12.消耗戦
「殺さない」
「俺たちは仲間だからな」
敵がそんなことをいう。
仲間ねぇ。
(・・・。へ?)
(な、仲間ぁ!?)
俺は驚きを隠しきれない。
俺が知る限りこいつらは、見たヤツ全員を敵だと認識すると思っていたんだが。
どうやらそうじゃないみたいだ。
この赤と青の悪魔が特殊だと思っていたが、この闇から出てきたヤツも特殊なのだろうか?
それとも、案外普通のことなのか?
「貴様は、、、リベル、というのか」
「リベル、確かに貴様は強い。私1人では勝てないだろう。だが、こちらは3人!下級悪魔が上級悪魔3人を相手に勝てると思うなぁぁ!!!!」
闇から出てきた悪魔が怒鳴る。
俺は身構える。訳でもなく、どちらかと言えば、敵が言っている発言の方に興味があった。
(リベル。聞き覚えはないが、俺の名前だと思うな。なぜだろう?内側から肯定する感情があふれている気がする)
(それに、下級悪魔やら、上級悪魔やら言っているが、やはり俺たちは悪魔なのか。俺は、人間をやめちまったんだな)
俺は自分の名前と、自分の種族を理解した。
それで俺は完全に吹っ切れた。
俺は、人間としての自分にすがっていた。
敵だからと言って殺すのは良くないんじゃないか?
俺はそう思うところもあった。
だが、俺はもう人間じゃない。人間の法律なんて適用されない悪魔なのだ。
なら悪魔らしく、
「殺してやるよぉ!!」
俺はそう怒鳴る。
そして、目の前の闇から出てきた悪魔を腕3本使って殴り飛ばす。
敵をかなり遠くまで殴り飛ばすことに成功した。
だが、反撃も食らってしまった。
ヤツの尻尾が頭に直撃したのだ。
脳に影響が出たのか、視界がゆがむ。
その時、狙っていたのか黒い光線のようなモノが飛んできた。
だが、これはさっきも見たので避けられる。
俺は反撃としてトゲを飛ばした。
だが、こちらもあっさりと避けられる
「ちっ!」
俺は舌打ちする。
そして、気づいた。
これは情報戦なんだと。
知っている攻撃なら避けれるし、避けられてしまう。
いかに相手の知らない攻撃を出すか。
それが、この戦いに勝利するポイントだと。
「はぁぁ!!」
それに気づいた俺は、作戦を立てる。
いかに相手が知らない攻撃を、知っている技に混ぜながら出すか。