67.抗争の報告
「お前、誰なんだ?」
俺は見たこともない悪魔に尋ねる。
ここにいるのは俺と、ギレとギルとシャバスとウユリ。
そして、見たことのない悪魔だ。
自然な感じでいて、他の奴らも気にしていないから受け入れそうになったが、さすがにそうはならなかった。
「わた、」
「ああ。そいつの事は後で紹介する。先に報告させてくれ」
しゃべろうとした見たことのない奴を遮ってそう言ってくるウユリ。
さえぎられた悪魔はウユリの事をジト目でにらんでいる。
しかし、何かを発言することはなかった。
かわいそうに。
速く報告を聞いてしゃべらせてやろう。
「まず、被害は17人だ。もちろん全員死亡者な。重傷軽傷の奴はいたが、そいつらには無理矢理その辺にいた悪魔を連れてきて殺させて回復している」
ギレが言ってた通り、十人代後半だな。
ここまでは想定通りだ。
さて、他に何かあるんだろうか?
「こちらの被害はそれくらいだが、報告したいのはこの戦い以外の事だ」
「、、、は?」
俺は固まる。
戦い以外の事?
こいつは何を言うつもりなのだろうか?
さっきまで戦ってたはずなのに、なんで戦い以外の事が分かるんだ?
「いろいろ疑問はあると思うが、まずは聞いてくれ。シャバスから格上の悪魔が返ってきそうだという話は聞いたよな?」
「ああ。聞いた。それがどうかしたのか?」
あのお、男爵級悪魔とかそういうのの話だろ。
「そうだ。それで終わりそうだった戦争が少し長引いた。その関係で少しだけ猶予が伸びたんだ。大体、6年くらいだな」
6年!?
6年も伸びたのか。
それは確かに猶予ができたな。
もう少し落ち着いて訓練できそうだ。
今回の戦いで死んだ部下たちには悪いことをしたな。
無駄だとは言わないが、死ななくてもよかった可能性が高いんだから。
「そこで、俺たちとしてはお前に召喚先で長めに過ごしてほしいんだ」
訓練をゆっくりできると思っていた俺に、ウユリはそう言ってきた。
ま、まさか!
俺が邪魔になったのか!