95.戦いの始まり
「後衛はいったん下がれ!炎が前衛まで届きそうだ!」
敵の指揮官らしき人物が指示を出し、後方の部隊を下がらせていく。
指揮官か。
まずはヤツを狙おう
俺は手のひらに魔力を集め、狙いを定める。
そのまま黒いレーザーを発射!
ジュッ!
「ぐああぁぁ!???」
指揮官が驚きと痛みの混じった声をあげる。
俺の狙い通り、レーザーはヤツの足を消し去った。
敵の指揮官がこのまま放置されるならそれでいい。
回復魔法なんかを見せてくれれば、レオに良い情報が渡るのではないかと期待しての攻撃だ。
「くっ!回復部隊がいない!これを使うしかないのか」
指揮艦は悔しそうに言って、腰から液体を取り出し、飲んだ。
すると、すぐに足が生えてきて、体が元通りになった。
回復魔法ではなく、治療薬か?
俺が考察していると、いつの間にか、
「お前か!」
敵が近くまで飛んできていた。
さて、選択肢は2つだ。
戦うか。
逃げるか。
レオには極力逃げるように言われている。
俺では三流の敵しか殺せないそうだ。
だが、逆に言えば、三流の敵なら殺せると言うことだ。
「あばよ!」
俺は羽を広げて逃げる。
「あっ!待て!!」
逃げる俺を敵は追いかけてきた。
勝てる可能性があるからと言って、わざわざ戦う必要もない。
この敵が三流かも分からないからな。
行動から考えると三流のようだが、頭が良くないだけで戦闘は一流かもしれない。
とりあえず、魔眼で燃やしておこう
「ぐわっ!?燃えた!?いつの間に魔法を」
敵は魔法だと勘違いしているな。
これは色々試しても魔法だと勘違いしてくれるんじゃないだろうか?
魔力吸収しても、魔法だと勘違いされるんじゃないか?
実験だ!実験!