118.リベンの慈悲
バサッ!
俺は羽を広げる。
そして、まだ眠っている少女を見ながら飛び立った。
そう。
眠っているだけだ。
殺してはいない。
俺は結局、少女を殺さなかった。
いや。正直に言おう。
殺せなかった。
どうしても、心が許してくれなかったんだ。
とりあえずは、少女の魔力と、盗賊の魂だけ貰った。
流石に少女をどうもしないと言うことはできないからな。
敵なわけだし。
一応縄で縛って木につるしては居るが、すぐに抜け出すことができるだろう。
人目がなければ異世界の技術を使っても問題ないはずだからな。
レオが来るとの報告があったが、少女が起きるまでに接触することはないはずだ。
、、、たぶん。
さて、そんなことを考えている間に、かなり進んだようだ。
俺の下には次の経由地点である村が見えている。
「、、、ぁぁ、、」
「、、ぉぉぉ、、」
少し声が聞こえるな。
活気のある村な、、、アレ?
違うな。
活気があるんじゃない。
ゴオォォォォ。
しばらくすると、村全体が赤くなった。
きれいだなぁ~。
、、、はっきり言おう。
村が燃えている。
さっき叫んでいたのは、火事が起きたからだな。
今回に関しては、俺は手助けできないな。
誰かが故意にやったというわけでもなさそうだし。
復讐関係ではなさそうだ。
「さて、でも、経路の変更が必要だな」
俺は周りを見回しながらつぶやく。
実はこの村に、難民を連れてくるときに通る予定だったのだ。
食料などをここで貰っていくつもりだったんだが、ルート変更しないとな。
俺はそんなことを考えつつ、辺りの村を見ながら飛ぶ。