62.敵同士じゃないのかよ
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「はぁぁぁ!!!」
一方が俺に向かって殴りかかってくる。
速さはギルほどではないが、安定して飛んでいるためギルよりも早いように思えてしまう。
変化なく飛んでくるから、初動がつかみにくいっていうのも理由としてはあるな。
厄介だ。
だが、厄介なのはこちらだけじゃない。
「甘い!」
いつの間にか俺の後ろにまわりこんでいたもう1体が、俺に爪を突き出す。
それも難なく避けるが、さらに追撃が来る。
ずっとこんな感じだ。
前衛と後衛がセットで襲ってくるというのも厄介だったが、こういう風に絶え間なく前衛2体に攻撃されるというのも面倒だな。
「ちっ!少し力を使うか」
俺は翼からとげを飛ばす。
俺に真正面から攻撃してこようとしてたやつは、俺しか見えておらず、視界から外れていたとげには反応できなかった。
1体に軽傷を負わせたな。
こんなチマチマしたモノでもかなり状況は変わるだろう。
「くそっ!集中しすぎると狙われる!翼にも気を付けておけ!」
一方が指示を出す。
「分かってる!お前こそ気をつけろよ!」」
もう一方はそう返した。
本当に敵同士なんだよな?
あまりにも連携がうますぎる。
あれか?
ライバルみたいなものなのか?
こいつの戦いはよく知ってる。みたいな?
それならさらに状況を変えるべきだな。
もう少し力を解放しようか。
俺は全身に意識を集中させる。
ボワッ!
俺の全身から炎が噴き出る。
「くそっ!腕が焼かれた。下手に触れるとまずいぞ!」
燃やされた方がすぐにもう一方に伝える。
こうなると同じ技を使えないかもしれない。
いや。
今回は良いか。
今回の炎で相手の強みである近接攻撃を1度ストップさせられたからな。
というか、この後もつらいだろう。
なら、もう少し相手への効果を考えながら力を使っていくか。