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異世界でニートは英雄になる  作者: 相原つばさ
第一章 異世界転移
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第六話 服屋と伝説の剣

「へ~色んな服が売っているんだな」


 カリンに案内された服屋『レニグル』に入ると、タイガは服の多さに感激していた。


「タイガ君は剣術が使えるみたいなので、動きやすい服にしてみてはいかがでしょう」


 タイガは結局、先程の大刀を自分の物にし、腰にぶら提げていた。


「ん?」


 タイガが店を巡回している時、ふと目に映った服があった。上は白のカッターシャツに茶色のベスト、ズボンは灰色のスラックスで胸元にボタンがあり、肩から足まで長さのある黒いマント。


 ――これ、結構カッコいいな……


「タイガ君。何か良いのありましたか?」


 カリンがタイガの(もと)に来て、タイガが見ていた服を見る。


「この服、タイガ君なら似合いますよ!」

「そ、そうかな」


 カリンから絶賛の言葉を聞き、少し照れるタイガ。タイガはその服を手に持ち、試着室に入っていった。


「ど、どうかな……」


 試着室から出たタイガを、カリンが見つめる。だが、カリンに反応がない。

挿絵(By みてみん)

「カリンさん?」

「あ、いえ! とてもよくお似合いですよ!」


 カリンは顔を赤くして答えた。タイガはそれを見て、首を傾げた。


 ――俺、なんかしたかな?


「どうしたの? カリンちゃん」

「ううん。何でもないの。ごめんね、ペル」


 ペルはカリンだけに聞こえるように会話した。今までこんな様子を見たことがないペルはカリンが心配だった。


「値段は七五パスか。結構安いな。よし! これにする!」


 タイガはこの服が気に入ったようで、すぐに買うと決めた。タイガはレジに持っていき、銀貨八枚出した。


「いらっしゃい。兄ちゃん、これ買うのかい?」


 すると、レジの男の人が声を掛けてきた。


「え、えぇ。この服、結構気に入ったので」

「兄ちゃん、剣術は使えるのか?」


 男はしかめっ面でタイガに聞いてくる。


「まぁ、一応使えるけど……」


 そう言って、タイガは大刀を見せる。すると、男はタイガの大刀をじっと見た。


「ん? に、兄ちゃん! それはどこで!」

「どこでって……拾った」

「拾ったぁ!?」


 男は今にも目が飛び出そうなほど目を見開いてタイガを見る。


「これは申鎮(さるしげ)(つるぎ)だ」

「申鎮の剣?」


 タイガは聞いたことのない剣の名前に、男に聞き返した。


「これは歴代の剣士しか使ったことがない剣だ。武器屋に行けば買えるが、確か白金貨三枚は余裕で行くらしい」


 ――さ、三百万!? あの忍者もどき、そんな高価なもん買ってたのか!? いや、盗んだな。絶対。


 などとツッコんではいるが、高額な剣だと聞いてタイガは唖然としている。


「兄ちゃん、この剣は凡人には扱えねぇ。悪い事は言わねぇ、今すぐ別の物に変えな」

「それは大丈夫だと思いますよ」


 男の言葉を否定するカリンがレジに来た。


「今日、この方に助けていただいたのですが、とても素人だとは思えない扱い方でした。魔法も使えるみたいですし、大丈夫では?」


 ――え、どうしよう……なんか凄い話になってるんだけど。俺、今まで剣術とかやってないし、そもそも剣とか持ってたら銃刀法違反で捕まるし。魔法とか成り行きだし、使えるとか知らなかったし……


 カリンと男が話している中、タイガは内心混乱していた。自分が高価な凄い剣を持っている事に驚いているのに、剣術がどうとか、魔法がどうとか言っている二人を見て、自分は何もんだろう、とタイガは思ってしまった。


「わ、分かった。兄ちゃんがその申鎮の剣を使えると嬢ちゃんが言うなら、その服は負けてやる。三〇パスで良いぞ」

「え、でもそんなに……」


 急に半額以上割引してくれた男に、タイガは戸惑う。


「さっきも言ったように、その剣は限られた人しか使えない。そいつを使える奴に定額で売るってゆうのは野暮なもんだよ」

「良いじゃないですかタイガ君。お言葉に甘えさせて貰いましょう」

「まぁ、カリンさんがそういうなら……」


 タイガは流れに任せ銀貨を三枚渡し、服を購入した。


 タイガの服選びが終わり、宿を探す。


「なぁカリンさん」

「タイガ君、『さん』付けしなくていいですよ?」


 カリンにいきなり呼び捨てするよう言われたタイガは戸惑った。


「いや、いきなりそんなこと言われても…」


「だめ……ですか?」


 ――涙目の上目使いって、どんなギャルゲーだよ……


 カリンの涙目にやられたタイガは、カリン呼び捨てするようになった。

 余談ではあるが、タイガはカリンの事を呼び捨てする代わりに、カリンもタイガを呼び捨てすることになった。


「それで、カリンはこれからどうするんだ?」

「私ですか? 私は宿に戻りますけど……」

「因みに、その宿っておいくら……?」


 タイガの今の所持金は七四パス。激安な宿しか泊まれない。しかも一泊。


「一泊四〇パスですよ」

「さっきの服でも思ったんだけど、何でそんなに安いの?」


 タイガの金銭感覚がおかしいのか、それともここ、ドルメサ王国の金銭感覚がおかしいのか。タイガには理解できなかった。


「それでは、私の泊まっている宿に行きますか?」

「まぁ一泊だけなら……泊まっていこうかな」

「それでは行きましょう!」


 カリンがタイガの手を引いて、カリンの宿泊している宿に先導した。



 影は刻々と近付いているとも知らず……


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