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演目『帝都怪奇物語』  作者: 浪花 夕方
第2話「探偵社式悪魔祓い」
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「悪魔の棲む屋敷」5

険悪な雰囲気漂う食事の後、皆あれこれ理由をつけて逃げるようにその場から立ち去った。


お母様は思い通りにならないお姉様を目の敵にしているし、お姉様もそんな口煩いヒステリックなお母様を好きではない。当然だと思う。

お姉様とお兄様たちは前妻(前のお母様)の子供だ。

しかも今のお母様は前のお母様が亡くなってすぐに嫁いで来たものだから、余計に受け入れられなかったのだろう。


世間のゴシップの中でも酷いものだと今のお母様が前のお母様を正妻の座欲しさに殺しただとか、その為にお父様と結託しただの散々な言われようだ。

娘の私でもこの事は知っているからこそ、更に辛い思いをする事がお母様にあった。

だからお母様は余計に他人の目を気にしている。


それでもいつかはきっと和解できる、といいんだけれどね。


私はお兄様から今日の事を聞く為に、お兄様の部屋にいた。


「ちょっと待って、キリのいいところまで終わらせるから」


お兄様は勉強机に向かってレポートを作成しているようだった。多分宿題だろう。

やがてお兄様は書き物の手を止めて私のほうに体を向ける。話を聞いてくれるようだ。


「貞はどうして今日彼処にいたの?危ないから寄り道せず帰る手筈だったけど」


事件で危なかった時助けて貰ったことは話したけど、それがあの人達だとは伝えていない。


「それはまぁかくかくしかじかで……事件の時助けて貰った人で、きっとお父様あたりが手を回して私から直接お礼を言うように仕組まれてたんじゃないかな」


私が人に見えないものが見えることは誰にも話せない。

だから考えた中で一番彼処にいても怪しまれない理由はこれくらいだろうか。


「お兄様も、なんで彼処に行ったの?迎えの車は?彼処は探偵事務所だよ?」


お兄様としては家族に内緒で秘密裏に彼処に行く用事があったのだろう。お母様は学校から帰ってきたと言っていた辺り誰にも言っていなかったに違いない。


「車については、大学から電話を借りてね、『今日は友達と宿題の約束があるから終わったらまた連絡する』って言ったんだよ。」


「……探偵事務所に関しては教えてくれないの?」


「貞でも教えてあげられないかな」


お兄様は苦笑いで、眉を下げて見るからに困っているとアピールする。


「貞は、口が軽いから」


「軽くない!誰にも言わないもん」


「なら僕も言わない。」


「兄様のケチー、教えてくれてもいいじゃない!」


「ケチで結構。さ、貞も宿題があるだろう?早く終わらせて寝なさい」


「むむぅ」


お兄様は再び机に向かって書き物を進めた。

もう話は聞かないという意思表示だ。

私はお兄様の年上の余裕に負けた。

見事に言い負かされた。

お兄様の秘密は気になるけれど、宿題の提出の方が大事なのは確かだ。


「いつか絶対お兄様の秘密聞き出してやるんだからー!」


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