地面を舐めた
こどもの頃
地面を舐めた
どんな味がするのか
どんな感触なのか
どんなにおいがするのか
地面を見つめるほど
気になって
誰かに聞くことは
まどろっこしくて
地面にうつぶせになって
舌をのばして
ゆっくり舐めた
転んで口の中に砂が入ったときの
苦味と
舐めても舐めても
アイスクリームのように消えてくれない
もの悲しさと
かたい凸凹に舌が擦れて
痛いのとが
舐めるごとに押し寄せて
舌を口の中に戻すと
ざらついた後味が
あまりにさみしくて
泣いてしまった
泣きながら
地面を舐めた
うんともすんともいわない
地面を