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演目『帝都怪奇物語』  作者: 浪花 夕方
第2話「探偵社式悪魔祓い」
36/62

「悪魔の棲む屋敷」19

ほぼ会話文、蛇足的な話というかオチ。

目が覚めたら、知らない人がそこにいた。

何処かで見たことがあるような顔だけど、どこで見たのか覚えていない。間違いなく初対面なんだけれど。お父様が好きそうな、大人っぽい体つきをした女性だ。つるの細い眼鏡をかけていて、どこか影のある、大人しそうな人だと思った。


「おはようございます、貞香様」

「お咲は?あなたは誰」

「お咲さんは先日、故郷くにの母親が危ないらしく、様子を見に戻っていますよ。暫くは帰ってこないかと。」

「……そうだった、寝惚けてたみたい。」

「私は本日付でお咲さんの代わりに雇われた者です。クロエとお呼びください。」

「クロエ?名字?それとも名前?」

「黒いこうと書いて黒江です。したの名前はそのうちに。」

「江って、川の事だよね。黒い川ってなんだか最近見たような……」

「そうですか。」



開木探偵社に今日も今日とてお客が一人。

三門作太郎は事の顛末を聞いていた。


「結局悲願倶楽部は謎のまま、ですか。」

「ええ、場所を突き止めたはいいんですが、もぬけの殻で。」

「証拠品や違法薬物などは警察が押収していますから、活動事態は停止するでしょう。」

「そうですよね……ありがとうございました。」


この事件の犯人と思われる石川ナルミは行方不明。結果として腑に落ちない。不完全燃焼だ。そもそも探偵社全員で石川邸に乗り込んだものの、石川の存在そのものだけが突然消えてしまったようだった。石川の手掛かりはなく、悔しい思いをしながらも、朝日が昇る前に屋敷に置いてあった悪魔に関する物品を持ち出し、念入りに破壊した後、海に棄てた。


作太郎が帰った後に、探偵社は今回の件で思い思いの不満を打ち明け会う。書類に書き物をする京極はよく見れば貧乏ゆすりをしているし、好実は来客用の椅子に座って天井を仰ぐ。降神は先ほど来客用の紅茶に塩と砂糖を間違えていれた。


「腑に落ちないです。まるで絶体絶命の危機にあったようにダルいのに手掛かりは無し!こんな端金で濃き使われて終わりです!やってられない!」

「好実は落ち着け。相手が妖魔ならそういうときもある。」

「ポケットに入れてた小型銃、銃弾が一発無くなってます。ポケットから出した覚えないのに……」

「京極さん、そういうあなたも、返り血が凄いことになってますよ。どこの血の池地獄に落ちたんですか?」

「それは、遺留品を押収したときにでも付いたんだろう。つまりは知らん。どうせぼろぼろで廃棄だ。」

「探偵社の安月給で、可哀想ですねぇ!あ、()()()()安月給もありましたっけぇ?」

「好実、その人を煽る話し方はよせ。何だか無性に腹が立つ。」

「いつもと一緒ですよ、しゃべり方なんて。急に難癖つけないで下さいよ。」

「そうだ、降神、狗吼丸(いぬほえまる)の整備を頼む。」

「また夜中に妖魔退治に行ったんですか?」

「いや、石川邸から持ってかえって確認したら、穢れていた。」

「悪魔の住む家なんてろくなものじゃありませんからね。」


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