117.思わぬ結果
「さて、気は進まないが、見捨てるか」
俺は気持ちが晴れたおかげで、自分の信念を曲げるという行動ができるようになった。
すまないと思いつつ、俺は翼に力を込める。
そして、羽ばたこうとしたところで、
「あれ?寝てる?」
俺は眼下の存在が寝ていることに気づいた。
盗賊はもちろん、少女も寝ている。
俺の声があまりにもうるさくて気絶したのかと思ったが、少女まで寝ているところを見ると違うようだ。
なぜ少女が寝ていたら違うかって?
それはもちろん少女が侵略者だからだ。
侵略者ほどの強さがあれば、俺の声で気絶するなんて事はないはず。
そんなに強いなら盗賊くらいどうにかできるだろ、と思うかもしれない。
しかし、侵略者たちの目的は自分の安全を守ることではないのだ。
奴らの目的は、世界を征服すること。
俺は、レオが言っていたことを思い出す。
「あいつらは、王族とかに転生することが多いんだよ。そして、他の国を侵略したりすることが多い。侵略者たちとしては、世界を1つの組織にまとめたいの。そっちの方が、衰退させるのは楽だからね。まとめた世界の王になって、少しずつ人類を衰退させていく。そして、最後に残った少数の人間を侵略者たちで殺して終わり。って感じかな」
侵略者は権力者関係に多い。
だから、少女のようにどこかのお姫様なんかにも侵略者が多いのだ。
まあ、全員ではないけどな。
多くても2割くらいだそうだ。
さて、少し話はそれたが、彼らが力を見せればどうなるだろうか?
それはもちろん、前線に送られることに、
はならない。
研究対象となってしまうのだ。
その強さの力を解析されてしまう。
そうすると、その世界に強い力が渡ってしまう。
強い力が渡ってしまえば、世界の最後に残った少数を殺すことが難しくなってしまうのだ。
もちろんそんなことを侵略者たちは望まない。
だからこそ、侵略者たちが表立って戦うことは少ないのだ。
大抵は、という言葉は付くが。
「さて、眠ってるみたいだし、細工をしても良いかな?」
俺は静かに少女の元まで降りる。
理由は分からないが、眠っているなら都合が良いよな。
俺はそう思いながら、魔眼を使う。
魔力吸収だ!
「うひょぉ。流石に凄い魔力量だな」
俺は少女の魔力に感心しながら、魂にかじりつく。