143.渡って
「「「ふわぁぁ!!」」」
子供たちが重魔によって作られた壁にべったりと顔をつけている。
重力を操作しているだけだから、壁があるわけじゃないんだよな。
だから、無いとは思うんだけど、あの重力を突破されたら結構悲惨な事になるぞ。
海へドボン!だけではすまされない。
海の方への重力と、こちらから出られないようにするための重力の2つを使ってるから、もしその間に入ろうモノなら、間でブチッとちぎれてしまうだろう。
……ん?
これ、戦闘で使えるんじゃないか?
首のところで使えば、首スパッ!と。
今度試してみよう。
「悪魔!全員来たよ!」
全員、端まで来た。
俺は1度端の重魔を解除する。
そして、レーザーを放った。
また重魔を使って道を確保。
海の渡り方はこれの繰り返しだ。
簡単な作業だな。
「わぁ!あれなぁに!?」
「あれは、何の魚かしら?」
「知らない魚ですね。あっ!あっちにもいますよ」
「本当だぁ!!」
子供たちは海を泳いでいる魚に視線が釘付け。
そんな子供たちとしゃべりながら、老人たちが子供を誘導していく。
老人たちは子供の扱いが上手いな。
もし子供に言うことを聞かせたい場合は、老人たちを経由して指示するか。
「ん。見えてきた」
青い海に透けて、茶色いモノが見える。
どうやら大陸を渡り切れたようだな。
思ったより距離が近くて助かった。
これなら、予定より早く聖域に着きそうだ。
「よし、海は渡れた!目的地はもうすぐだぞぉぉ!!」
「「「わぁぁ!!!」」」
歓声が上がる。
興奮していてこいつらは気づいていないが、かなり顔に疲労の色が見えるな。
今日は海も渡れたし、この辺で野宿するか。
食料とかは向こうに居る間に拝借してきたから、しばらくはそれで足りるはずだ。




