7.狂気の暴食
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「私たちはあなたを信じます」
誰の言葉かさえ、すでに覚えていない。
だが、完全に動かなかった俺の心が、もう1度動き出した。
この人たちの期待を裏切るわけにはいかないと。
そう思った俺は、もう1度上へ這い上がろうとする。
しかし、体は動かない。
当たり前だろう。ほとんど自分で壊したのだから。
俺は後悔した。
憤りのない感情がうごめき、俺はまた空っぽになる。
はずだったが、その前に俺は狂いだした。
狂うことが、このときの俺にとっては幸運だった。
狂った俺は、何も考えず、前の死体にかみつく。
ひどい味だった。
だが、俺はそれを食べ進める。
この体ではあまり強く感じることのなかった痛みが俺の脳に響いた。
痛かった。
痛かったけど、そんなことは狂ってしまっている俺には関係ない。
俺は頭痛でクラクラする頭の中、目の前の肉をただひたすらに食べ進める。
(あれ?)
気づくと、自分で壊したはずの耳や、消滅してしまった脚などが生えていた。
理由は分からない。
だけど、これは運が良かった。
これで、腕も使って、さらに効率的に食事もできる。
手で周りの肉をもぎ取りながら食べる。
頭痛がひどすぎて、まともな思考はできない。
ただ、食べることだけを続けた。
「アァ、、アァ!!」
知能を感じさせない声がする。
俺は敵がいるのかと警戒し、辺りを見回した。
だが、死体しかなかった。
おかしいな。
近くで聞こえたんだけど。
「ウゥ~」
やはり近くで聞こえる。
俺はおかしいと思いながらも、食べる方に集中する。
前が見えなくなったいたので、目の周りに付いているカスを拭った。
すると、
「ウェェ」
また声が聞こえた。
そして、今回はそれだけではなかった。
俺がたまたま腕で喉に触れていたことで、あることに気づく。
俺の喉が、震えていることに。