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演目『帝都怪奇物語』  作者: 浪花 夕方
第2話「探偵社式悪魔祓い」
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「悪魔の棲む屋敷」18

京極は小人の襲撃にだんだんと体力を削られていた。いくら退魔の太刀があったところで延々と増える数の多さには敵わない。しかも太刀は本来室内戦用ではない。

ナルを追って部屋を出ようとしても、傷口から流れ出る血と気力に体が止まる。動きの止まった京極にこれ幸いと小人たちは奇声をあげて飛びかかる。餌に群がる蝿のように、巣別れ頃の蜂のように。あと数歩で出られる位置にいるのに、全くその足は動かせなかった。

「京極さん!」

その場に崩れ落ちる京極の意識を繋ぎ止めたのは一発の銃声。

裏口から部屋の天井付近の壁に着弾し、壁に仕掛けられていた機械は沈黙した。同時に床に映された映像も消え、小人も出てこなくなった。部屋に残された数百匹の小人はその乱入者である降神にも牙を剥こうとしたが、近付くや否や体が溶けて消えてしまった。降神を中心に放射線状の後光が射しているようにも見えた。

降神は構えた拳銃を下ろし、ポケットから取り出したお札を西側の壁に貼る。降神の後光の発生源だったその札は部屋にその効果を発揮することで結界として成立させた。生き残っていた僅かな小人たちもみな溶けて消えていく。降神は倒れている京極に駆け寄り傷の手当てをしようとした。

「しっかりしてください、京極さん!」

「……降神か」

「好実くんは?貞香ちゃんはどうなったんです?」

「二人は奥……玄関の方に向かった。しかしあの悪魔は取り逃がした、急がねば二人とも危ない。」

「動けますか?」

「市民を守るのが我々の仕事だ。……守る市民がいる以上、ここで何時までも倒れているわけにはいかないさ。」

一瞬のしらけた空気が結界のなかを満たす。京極も降神もお互いに流れる気まずさを誤魔化すように立ち上がる。京極は先程の攻撃が効いているらしく、立ち上がってもその動きに覇気は戻っていない。

「こんなことになるとは……」



外に出た貞香が待ち受けていたのは壁だった。

あるべきはずの出入口はなく、そこにあるのは貞香では越えられそうにない塀であった。貞香は塀に沿って移動しても同じ場所に戻ってしまう。今度は塀に手を当てて一周してみたところでどこにも切れ目がないことだけが判明したのみ。そうして無駄に二、三周ぐるぐると回って潔く、自分が閉じ込められていることに気付いたのだった。


「気付くの遅すぎじゃないですかぁ?仮にもここは悪魔の住み処ですよぉ?」


無駄な一周を重ねた先には無傷のナルが意地汚く笑いながら立っていた。目の前に現れた諸悪の根元に貞香は逆走して距離をとる。しかし所詮子供、あっさりとナルに捕らえられる。猫のように首根っこを掴まれ片腕だけでそのまま持ち上げられる。


「うーん、思ったより張り合いがありませんね、ホントにあなた現時点の主人公ですかぁ?やっぱり話にそんなに関わりの無い人物に其れは使いこなせませんって。私が相応しい人物に有効活用させるので安心して死んでもらっていいんですよぉ?それにしてもどこから手をつけさせましょう?公僕は小悪魔の攻撃でマイナスステータス、半悪魔の子供はそもそもレベルに差がありすぎる、刀の使えない元巫女は恐るるに足らず。登場人物ネームド対策はしてありましたがまさかここまで力を無くすとは。主人公合流イベントが終わったら強化イベントかチート治療待ったなしですねぇ?」


身を捩って逃げようとすればするほど貞香の首は絞まっていく。

だんだんと貞香が抵抗する意思を失っていくうち、ナルはぶつぶつと独り言を話し出す。本当は貞香にむけて喋っていたのかもしれないが、貞香には(それどころかこの世界のすべての人間ですら)そのいっている意味は、真意はわからなかった。

やがて貞香は呼吸の出来ない苦しみから生理的な涙を流し、意識を手_____

一気に二話最後まで駆け抜けます

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