表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
演目『帝都怪奇物語』  作者: 浪花 夕方
第3話「正義のみかた」
62/62

「破邪の太刀」律子捜査

「もう一度、現場に行ってみましょう」


好実たちが相互助成協会に出かけた後、荒れた部屋を片付けていると銀が言う。


「依頼人が見たものを見ないことには進展は無いでしょう。この時間だと帰りは電車は無さそうですね……車を使ってもいいですか?」

「それは構わない、がどうする?ここを開けておくのは流石にできない。いつ連珠が来るか、好実たちからの緊急連絡が入るかわからない。」

「伊呂波以外も手駒はいるんですよ」


インバネスの中から取り出した札は2枚。それに口を寄せて、息を吹きかけ手を離す。


「ようやく出番ですね!」

「待ちくたびれたぞ」


影から飛び出したのは子供のような姿をした妖魔だ。

一人は赤い髪の利発そうな少女、もう一人は白髪の少年。

幼子と違うのは、額から伸びる一対の角と、口から覗く鋭い牙。


「いいですか?私が帰ってくるまでこの拠点を防衛するんです。できますね?」

「わかりました!」

「了解した」

「相手は手練です。あなたたちが遅れを取ることは無いとは思いますが気をつけて。」


銀は初めて会った時のような弱々しさが失せていた。

半ば引き摺られる様にして外に出る。

今にも雨が降りそうな空模様だった。


「ずっと話を聞いて思っていたことがあります」


車の後部座席、周囲を警戒しつつ銀が話し出す。


「噂の女の幽霊さん、溺死した巫女なら、なんで流血してる状態で現れるのか。いえ、死ぬ前に流血していたのかもしれませんが、そこが違和感を感じるんです」


「違和感。そういえば、実際幽霊を見たのも1人だけなんですよね。他にも見た人間が居てもおかしくないのに。」

「まさか、依頼人が嘘をついているとでも?」

「嘘ではなく、例えばこれは__誰かが脚色を加えているのかもしれない。それが依頼人か、あるいは関わった全員かもしれない。人の記憶は都合のいいように改ざんされる。依頼人が見たものは本当でも、語る時は誰でも多少、表現に癖がある、そんな曖昧さでしょうか。」

「噂に尾ひれがついていく、その過程」

「この事件は生きてる怪異か、あるいは全て架空なのやもしれないですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