122.地底人と接触
「ふんっ!せいぜい苦しむと良い」
そんな言葉とともに、1つの魂が遠くへ移動した。
どうやら男がいなくなったようだな。
俺は、共感できそうな少女たちに接触してみよう。
そう思って、俺は少しずつ進んでいった。
そして、進んでいくと少しずつ光が強くなっていく気がした。
地下だが、光が一応あるようだな。
ニョキッ!
俺は顔をのぞかせた。
軽く見回してみたところ、周りは石壁で、俺が顔を出したのは、3角形の壁の1つのようだ。
「ひっ!?化け物!?」
俺の耳元少女が悲鳴を上げる。
運が悪いことに、少女の真横に出てしまったようだ。
いきなり壁から仮面が出てきたら驚くよな。
失敗した。
「驚かせてすまないな。お詫びに君たちを手伝ってあげよう」
俺は優しく声をかけた。
お詫びって、便利な言葉だよな。
レーナとの交渉でもお詫びは使ったし、こんな時でも使えるし。
だからこそ、すぐにそういう言葉を使う相手には気をつけなきゃいけないんだろうが。
「あ、あなたは誰?」
別の声がした。
俺が首を動かして顔を向けると、その少女はびくっと体を震わせた。
怯えているな。
急に仮面が壁から出てきてしゃべりだして、怖いわけがないよな。
「俺は、悪魔だ」
そう言うと、少女2人は小さく悲鳴を上げた。
小さいとは言ったものの、この部屋には2人しかいないようだからよかったが、もし近くに人がいたら不信に思うくらいの声量だったな。
気を付けてほしい。
いや、そこまでこの子供たちに求めるのは酷か。
「怯えることはない。別に君たちの魂を求めたりするわけじゃないから」
安心させるように言う。
その言葉で2人の表情か少し緩んだような気がした。
これが本当の“悪魔の囁き”だな。
「あ、あの。手伝ってくれるって、何をしてくれるの?」
少女たちが少しだけ俺の事を信用している気がするぞ。
警戒心、薄すぎないか?