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前口上・第二話
それでは、再開させていただきます。
「開木探偵社」で三門貞香と作太郎兄妹が合流しましたが、一体作太郎は何故この探偵社を訪れたのでしょうか。
帝都は明治大正時代からの建物を補強したり、逆に取り壊されたり、文化保護で新しく昔の様式で作り直したり、新しい技術を輸入してみたりとごちゃごちゃした都のようですから、彼も色々と訪れる理由と言うものに遭遇するのでしょう、ええ。
例えば往来の街灯は瓦斯式だったり、かと思えば別の区画では瓦斯式に似せただけの白熱電灯だったり、道路も舗装されているところもあればそうでない区画もあるような、そんなあやふやで不安定なところですから人も怪異も共存しやすい、と考えられます。
まあ彼も彼でちゃんと容姿端麗虚弱病弱、更に成金の息子という設定がありますし、案外付きまといなんてものもいるのかもしれないですし、いやあ、考えれば考えるほど面白い。
さて、物語は三門作太郎が三門貞香と合流したところから始まります。