148.放火魔
「うぃ~。今日もどうにか獲物はゲットできたぜ」
チャラそうな声。
後ろからこっそり覗いて見ると、髪は赤く、モヒカン。
世紀末感が凄い髪の男は、片手に弓、もう1方にウサギらしきモノを握っている。
獲物は、あのウサギのことだろうか?
「いやぁ。どうやってこれを売りに行こうかな。絶対これを全部売れば一生遊んで暮らせると思うんだが」
男が沢山ある貴重品を見ながら呟く。
売るという言葉が出ることからして、この男はこの村の人間ではない可能性が高いな。
思い出とかあるだろうし、全部売るという選択肢は選ばないだろう。
燃えた村を狙った盗人の可能性が高いか。
「まあ、これだけの収穫があったんだ。村に火をつけた価値はあったよな」
男がそう言って大きく頷く。
火をつけた価値があった?
もしかして、コイツが村に火をつけたのか?
……こいつ、殺そう。
「うぅぅん。金が入ったらどうしようかな?酒を大量に……アグッ!」
男が倒れる。
魔力吸収の魔眼で魔力を奪ったからな。
力が入らないんだろう。
俺は腐った魂を食べて、浄化する。
世の中にはこういうゴミが居るから困るな。
こういうヤツがいなくなれば、復讐なんてモノはもっと減るはずなんだが。
まあ、これから先にはコイツのせいで何か被害が出ることはない。
村の人たちがどうなったのかは分からないが、幸せを願っておこう。
「ん。この指輪、高そうだな。貰っていくか」
俺は、男が指にはめていた指輪が豪華なモノだったので、それを貰っていくことにした。
村長にでも渡して、換金して貰えば良いだろう。
悪魔の世界に持って帰る金属としては、小さすぎる気がするしな。
「さて、明日までどこで待とうかな?」
俺はソンチョウたちの居る町を探しに行くことにする。
そこで、明日まで待つのに、町の中で活動してみることにした。
住人の話を盗み聞きしたり、その他諸々の活動を行う。
「姫様が帰ってきたって本当なの?」
「ああ。本当なのかしらねぇ?」
「私の知り合いは姫様を見たって言ってたわよ」
姫?
もしかして、俺が助けたヤツの話か?




