前口上
次回から第1話になります。
御機嫌よう、当劇場にお越しの紳士淑女《読者》の皆様!
ワタクシはこの劇場の進行役、なあに、しがない語り手でございます。
ただこの場を借りてちょっとした説明をさせていただきたく。
本日語らせていただく物語は、人ならざるものと関わっていく物語。
ワタクシたちの知る現実とまた違う世界線の物語でございます。
環平23年、大日本帝国。
ある歴史から少し違った未来を辿った世界。
しばしばこの世界では、宵闇と瓦斯灯の薄暗がりの中から「妖魔」と呼ばれる人ならざるもの__悪魔だとか、妖怪だとかが現れ、人々を弄び追い詰めておりました。
妖魔は基本、人が視認することはできません。
故にその被害者にとってはただの不幸、災害。訳もわからず怪異にあっていなくなる。
しかし、いつの世も、見えざる人もいれば見えるものも、対抗できる力を持つものもまたいるものでございます。
例えばそう、帝都のとある民間企業だとか。
帝都の比較的新しい区画、そのビル街の一角にある一つの事務所、「開木探偵社」。
これはそんな開木探偵社に持ち込まれる依頼と、1人の少女の物語でございます。