
「気をつけろ!レオが複数いる可能性がある!」
敵の指揮官がそう叫んだ。
なるほど。
敵にとっては脅威なのはレオだけという認識なんだな。
後方に敵が潜んでいる可能性がある。
と言わずに、レオがいる可能性という言葉が出てくる時点でそうとしか考えられないな。
「今だ!敵は僕に怯えている!大規模魔法で押しつぶしてしまえ!!」
レオが指示を出すと、味方が数人ごとにグループを組みだした。
大規模魔法か。
気になる単語が出てきたな。
少し観察させて貰おう。
もちろん、敵の妨害は続けつつ。
「レオにだけ任せてはいられません!私たちが戦えるところを見せましょう!」
俺の弟子の人間も動き出した。
手が黒くなっているな。
悪魔の状態になったのか。
そして、人間の頭上に大きな魔法陣らしきモノが出現した。
「はぁぁぁぁ!!!!」
人間の気合いとともに、魔法が発動する。
魔法陣からは、大量の氷の槍が放たれた。
その槍に敵は次々と貫かれていく。
これは普通に敵を殺せてるな。
全員を魂まで殺すのは無理そうだ。
あっ!
指揮官も刺された。
あいつは他の敵より強そうだし、転生させないようにあいつくらいは仕留めておこう。
「ぬぅぅ!」
凄いな。
かなり魔力吸収しているが、魂出てこないぞ。
これは時間がかかりそうだし、チクチクダメージを受けさせるか。
翼からトゲを飛ばそう。
殺してしまわないように足や腕などを集中的に狙う。
「っ!危ない!」
突然誰かが司令官の前に現れた。
そして、トゲを全て自分の体に受ける。
危ないな。
視線を遮られて魔力吸収が中断されるところだった。
まあ、その自己犠牲の精神を評価してコイツも魂ごと殺してやろう。
と、思ったが、
パンッ!
という音ともに、そいつの頭がはじき飛んだ。
人間の魔法が当たったみたいだ。
強く、なったんだな。