104.重魔
「どう、なって」
跳んでいた俺は地面に落ち、立ち上がることさえできなかった。
それを見たレオが、振り抜いた剣をゆっくりと持ち上げる。
そうすると、俺の体が突然動くようになった。
訳が分からず、俺は全身を動かし、おかしいところがないか確かめる。
「これが天の極意『重魔』」
レオが慌てている俺を面白そうに見ながら、技の名を言った。
重魔。
名前から考えると、重力の魔法か?
だが、それだったら重力魔法でも良い気がするが。
「重魔の効果は1つ。魔力に重力を掛けることができるって事だね」
「魔力に、重力を掛ける?」
俺は気になったレオの言葉を復唱した。
どういうことだ?
魔力には重力が掛かっていないのか?
詳しいことを聞こう。
「今の言葉で分かったかも知れないけど、元々魔力には重力が掛かっていない。だからこそ、リベンたちみたいな精神体の生物は浮くことができるんだよ」
飛んでいる俺を見ながらレオは行った。
魔力には圧力がないのだろうか?
ん?待てよ。
レオの発言に引っかかるところがあるな。
「俺が浮かんでいるのは翼で飛んでいるからではないのか?」
レオは、精神体だから浮かぶことができると言った。
なら、翼は必要ないのではないのでは?
「違うよ。悪魔の翼は、浮かんでるところでバランスをとったり、空中で加速するためのモノだよ。リベンは翼だけど、下級悪魔とか、虫みたいな羽じゃん。普通はあんなのじゃ飛べないよ」
レオは笑いながら言った。
知らなかったな。
翼がなくても浮かぶことはできるのか。
「さて、それじゃあ、技の解説とかしていくよ」
そう言ってレオは技の使い方や理論を教えてくれた。
解説は1時間程度で終わった。
だが、俺の脳はパンク寸前である。
新しい知識を大量に入れ込んだからな。
脳の処理が追いついてない。
「大丈夫?最後にもう1回使ってみて終わりたいんだけど」
レオは確認しながらそういった。
俺は頷いて、手を下ろす。