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第二部 2

楽しんで頂けると嬉しいです。

 ウォール国。

 領土はほとんどが山で、一部海に面している。軍事力が高く他の国々も一目を置く。

 私たちがついたウォール国の港町は要塞のような街並みだった。

 自国の色とりどりの屋根の街並みではなく、全て鉄で囲まれているのではないかと思わせる堅固な街並みだった。ノアから聞いてはいたけど実際に見ると想像よりも驚異的だった。


「凄い街並み」

「初めて見ると驚くよね」


 私はノアの言葉に頷き返す。

 街並みに魅入られていると不意に後ろから声をかけられる。


「ノア殿下お久しぶりです。元気でしたか?」


 眼鏡をかけた髪の毛と瞳の色が茶色で目が少しきつめの男性か和かに笑っている。


「マザラ。久しぶり。今回も世話になるよ。こっちが婚約者のナディアだ」

「ナディア様、お初にお目にかかります。私、ウォール国の統括を任されておりますグダール公爵の長男マザラと申します。こちらに滞在する間お世話を任されております。何かありましたらすぐにお知らせ下さい」


 丁寧に挨拶され、とても優しい印象だった。


「はい。よろしくお願いします」


 マザラさんが用意していた馬車に乗りウォール国の王都へと向かう。


 馬車の中で、ノアが留学していた時の話を聞いた。


「ナディア様。知っておられますか?ノア殿下は我が国で行われた武術大会で優勝したのですよ。素晴らしいお方です」


 私は留学中の事を少しは聞いていたけどそんな事聞いた事なかった。


「初めて聞きます。ノアは剣術も凄いんですね」

「あれは、まぐれで。しかも、マザラだってトーマだって出場しなかった。団長だって調子悪かったし」


 照れて恥ずかしいのか少し慌てている。ノアはいつも余裕があるから、少し慌ててるのは新鮮な感じがする。


「それでも、優勝はすごい事ですよ。あれからすぐノア殿下が帰国したので、国王が我が国に引き入れるって言ってなだめるのに大変だったんですから」

「帰国するから、思い出のつもりで出場したんだ。まさか、優勝するなんて思ってもないよ」


 2人は笑って話を続けている。2人は共に森に入り大きな熊と対峙した話や、一緒に戦略について講義を受けた話、ウォール国のお祭りに参加した話、舞踏会で失敗した話など、留学中の3年間の思い出を語り合って私は相槌をするだけ。私といる時とは違った砕けた笑顔になるノアを初めて見る。この国での生活はノアにとってとても大切な物だったんだろう。


(マザラさんが羨ましいな)


 見たことのないノアの表情をさせるマザラさんに少し嫉妬してる。


「ノアは良い友人を得たのですね」

「あぁ。マザラは信頼出来る友だよ」


 ノアは満面の笑顔で言った。

 本当に羨ましい。叶わないけれど、私も一緒に思い出を語りたかった。




 馬車は2時間ぐらい走り王都に着いた。

 港町より堅固な城下町や城を見て、王都に着いたんだなと実感した。

 馬車から降りると兵士や貴族の方々が出迎えに来ていた。

 そして、一段と煌びやかな方がノアに話しかける。


「よく来た。ノアよ。旅で疲れたであろう」

「国王陛下。この度は招待して頂き誠にありがとうございます」

「硬い挨拶はよせ。ノアは息子みたいなものだ。遠慮なく過ごしてくれ。婚約者のナディア殿もノア同様歓迎しよう」

「国王陛下。ありがとうございます」

「晩餐会の準備が出来るまで部屋でゆっくり過ごすといい」


 そう言い残すと貴族の方々を連れて去っていった。国王陛下は皇帝陛下とはまた違った圧を持っていて震えが止まらない。私を見る目が少し怖かった気がする。

 ノアは震えている私の手をそっと繋いでくれた。


「さ、こちらへ」


 マザラさんの後に続き城内を歩く。他の騎士たちやエマの部屋は少し離れた場所になってみんなはそちらに行ってしまい、ノアと2人並んで歩く。

 部屋はノアと隣同士で少しドキドキしてしまった。

 ノアに思っていた事を気づかれないように、早く部屋に入ろうとするとマザラさんが話しかけてきた。


「ナディア様」

「はい。なんでしょう」

「私、貴女に会える事を楽しみにしていました。想像よりも素敵な方でよかった」

「おい、マザラ」


 ノアはニヤニヤしているマザラさんに何かを感じて口を塞ごうと必死になっていたが、出来なかったようでマザラさんの声が聞こえる。


「ナディア様は、ノア殿下の初恋で一目惚れの想い人ですよね。留学中に散々聞かされていました」


(初恋で一目惚れの想い人)


