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20.遊殺の悪魔(兵士視点)

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俺たち兵士はすぐに近くの者たちの調査を開始した。

だが、人1人の全身を黒焦げにできるほどの威力を出せる炎系の魔法使いも、頭に大きな穴をあけられるような風の魔法使いも見つからなかった。

俺たちは途方に暮れるし、お偉いさん方もあわてている用だ。

町としても国としても、そこまでの腕前がある魔法使いを犯罪者として野放しにしておくことはできないからな。

捕まえたら無理矢理奴隷にして、魔法の情報とかを聞き出すことになるだろう。


「あっ!騎士様!遊殺の悪魔の正体は分かったんですか!?」

市民が俺たちに駆け寄ってくる。

聞きなれない単語が出てきたな。


「遊殺の悪魔とは何だ?そんなもの聞き覚えがないんだが」

俺はそう聞き返す。

遊殺の悪魔なぁ。

なんとなく推測はできるが、


「あぁ。ごめんあさい。遊殺の悪魔は借金取りを殺した奴の事です。悪魔みたいにきれいに頭を貫いてたって話だったから、必要もないのに全身を焼くってことで遊んでから殺すのかなって言う結論になって、遊殺の悪魔って町のみんなは呼んでるんです」

市民はそう説明した。


たしかに、遊んでから殺すように思えるよな。

もしくはかなりのうらみがあったからとも考えられるが、それだったら誘拐でもして拷問するだろう。

あれだけの風魔法が使えるなら誘拐も不可能ではないはずだ。

そんなことをされたら、証拠の1つもなくお蔵入りの事件になりそうだが。


「まあ、俺たち兵士から犯人に関してのことを伝えるわけにはいかない。いえるのは、きちんと夜道には気を付け、外を1人で出歩かないようにという事だけだな」

俺はそう言って市民たちと別れた。

気をつけろと言っているんだから、捕まえられていないのは市民たちにも分かっただろう。

俺は市民に聞かれないくらいの距離まで離れたところで、兵士の仲間たちと話をする。


「どうする。市民たちにもうわさが広まってしまってるから、捕まえられなかったら市民たちの不安は相当なものになるぞ」

仲間が危機感をあらわにしながら言った。

俺も同意見だな。

他の奴らもうなずいている。


「でも、全くと言っていいほど足取りはつかめませんし、それに見つけたとしても、そんな凄腕の魔術師をどうやって捕まえればいいのやら、、」

後輩がそう呟いた。

それを聞いたほかのメンツも難しい顔をしている。

俺たち一般の兵士はもとより、王族を守る近衛兵ですらあの人の顔をきれいに貫く風魔法を防ぐことは難しいだろうからな。

全員が自分の命を捨てる覚悟で行っても、捕まえるのは無理だろう。


「ギルドに見回りの依頼を出した方がいいかもな。俺たちの町の巡回では穴が多すぎる。回数を増やすにしても順路を変えるにしても、時間と人手が足りなさすぎる」

俺はギルドに依頼を出すことを提案した。

反応としては半分が賛成。

残りは反対とまではいかないが、できればやりたくないという顔だ。

最近ではギルドと国の兵士や騎士の間で仕事の取り合いがよく起こるからな。

気持ちはよく分かる。


「その辺も含めて、領主様に報告だな」

同僚が前の建物を見ながらそう言った。

きづくと、すでに領主様の館の前まで帰ってきていたのだ。

領主様との会談は長いこと続き、なかなかまとまらなかった。

特に長くなったのがギルドへの依頼、ではなく、

驚くことに、市民たちが犯人につけた二つ名「遊殺の悪魔」だった。

悪魔とついているせいで、人への警戒心が薄れてしまうのではないかと領主様は恐れているそうだ。

たしかに、状況を聞いている市民がそうなるかはわからないが、旅人たちは勘違いして油断してしまうかもしれない。

対応することが多すぎて、俺たちでは扱いきれないということで、ギルドへの依頼が予定より増えたことは余談だな。

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