135.お前か!
悪役令嬢になるはずだった闇の女王 ~悪役令嬢に転生したから、闇の組織を作っとく~
もお願いします。
「そう。私のお父さん!」
元気よく答える少女。
「そのお父さんは、いま、どこに居るんだ?」
俺は少女の父親の居場所を尋ねる。
あっ。
そろそろ見回りのヤツが来るな。
1度俺は隠れないと。
「お父さんはねぇ……あっ!来た!お父さん!」
少女は部屋から顔を通路に出して、手を振る。
ヤバい!
見回りのヤツが来てしまった!
これは、俺の質問の仕方が悪かったか?
「ほら!さっき言った悪魔が……あれ?悪魔?どこに行ったの?」
少女が不思議そうな声を出す。
「おい。俺をからかうんじゃない。どうせ悪魔なんて居ないんだろ」
それに応えるのは、見回りの男。
え?
待て。
もしかして、お父さんて、コイツのこと?
「嘘じゃないもん!さっきまでいたもん!」
おっと。
このままだと少女が嘘つきと言うことになってしまうな。
「そうだぞ。さっきまでいたし、今も居る」
俺はそう言いながら、見回りの男の肩に手を置く」
「う、うわぁぁ!!???」
情けない声を出して、見回りの男は飛び上がった。
思っていたよりイケメンだな。
驚いて、情けない顔をさらしているはずなのに、なぜか格好いいのはイケメンだからだな。
うらやましい。
「初めまして人間。私は悪魔だ」
俺はできるだけ壁に近いところに浮きながら言う。
いつ攻撃されても壁に逃げられるようにするためだな。
いくら相手の魂が小さいからって、警戒しない理由にはならない。
魂は小さくても、俺を倒せる技術を持っている可能性は十二分にあるのだ。
「あ、悪魔?ほ、本当に居たのか」
そう言う見回りの男の顔はまだ呆然とした表情。
「おい。正気に戻れ」
俺は爪の先で軽く小突いて男を現実に引き戻す。