 いたずらに笑ってるマザラさんは去っていった。心臓が大きな音で動いて、全身が沸騰する感覚になる。ノアの顔を見れなくて部屋の扉を開けようとすると隣から強い力で引っ張られ隣の部屋に連れ込まれた。


「……」


 掴まれた手しか見れなくて、小さくごめんねって聞こえて抱きしめられる。


「……赤くなってるナディアが可愛かったのが悪い。もう我慢の限界」


 ノアの一定の鼓動を刻む心臓の音が聞こえる。


「ずっと、触れたかった」


 手が頬を撫でる。くすぐったくて身をよじるとより強く抱きしめられる。

 顔を覗き込まれて、ノアの熱を帯びた視線に逃げ出したくなる。

 扉を叩く音がして慌ててノアから距離を取ろうとしてもノアが離してくれない。


「申し訳ありません。ナディアお嬢様はお邪魔していませんか」


 エマが私が部屋にいないから探しに来たのだ。私が喋ろうとすると、口に手を当てられ喋れない。ノアが代わりにエマに言う。


「うん。いるよ。ちょっと待ってて」


 ノアは私に口づけをして


「愛してるよ」


 ノアの幸せそうな笑顔。


(嬉しいけど心臓に悪い)


 平然としたノアが扉に向かい開ける。

 エマに今の私の顔を見られたくないから下を向いて自分の部屋に入る事になった。


「ナディアお嬢様、大丈夫ですか」

「……大丈夫よ」

「ウォール国の皆様はとても友好的ですね。ノア殿下のおかげなんですかね。さぁ、ナディアお嬢様、晩餐会の為に支度をしましょう」


 それ以上聞かないエマに感謝して晩餐会の準備をする。




 グレーダイヤモンドのイヤリングとネックレスのお守りを付けノアの腕を組み晩餐会に出席する。

 周りはキラキラした令嬢やご子息ばかりで若い貴族の方が多く居る感じだ。

 国王陛下に緊張しながら挨拶をした。ノアが隣にいなかったらどうなっていただろう。

 その後、いろんな人にノアが声をかけられ挨拶をする。

 ひと段落ついたと思ったら後ろから声をかけられる。


「ノア殿下」

「ノア」


 マザラさんと黒い髪に赤い目をした男性がいた。

 ノアは嬉しい表情で2人に寄っていく。


「マザラ、トーマ」

「……エルム」


 トーマと呼ばれた人を見て、小さく口にしてしまった。誰にも聞こえなかったようで安心する。


「ナディア。この国の第二王子のトーマ。マザラとトーマは幼馴染みで留学中に3人で一緒にいたんだ」


 トーマ殿下を見る。エルムとは雰囲気が違う気がする。トーマ殿下は刺刺した印象だが、エルムは柔らかい印象だった。


「……トーマ殿下。ナディアと申します」

「ナディア。グレーの瞳か……。綺麗だな」


 不意に瞳を覗かれ、ノアが私を引っ張る。


「トーマ。何してる」

「あぁ、悪い。ノアの婚約者だっな」

「ナディア大丈夫?」

「だ、大丈夫てす。少しビックリしました」


 トーマ殿下に覗かれてわかった。トーマ殿下はエルムではない。似ているけどあの強い瞳じゃなかった。


 3人は昔話に花を咲かせて私はいろんな話を聞かせてもらった。いつの間にか晩餐会は終わっていた。




 晩餐会の帰り道、ノアと2人で歩く。

 エマは一旦自分の部屋に戻ってから、私の部屋に来る事になっている。

 私の部屋の前で止まると、部屋での事を思い出して少し固まってしまった。そんな私に気づいてノアは優しく笑ってる。


「今日は疲れたでしょ。ゆっくり休むんだよ」


 ノアは額に口付けして私の部屋を開けてくれてる。


「おやすみ、ナディア」


 私が部屋に入ると名残惜しそうに私の髪を触り戸を閉めた。


 ノアに最後に触られた髪を触りノアを想う。

読んで頂きありがとうございます。


誤字脱字報告ありがとうございました!

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