1.訪れる死
「山中さん!」
上司の声が聞こえる。
部下のことをさん付けで呼ぶ変わった上司だ。
「はぁい?」
俺は上司の前に移動する。
すると、ブsyッ!と上司は血を吹き出して倒れた。
俺の思考が一瞬止まる。
その間に、
「ぎゃああぁぁぁ!!!」
「うわああぁぁぁ!!」
「やめろ!やめ、ええぇぇぇぇ!!!???」
次々と同僚たちが血を流して倒れていった。
でも、誰かがいるというわけではない。
俺は急いで周りを見渡す。
しかし、何も異変などなかった。
銃を持った凶悪犯がいるわけでもない。
強力な銃をつけたドローンが飛んでるわけでもない。
プルルルルッ!
『こちらけ「すいません!人が、人が大量に死んでるんです!」
俺は急いで警察と消防に電話をする。
約10分ほどで両方とも到着した。
だげど、全員死んでおり、助けることはできなかった。
・・・。
そして、次の日。
「お前がやったんだろ!」
目の前の警察官が怖い顔で俺を怒鳴る。
「やってないです!」
「なんで、俺がそんなことをしなければいけないんですか!」
俺は取り調べを受けていた。
全力で否定し続けたが、裁判まで行ってしまう。
マスコミも、俺を犯人だとして叩き続けた。
だが、
「大丈夫です」
「あなたじゃないと私たちも信じます」
僕を安心させるような声色で目の前の女性は言う。
死んでしまった同僚たちの遺族たちだった。
彼女らは、俺のことを信じてくれる。
俺の数少ない心の支えだった。
が、
「、、、ごめんあさい」
俺に遺族の代表が頭を下げてきた。
どうやら、俺をかばいきれないらしい。
マスコミでも、『犯人をかばう遺族。遺族がらみの犯行か!?』なんて騒がれてしまったため、仕方の無いことだった。
裁判でも俺は否定したが、ついに俺の有罪が決まった。
「山中 桃太郎君。殺人の罪で死刑とする」
「嘘だ!嘘だぁぁぁ!!!」
俺はその日、全てに絶望し、全てを恨んだ。
この社会は間違っていると思い、壊したいとも思った。
だが、そんな恨みもかなうことはなく、さらなる絶望が俺を襲った。
ガタンッ!
俺の首の周りにある縄が強く締まる。
俺は、死んだ。
(こんな社会、壊してやる!)
そう誓いながら。