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演目『帝都怪奇物語』  作者: 浪花 夕方
第2話「探偵社式悪魔祓い」
17/62

「悪魔の棲む屋敷」3

おまたせしました。

ちょっとストックができたので順次公開していきます。



「ただいま戻りました」


探偵社に戻った好実はじっと赤い目を光らせて京極の手元を見た。

その手には依頼の証である契約書。依頼人は三門作太郎。

机の上には厚みのある茶封筒と布が巻き付いた何かが置いてあった。


「お帰り。どうだった、三門貞香は。」


「どうもこうも……苛々します。ずっと側で見ていると気分が悪くなる。」


「そうか」


京極はそっと契約書を置く。そして布の塊をほどいて中に包まれていた物を取り出す。


「次の依頼も、また再度三門貞香と関わるかもしれないな」


そう言って好実に見せたのは、最近になって見覚えのある物。

錆び付き欠けて朽ち果てて、気配も何も感じられなくなって死んでいるその死体は紛れもなく、前回の事件で回収した短剣と同じだったであろう短剣だった。


二振(ふた)り目の悪魔の眷属が発見された。」


「前回の事件はまだ続いている__と。」


「今、降神が警察署で事情聴取に立ち会っている。まず喋ると思わんが、一応な。」


京極は錆びきった短剣を再び仕舞い、出かける支度を始める。


出来るだけ身軽になるように、ランタン一つ、シャツのポケットの中に身分証明、そして朱漆で彩られた拵えが重々しく存在感を発する一振りの太刀。


好実は取り出された太刀を見ると眉を寄せ、若干の距離を置いて無言で京極を見送った。


眠らない街帝都とはいえ、ビジネス街や住宅地を出歩く人は極端に少ない。いるのは落ちぶれたフラッパー、浮浪者やあるいは夜間の仕事人といった類だろう。


窓の外には夜の闇と闊歩する異形の者ども。

京極の日課になりつつある夜の散歩を止める理由は何もなく、好実は窓の外から人の歩かない街に繰り出す京極を目で追いかけ、鼻を鳴らした。


「フン、政府の犬が正義の味方気取りか。」


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