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異世界でニートは英雄になる  作者: 相原つばさ
第二章 異世界生活
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第三〇話 嫌な予感と捜索

「はぁ……はぁ……」


 タイガはオルドラン村付近の森に向かって走っている。きっかけはルーの一言。


『オルドラン村付近の森で魔獣が大量発生しているみたいだよ』


 ――もし、森に行ったときに俺が()で見た魔獣だったら……


 そう思いながら、タイガは休むことなく走る。

 森に行くにはまず、オルドラン村を通る必要がある。


「やっと見え――」


 ドォン!


 突然爆発音が聞こえた。場所は森の方、タイガ達がマスターウルフの討伐を行った場所だった。

 タイガはオルドラン村に入る。すると何人もの冒険者と思われる人が傷を負って倒れていた。タイガは近くに行き、声を掛ける。


「大丈夫ですか?」


 声を掛けられた男は出血している腹部を抑えて苦しんでいた。タイガは直ぐに回復魔法のエントレスをかける。男の苦しんでいる顔は少しずつ柔らかくなっていく。


「あ、ありがとう」

「いえ。それより、何があったんですか?」


 男は何があったのか事細かに教えてくれた。

 男はクエストに向かう途中にこの村を通った。だが村の人が何やら不安な表情で過ごしていたことに疑問を思った男は、村の住人に話を聞く。すると、この間からマスターウルフの目撃情報が多く、何人か噛まれるなどの被害を受けていた。異状無い様に思えたが、噛まれた人は突然変異して村人を襲ったとの事。それで村長はギルドに討伐を依頼したらしい。


 ――それを受けたのが、俺達だったって事か。


 その男は現在行方不明で、見つけ次第処刑するよう言われているらしい。


 ――じゃあ今の爆発はマスターウルフと戦っているのか、それともその村人を見つけたかだな。とりあえず、行ってみよう。


 タイガは男に村の事を頼むと、直ぐ森の方へと向かった。

 タイガがその場に着くと、傷で倒れている奴が何人かいた。相手はマスターウルフ。だが、二日前に戦ったマスターウルフとは違う雰囲気だった。


 ――この雰囲気、やっぱり()で見たマスターウルフだ。完全に自我を失っている……。こいつらは明日、王宮を襲うってのか……


 すると突然、マスターウルフ四匹がタイガを襲ってきた。


「く――っ!」


 タイガは瞬時に躱し、剣を抜いて一匹斬る。次々とマスターウルフはタイガを襲う。鋭い牙をむき出しにして。


「ソード・ルカ!」


 襲ってきたマスターウルフを一掃した。だが、奥からどんどん出て来る。


 ――明日の為に、今片付けたいが……


「くそ! 数が多すぎてきりがない!」


 一瞬タイガの気が抜けた時、後ろからマスターウルフが来ていたことに気付かなかった。気付いた時には既に目の前にいて、何も出来なかったその時――


「――サンダーニードル!」


 いきなり無数の雷の針が、タイガを襲ったマスターウルフを串刺しにした。

 声のする方を見ると、ミルミアとリンナ、オトランシス兄弟が来ていた。


「タイガさん大丈夫ですか!?」

「ナイスタイミング、リンナ。ありがとう」


 全員タイガの下に行き、タイガはこうなった経緯を説明した。


「成程……。じゃあ、その噛まれた男がマスターウルフを操っている可能性があるってことだね?」

「そこははっきりとは言えない。だけど、それも頭に入れておいた方が良いだろう」


 アイルの質問にタイガが答える。話している間にも、じりじりとマスターウルフが近づいてくる。そしていつの間にか囲まれていた。


「どうするんだ? タイガ」


 冷や汗をかきながらルーが聞いてくる。


「どうせ戦っても、奥からわんさか出て来るだけだ。元凶を倒した方が早い」

「でも、どうやって探すのよ」


 タイガの言っていることが、事は速やかに収まる。だが、元凶は見つからない。マグナラも使えない。マグナラの探索能力は、探し出す対象の特徴が分からなければ意味がない。


「みんな、ここをお願いしていいか? 俺は元凶を倒しに行く」

「だからどうやって!」


 ミルミアが声を上げて言った。残りのメンバーも少しピリピリしていた。


「地道に探す。これしかない! ここを頼んだ!」


 そう言うとタイガは、マスターウルフの群れを飛び越えて森の奥に行った。その後をマスターウルフが追っていく。


「分かりました! アイスウォール!」


 だがリンナの魔法で、奥に行かせないように氷の壁で囲った。つまり、外から入ることも、外に出ることも出来ない。


「とりあえず、この中にいるマスターウルフを倒すわよ!」


 ミルミアが剣を抜き、マスターウルフを斬っていく。それに続いてアイルとルーも倒していく。リンナは負傷者の回復をしていた。



 だがその状況は、敵にとっては絶好のチャンスだった――。


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