53.弟子の魔法
「魔法に魔力を込める、ですか?」
人間は顎に手を当てて悩んでいる。
そんなことはやったことがなかったらしい。
元々この人間のいた世界は魔力が大気中に少ないらしく、魔力をどれだけすくなく魔法を使うかと言うことが大事だったらしい。
アレだな。
魔力をいかに大量に使うかと言うことを大事にする世界。
そして、魔力を使いすぎないようにする世界。
どっかの世界の過去と未来みたいだ。
「とりあえず、できるかどうかだけ試してみてくれ。俺は魔法を使おうとすると爆発するから、その辺はよく分かってないんだ」
「そうなんですね。分かりました!やってみます!」
人間はそう言って手を上に上げて、
「『ファイアキャノン』」
人間の手のひらに火の玉が現れる。
その火の玉に、人間は魔力を込めていった。
火の玉弾はどんどん大きくなっていく。
だが、
ボォォンッ!
途中で爆発してしまった。
爆発の規模は小さいが、俺の失敗と同じ理由みたいだな。
「、、、なるほど。悪魔さん。ありがとうございます。私、つかめました。私の魔力を操る力が弱いんですね!」
人間は納得したように言った。
どうやったらそういう結論になるのだろうか?
魔力を詰めていって爆発したら、魔力を操作する能力が弱い、という考えだよな。
。、、、ん~。分からん。
「まあ、納得したならいいんだが、解決したのか?」
俺は人間に問う。
「え?ああ、はい!ありがとうございます!おかげで先が見えました!」
人間は喜ぶような声でそういう。
そして、こう続けた。
「でも、元の世界で使えるかは分からないです。こんなに大量の魔力を使ったら、世界への負荷がかかりすぎてしまうので」
暗い顔で言った。
それは、困ったな。
俺が考えたのは無だったって事か、、、ん?待てよ!
「お前、ちょっと手を出せ」