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演目『帝都怪奇物語』  作者: 浪花 夕方
第3話「正義のみかた」
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「破邪の太刀」律子の首領

 (しろがね) 律子、と彼は名乗った。

 この業界に潜入している以上ある程度情報は握っていたが、まさか彼がそうだとは全く思えなかった。

 妖魔を使役し人間と妖魔の中立関係を保つ、歴史のある祓い屋《律子銀(りつこぎん)》。主な活動地域は日本北部。その六代目当主は人間の男。従えている妖魔は数多く、下部組織は全国に広がっている。

 彼はどちらかと言えば当主ではなく側近、下っ端のような誰かに使われる立場を醸している。幸薄そうな顔つきや自虐的な言動が更にそれを助長させていた。


「この度業務提携を結ぶことになったので正式にこちらに派遣されてきました。」

「業務提携?」

前、降神が社長と電話をしていたことを思い出す。確かその時に知り合いを派遣して人を補填する話が出ていたような気がする。詳しく聞こうにも社長は移動していて社長から掛けてくるのを待つしか無かったために今まですっかり忘れてしまっていた。

「そんなたいそうな組織の頭が簡単に商売敵の所に来ていいんですか?」

「僕がいなくとも組織は動きます。僕の仕事は組織の代表……的なので。最終決定権がある以外下っ端と同じです。」

「それなら少しは大丈夫そうですけど、今のところここに仕事はないんですよね。」

 好実が自身の席に腰掛ける。今のところ怪異絡みの事件もそれ以外の依頼も来ていない。最近は個人で怪異絡み以外の依頼を受注することもあるのだが如何せん態々小規模の探偵に依頼するような事など少ない。社長が帰るまでに探偵社を維持できるのか、来月は生活できるのかが危ぶまれる。


しかしそんな細々とした心配も余所に銀は微笑んだ。

「それなら心配入りません。すでに部下が問題点を見つけていますからすぐに何かしら仕事ができますよ。」


そう言い切った直後、社長席に置かれた電話がけたたましい音をたてた。

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