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演目『帝都怪奇物語』  作者: 浪花 夕方
第2話「探偵社式悪魔祓い」
23/62

「悪魔の棲む屋敷」9

◆翌日 開木探偵社


降神は昨日警察署で先日の事件の取り調べをしていた。

取調室で最初は見学するだけだったが、事件の事を話さない様子に取り調べていた警官の方が焦る一方で、降神が交渉し警官の立会いと制限時間十分を条件に取り調べさせてもらえる事となった。

取り調べの時間より交渉の方が長くなったのは言うまでもない。


肝心の取り調べも、安齋が薬物中毒に近い状態で上手く引き出せなかったこともあった。


「安齋の所で取り調べさせて貰ったんですが、悪魔と契約はまだしていないんじゃないでしょうか。」


「なぜそう思う?」


「取り調べの後、ビルの悪魔召喚陣を再調査したんですが、悪魔召喚ではなく、低級の降霊陣でした。悪魔召喚陣と勘違いしたんでしょう。悪魔召喚の手順を踏んだから上手く起動しなかったようですので、少なくともあれで召喚して眷属を手に入れたわけではなさそうです。」


言い切った降神の顔は化粧をして誤魔化しているが、隠しきれない疲労が浮かんでいた。


「ご苦労様。次は私が取り調べに行こう。」


今まで黙って話を聞いていた好実が口を開く。


「今回の事件も絡むとややこしいですね。少し事件を整理してみましょう」



見やすいように大きめの紙に文字を書いていく。書記は好実だ。


「五月廿(にじゅう)一日以前にビルで召喚陣が書かれて使用されようとした」


「ただし、悪魔召喚ではなくただの降霊陣で全く効果は得られない、はずだな」


降霊陣は悪魔召喚陣と違い、正式な手順を踏むことで霊を呼ぶ降霊術の一種だ。

陣の組み方によっては低級なそこらの浮遊霊しか呼べない上に霊は扱いが難しいため専門の修行を積む必要がある。下手をすれば悪霊を呼び出し取り憑かれたりする。


「そして五月廿一日に発覚、依頼が来る」


依頼受理の下の行に調査が書き込まれる。


「五月廿四日が銀行強盗。廿五日に『悲願倶楽部』事件。廿六日に三門貞香襲撃事件。」


「しかも凶器はいずれも悪魔の眷属。悲願倶楽部がクロでいいんじゃないでしょうか。」


「だとしたら、あとは強盗連中が悲願倶楽部に出入りしていたという証拠だな。もし悲願倶楽部に出入りしていたのなら、場所も特定できるはず。」


「なら今日わたしは『悲願倶楽部』について調べてきますね。」


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