これから
やあ、2話だよ。
仕事が忙しいから再開にはかなりかかるかな?
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あれから少し時は過ぎ、今俺は、いや俺たちは家にいる。
お持ち帰りしたといえばそうなるかもしれないが内心そんなことを考えているような余裕はないのだ。
なんたって今まで女の子を、しかもこんな美少女を家にあげたことなんて生まれてこのかた全くないのである。
落ち着け俺、まずは状況を確かめなければ。
俺は会場でカメラマンに囲まれて困っている美少女を発見し、助けた。だが、その娘がこの世界の者ではないと確信する。そして、このまま放っておくとまた良くない輩に絡まれるだろう。
ということで楽しみにしていたコミケを投げ出し、まずは細かい話をしようということで俺は美少女を連れて帰宅した。
なんというとんでも展開。まさにミステリー!
しかし、事情を聞かなければ問題を解決することなど出来はしない。
そう決心し、俺は二人きりの気まずさを紛らわすために避難したトイレから勇敢に出てゆくのであった。
「あの、えっと、まず君の名は?」
おっと、緊張しすぎて謎のパクリをしてしまった。
「は、はい。私はフィーリアと申します。ここに来るまで王国でメイドをしておりました。」
俺のおかしなしゃべり方を気にすることなく彼女は礼儀正しい自己紹介をしてくれた。メイドをしていたのは本当の事らしい。王国、というのは俺にはわからないが。
「じゃあ、どうやってこっちに来たの?」
「どうやって。というのは分かりませんが、庭木の剪定をしている時に木の中に手鏡が挟まっていて、それに触れた途端目の前が真っ白になり、こちらに来てしまったのです。そして、知らない土地を彷徨う私に服を着たオークたちが迫ってきて、そこを助けてくださったのがあなたです。感謝します。助けてくださらなかったら、私はどうなっていたことか。」
「あぁ、うん、なるほど、どういたしまして。ははは。」
ふむふむ、全くわからない。
それにしても、オークかー。酷い言われようだ。
他にも気になることはあるが、俺は女の子のあれこれを詮索することはあまり好きではないため、名前と転移した経緯を聞くだけに止めた。
おっと、忘れかけていたが、大事なことを聞き忘れた。
「君はこれからどうしたいの?」
俺がそう聞くと彼女はさほど驚きもせずに、しかし、ちょっとだけ困ったようにうつむき、こう言った。
「私は今でもここにいるのが夢のようで、出来れば自分の居るべき場所に戻りたいと願っています。ですが、そのようなことを言っても戻る手がかりは今のところ無いのは確かです。
それで、あの、よろしければ私をあなたのメイドにしてはもらえないでしょうか...。」
美少女がメイドにしてほしそうにこっちを見ている。そして、俺氏放心状態なう。
「...。」
「あ!いえ、図々しいのは承知していますが、助けてもらって、何もしないで去るというのは私のメイドとしての誇りが許さないと思ってですね!
決して、帰れそうにないからしばらくゆっくりしようなんて思ったわけでは!...あ」
意外とマイペースな娘なんだなと思った。
実のところ、おれは金銭的には余裕があり、彼女がこっちの世界についてある程度わかるようになるまで家に置いておくつもりだったのだが、メイドになりたいなんて言われるとは。
「わかった。君を俺のメイドにしよう。よろしく。フィリーア。」
彼女は不安そうに俺の返事を待っていたが、俺が歓迎の意を示すと、顔を輝かせて言った。
「ありがとうございます!これからがんばりますね!」
この7月のよく晴れた日、俺はメイドを拾った。
おやすみなさい。