72.運命の転換点
「悪魔さんに大仕事をお願いしたいんだけど、いいかな?」
可愛く首をかしげながら俺に訊いてくるレオ。
だが、俺は子供だからって油断しないぞ。
子供をなめたら行けない。
子供の方が大人を上回っているなんてよくあることなんだ。
「レオと言ったか?貴様は俺に何をさせたいんだ?」
できるだけ優しく。
されど、なめられない程度の声色で問う。
「ん~。お仕事としては、この人の魂を食べてみて欲しいんだぁ」
そう言いながら少年は立ち上がる。
その座っていたところには、全身傷だらけの男が倒れていた。
や、やはり子供を侮ってはいけないな。
半殺しの人間を椅子代わりにして、さらにそいつの魂を食べろだと。
恐ろしいことこの上ない。
「報酬は?」
俺はレオから少し距離をとりながら問う。
無償での労働なんてあり得ないからな。
いくら相手が子供だからと言って、そこは譲らん。
「ん~。その辺の魂を食べるのを報酬でいい?」
そう言いながら、レオは俺の後ろを指さした。
「何かあるの、、、っ!?」
俺はレオの指さした方を向く。
するとそこには、山住になった死体があった。
いや、うぅぅといううめき声が聞こえるから、死んではいないんだろうな。
いや、そこじゃない。
問題なのは、どうやってこんな数を用意したかって事だ。
こんな子供が用意できるとも思えない。
「お前、何が目的だ?」
俺は甫に何があるのかを尋ねる。
「目的?この辺の人たちの魂を消滅させることだけど?」
はぐらかされているのか?
コイツの行動理由がつかめない。
俺に魂を食べさせて何の得がある?
コイツには得なんてないはずだ。
殺したいなら今すぐにでも殺せるだろう。
わざわざ魂を消滅させる必要なんてない。
「ん~。契約するなら早くしてもらえるかな?僕も暇じゃないんだよ」